Digital Commerce 360[転載元] 8:00

Amazonは、生成AIを組み込んだ音声アシスタント「Alexa」のアップグレード版を発表しました。Amazonのプライム会員は無料で利用でき、非会員は月額料金が必要です。ユーザーが利用したいサービスの予約、ECでほしい商品の注文を完了するなど、従前のモデル以上に、音声アシスタントとAIがユーザーのアクションをサポートする機能を備えています。

サービスの予約やEC注文の決済などを「Alexa+」が自動化

Amazonが2月26日に発表した生成AIを組み込んだ音声アシスタント「Alexa」のアップグレード版「Alexa+」には、新たなEC機能も搭載されています。

この新サービスは、より自然な会話、スマートな自動化、ECとのさらなる深い融合を実現するために設計したとAmazonは説明します。Amazonの有料会員サービス「Amazonプライム」の会員は、追加料金なしで利用可能。プライムに登録していない一般会員は、OpenAIの「ChatGPT Plus」など競合するAIサービスと同等の月額19.99ドルを支払うことで「Alexa+」を利用できます。

Amazonは数週間以内に米国でβ版の提供を開始し、その後数か月にわたって段階的に展開していく予定です。

タスク実行能力が従来品以上にアップ

Amazonは、「Alexa+」にはユーザーの代わりにタスクを実行できるAIエージェントを組み込んでおり、その能力や機能は従来の音声アシスタントの域を超えていると説明しています。

「Alexa+」の利用イメージ(Amazonのニュースリリースから編集部が追加)
「Alexa+」の利用イメージ(Amazonのニュースリリースから編集部が追加)

AIエージェントにより、サービスの予約やECで注文する商品の決済など、複数の動作が必要なタスクを、ユーザーの手入力を必要とせずに「Alexa」が独立して管理できるようになっています。

「Alexa」は自主的にアクションをするように設計しており、数万のサービスとデバイスを操作します。私たちが知る限り、これほどの規模で展開しているのはAmazonだけです。(Amazon デバイス・サービス担当シニアバイスプレジデント パノス・パネイ氏)

サードパーティが提供するサービスにも対応

Amazonによると、「Alexa+」の特長はAmazon独自のECエコシステムと、サードパーティサービスを融合していることです。

ユーザーは「Alexa+」を通じて、次のプラットフォームを通じた取引やサービスを利用できます。

  • 食料品や生鮮食品の注文:「Amazon.com」「Whole Foods Market」「Amazon Fresh」
  • フードデリバリー:「Grubhub」「Uber Eats」
  • 予約やアポイントメント:「OpenTable」「Vagaro」
  • イベントのリマインダーやチケット購入:「Ticketmaster」
  • 音楽ストリーミング:「Spotify」「Apple Music」「Amazon Music」

高度なパーソナライズ機能を搭載

「Alexa+」は従前の機能に加えて、IoT機器の制御、予約管理、楽曲検索のサポートをします。「ユーザーの興味に基づいて、商品の検索、購入の提案、ECの注文も可能です」(パネイ氏)

Amazonは「Alexa+」が高度なパーソナライズ機能を備えていることを強調しています。「Alexa+」は過去のインタラクションから学習するように設計。ユーザーによって頻繁に注文される商品、優先度が高い配送先住所、購買行動を記憶します。「これにより『Alexa+』はパーソナライズされたレコメンデーションを提供できる」とAmazonはニュースリリースで説明しています。

ユーザーごとにパーソナライズした商品やサービスを提案する(画像はAmazonのニュースリリースから編集部がキャプチャ)
ユーザーごとにパーソナライズした商品やサービスを提案する(画像はAmazonのニュースリリースから編集部がキャプチャ)

「Alexa+」の狙いはプライム会員向けの特典強化

Amazonは、プライム会員に追加料金なしで「Alexa+」を提供することで、有料会員向けの特典を強化し、より幅広い利用を促進することをめざしています。

今回の新機能は、Amazonが販売しているスマートスピーカー「Echo Show」のシリーズ8、10、15、21などの特定の「Echo」デバイスのユーザーが早期アクセスできるようになるそうです。

スマートスピーカーに加えて、「Alexa+」は、Appleの「App Store」とGoogleの 「Play Store」からダウンロードできる新しいモバイルアプリと、「Alexa.com」のブラウザベースのインターフェースからも利用できます。

「Alexa+」について(編集部が追加)

複数のAmazonデバイスに対応

「Alexa+」はマルチチャネルに対応し、ユーザーはデバイス間をまたいで利用できます。たとえば、「Echo」デバイスの会話は、スマートフォン、車、またはコンピューターで継続でき、「Alexa+」はすべてのプラットフォームでその内容を保持します。

マルチチャネルでのアクセスや利用を可能としている(画像はAmazonのニュースリリースから編集部がキャプチャ)
マルチチャネルでのアクセスや利用を可能としている(画像はAmazonのニュースリリースから編集部がキャプチャ)

生成AIの活用を促進

「Alexa+」の今回の発表は、生成AIを自社のプラットフォームに組み込むというAmazonの広範な取り組みの一環です。

2024年9月に実施した年次カンファレンス「Accelerate」でAmazonは、販売事業者がビジネスを管理および拡大するのを支援するように設計した生成AIアシスタント「Project Amelia」を発表しました。

「Project Amelia」について(編集部が追加)

Amazonの競合他社も同様の動きを見せています。

ファッション専門のフリマアプリを運営するPoshmark Inc.は、販売者向けにサイズ、色、ブランドなどの商品リストの詳細を自動的に生成する「Smart List AI」の提供を2025年1月から開始しました。

アパレル商品をBtoB-ECでリセールする運営のThredUpは、3つの新しいAI搭載ツールを導入。顧客がアイテムを見つけて購入するのを支援するために、自然言語と画像認識を使用するスタイルチャットボットと高度な検索機能を2024年8月に追加しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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