宮本和弥[執筆] 11:44

越境ECのマーケットプレイス「eBay(イーベイ)」を運営する米eBayの日本法人イーベイ・ジャパンが発表した2024年の越境ECレポートによると、日本市場の成長が継続しているという。

越境ECレポートは、2024年(1-12月)に日本の販売事業者が出品した商品の販売動向をまとめたもの。

日本市場への高い期待

調査によると、越境EC取引における日本への購買期待度はヨーロッパと同等に高いものの、アジア市場全体に対する信頼度への偏見があり、日本からの出品には「真贋保証」の付加価値が特に重要視されている。

高級ファッションアイテム購入者の62%が越境EC(CBT)を利用。「eBay」「Amazon」を通じ、EU・英国・日本などの市場から商品を選ぶ傾向が高いという。理由は豊富な商材と最適な価格。一方で、品質や信頼性も重要視されており、偽物や送料・返品ポリシーへの不安が購入の障壁となっている。

米国在住者に対し、過去12か月以内に外国(越境EC)にて高級ファッションアイテムを購入した顧客データ
米国在住者に対し、過去12か月以内に外国(越境EC)にて高級ファッションアイテムを購入した顧客データ

市場ごとの選択基準にも違いがある。ヨーロッパは「信頼」、アジアは「価格」を重視。日本は厳格な偽造品対策で信頼を得ているものの、CBT購入者の多くは依然としてヨーロッパ市場を選ぶ傾向にあるという。

背景には、中国や南アジア市場に対する不信感の影響がある。日本がさらなる信頼を獲得するには、真贋保証の強化や購入者の不安を解消する仕組みの充実が不可欠だという。

2025年注目のアイテムは?

ハンドバッグ・腕時計・ジュエリー(真贋鑑定対象アイテム)

2025年3月から、日本の販売事業者向けに「ハンドバッグ」「腕時計」「ジュエリー」の真贋鑑定付き配送サービスを提供する。国内指定のセンターへ商品を送付後、鑑定を経てアメリカのバイヤーへ国際発送する仕組み。返品時も真贋センターで状態を確認し、登録時の条件と相違がなければ返送される。特に、ChanelやCartier、Van Cleef&Arpelsのブランドの購買率が高いという。

鑑定トレーディングカード

日本のトレーディングカードは世界的に需要が高く、PSA(Professional Sports Authenticator)の評価を受けた信用度の高いものが多いため、コレクターや投資家からの注目度が上がっているという。

2024年、「eBay」に出品している日本企業から販売された鑑定済みトレーディングカードは、前年比98%増。鑑定済みと未鑑定のカードでは販売単価に5倍以上の差が生じることもあり、鑑定済みカードの出品数が増加しているという。

リファービッシュ製品(整備済み品):主に電化製品、その他楽器やゴルフ(スポーティンググッズ)カテゴリーが対象

2025年3月をめどに、日本の販売事業者向けに「eBay Refurbished Program」を開始する予定。アカウントパフォーマンスなど特定の条件を満たした販売事業者は、商品を「Refurbished(整備済み品)」として出品できる。

「Refurbished」マークのバッジが商品ページに表示されることで、商品の可視性が向上するという。返品対応も強化。商品到着後30日以降の返品は、「eBay」提携の保証会社が対応する。

2024年 Q1~4 越境ECレポート ハイライト

2024年の越境EC市場で、日本の商品への注目が高まった要因は以下の通り。

Q1 (1月~3月) - 円安と配送サービスの影響

  • 円安により海外バイヤーにとって日本製品が割安となり、競争力が向上
  • 高速配送サービス(DHLやFedEx)導入により、アメリカなどへの配送が迅速化
  • 日本独自のカスタマーサービスが国際的に高評価され、ブランド力が向上
  • 中古品の需要増加とサステナビリティへの関心の高まりが相まって、日本の中古商品が注目
  • eBay公式サービスや多国展開ツールの普及で新たなセラーが参入し、市場が拡大

Q2 (4月~6月) - インバウンド需要の増加とその影響

  • 2024年6月、訪日外国人が過去最高を記録し、帰国後も日本製品のEC購入が増加
  • リピート購買や言葉の壁を越えた購入など、インバウンドの購買行動が活発化
  • 北米や英語圏で人気の高い「eBay」を通じ、日本製品の売り上げが増加

Q3 (7月~9月) - 米国経済の回復と円高の影響

  • 米国経済の堅調な推移により、円高が進んでも日本からの輸出は好調を維持
  • 米国大統領選の影響もあり、米国市場動向に注目が集まる
  • 日本製品への関税増加の懸念はあるが、中古品やコレクティブルズ商材に対する需要は維持予測

Q4 (10月~12月) – 真贋保証への需要の増加、新たなカテゴリーへの注目

  • 高級品購入者の間で越境ECの利用が一般化
  • 日本からの購入に対する期待はヨーロッパ市場と同等に高い
  • アジア市場の信頼度の偏見から、日本の出品には「真贋保証」を重要視
  • エコの観点からも、Refurbished(整備済み品)への注目が高まる

2024年年間売れ筋商品

デジタルカメラ

最も売れたのは、「Canon」のPowershotシリーズと「Sony」のCyber-shotシリーズ。どちらもコンパクトで初心者からプロまで使いやすい機能を備えている。PCやスマートフォンで簡単に編集でき、SNSへの投稿がしやすい点も人気の理由となっている。

メンズアパレル&バッグ ブランド小物

ヴィンテージクロージングの人気が高まる中、高品質な日本のウェアが注目されている。「エビスジーンズ」は高い購買率を誇る人気アイテムだという。さらに「オニツカタイガー」などの日本ブランドのスニーカーも、売り上げをけん引している。

自動車パーツ

日本の自動車メーカーの車は引き続き人気で、特に燃費の良いプリウスや1980、1990年代のスポーツカーの純正パーツがよく売れているという。なかでも今注目すべきはバイクパーツ。販売規模は自動車パーツにはまだ及ばないものの「ヤマハ」「ホンダ」「カワサキ」「スズキ」を中心に売上が伸び、その成長率は自動車パーツの3倍に達している。

2024年年間カテゴリーランキング

取引額TOP10

2024年の「eBay」取引額ランキング
2024年の「eBay」取引額ランキング

成長率TOP3(前年同期比)

取引額10位までのカテゴリーにおける成長率1位、2位、3位
取引額10位までのカテゴリーにおける成長率1位、2位、3位
  • 前年2位だった「デジタルカメラ」が、さらに大きく成長を見せ1位となった
  • 前年TOP3外だった「メンズアパレル&バッグ ブランド小物」が2位
  • 「自動車パーツ」は前年に引き続きTOP3にランクイン
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