渡部 和章 2019/5/28 7:00

家具のECサイト「LOWYA」を展開するベガコーポレーションの2019年3月期決算は、売上高は前期比2.7%増の133億2200万円と増収だった一方、物流コストの増加などに伴い営業損益は2億9600万円の赤字だった。

スマホのAR技術を活用した家具の配置シミュレーション機能などをリリースし、旗艦店(自社ECサイト)を中心に売上高を伸ばした。ただ、配送会社による運賃の値上げで配送コストが上昇したほか、一部の配送会社が大型商材から撤退したことで物流ネットワークの再構築を迫られたことなどから、機会損失や収益悪化を招いたという。

2019年3月期は「LOWYA旗艦店」のブランディングやページ強化に取り組んだ。購入前の顧客の不安を解消するため、一部の商品ページに「3Dで試し置き」のボタンを実装し、スマホの画面上で家具の設置シミュレーションを行えるようにした。「3Dで試し置き」の対象商品は2019年4月18日時点で863品目。

「LOWYA旗艦店」のブランディングやページ強化に取り組んだ。購入前の顧客の不安を解消するため、一部の商品ページに「3Dで試し置き」のボタンを実装
ARを使ったシミュレーションサービス(画像はベガコーポレーションの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

2019年1~3月期(第4四半期)における販路別の売上高の増減率を見ると、旗艦店は前年同期比27.4%増で、他の販路よりも大幅に伸びている。売上高が最も大きい楽天市場店が同10.9%減、Amazon店は同14.5%増、Yahoo!ショッピング店は同2.9%増だった。

2019年1-3月期におけるLOWYA事業の売上高に占める旗艦店の割合は24.5%で、2018年1~3月期の19.4%から約5ポイント上昇した。

2019年1-3月期におけるLOWYA事業の売上高に占める旗艦店の割合は24.5%で、2018年1~3月期の19.4%から約5ポイント上昇 モール販路別売上高の推移
モール販路別売上高の推移(画像はベガコーポレーションの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

物流費の上昇に伴い利益率が悪化

配送会社による値上げにより、2019年3月期における売上高に対する荷造配送費率は、前の期の13.3%~14.8%から16.3~17.6%に上昇した。2018年10~12月期(第3四半期)には、配送会社が大型商材から撤退したことでキャリア変更も実施した。

売上高に対する荷造配送費率
売上高に対する荷造配送費率の推移(画像はベガコーポレーションの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

また、配送費の上昇を受け、在庫の保管地を変更したことで保管費用が増加。コスト上昇分を価格転嫁したこともあり、売上高は計画に届かなかった。

利益改善に向けた今後の取り組み

2020年3月期は利益改善のために4つの施策に取り組み、事業拡大の足場固めを行う。

保管費の削減

  • 倉庫管理システムの導入
  • 在庫量の適正化
  • 保管効率向上のための設備導入検討

配送費の抑制

  • 在庫の適正配置
  • 梱包サイズの見直し

原価率の改善

  • 商品入替による原価低減
  • サプライヤーの選択と集中

商品構成の見直し

  • コスト構造に合わせた新商品および新ジャンルの投下
ベガコーポレーションが取り組む利益改善のための4つの施策
利益改善のための4つの施策(画像はベガコーポレーションの決算説明会資料から編集部がキャプチャ)
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