顧客との適切なタッチモデル構築が事業成長にもたらす効果とは? 構築企業の8割が「新規顧客数が増えた」

調査結果によると、顧客との適切なコミュニケーションやフォローアップを構築している企業の多くが、顧客獲得、売上アップなどの手ごたえを得ていることがわかった

大嶋 喜子[執筆]

3月14日 7:00

バーチャレクス・コンサルティングが実施した「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」によると、顧客ごとの状況やニーズに合わせて接点を最適化し、適切なフォローアップやコミュニケーションを行う手法「タッチモデル」を構築している企業は8割が「新規顧客数が増えた」と実感している。このほか、顧客の満足度アップ、継続率アップなど、タッチモデルの構築がさまざまな面から事業の成長に寄与していることがわかった。

調査期間は2025年2月21~26日で、調査対象は自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる839人。

「カスタマーサクセスの効果を感じている」と回答した効果実感層(494人)と、「効果を感じていない」または「どちらとも言えない」と回答した効果未実感層(345人)のそれぞれに「タッチモデル構築の有無」を聞いたところ、効果実感層は48.8%が「構築している」と回答。一方、カスタマーサクセスの効果未実感層で「構築している」と答えたのは9.6%にとどまった。タッチモデルを構築している企業の方がカスタマーサクセスの効果を実感しやすい状況がうかがえる。

タッチモデルを構築しているか(調査グループ:「カスタマーサクセスの効果を感じている」「カスタマーサクセスの効果を感じていない/どちらともいえない」)
タッチモデルを構築しているか(調査グループ:「カスタマーサクセスの効果を感じている」「カスタマーサクセスの効果を感じていない/どちらともいえない」)

「タッチモデルあり」「タッチモデルなし」と答えた回答者それぞれに、サブスクリプション商材の有無・不明を掛け合わせて「カスタマーサクセス効果を感じるか」を聞いたところ、「タッチモデルあり」のグループの多くがサブスクリプション商材を扱っている。そのうち82.8%が「カスタマーサクセスの効果を感じている」と回答した。

「タッチモデルなし」かつサブスクリプション商材ありの企業は「カスタマーサクセス効果あり」が35.6%だった。

サブスクリプション商材の取り扱い有無と、カスタマーサクセスの効果実感(タッチモデルの有無別)
サブスクリプション商材の取り扱い有無と、カスタマーサクセスの効果実感(タッチモデルの有無別)

業績について直近一年間の新規顧客数の変化を聞いたところ、タッチモデルを構築している企業では80.3%が「新規顧客数が増えた」、15.0%が「変わらない」、4.7%が「減少した」と回答。タッチモデルを構築していない企業は「新規顧客数が増えた」が57.9%となっており、タッチモデルありの企業と比べると22.4ポイント低かった。

直近一年間の新規顧客数の変化(タッチモデル有無別)
直近一年間の新規顧客数の変化(タッチモデルの有無別)

直近一年間の新規売り上げの変化を聞いたところ、タッチモデルありの企業では78.1%が「増加した」と回答。タッチモデルなしの企業では「増加した」は54.1%にとどまり、タッチモデルありの企業と比べると24ポイント低いた。38.7%が「変わらない」、7.2%が「減少した」と回答している。

直近一年間の新規売り上げの変化(タッチモデル有無別)
直近一年間の新規売り上げの変化(タッチモデルの有無別)

カスタマーサクセスの取り組み前後のアップセル率の変化を「タッチモデルあり/なし」で比較すると、タッチモデルを構築している企業では65.0%が「アップセル率が上がった」、25.5%が「変わらない」と回答。タッチモデルなしの企業では「上がった」が34.9%となっており、タッチモデルありの企業の同回答を30.1ポイント下回っている。

カスタマーサクセス取り組み前後のアップセル率の変化(タッチモデル有無別)
カスタマーサクセス取り組み前後のアップセル率の変化(タッチモデル有無別)

顧客満足度や推奨度を測るネット・プロモーター・スコア(NPS)を聞いたところ、タッチモデルありの企業では62.8%が「向上した」と回答。一方で、タッチモデルなしの企業は「向上した」は31.8%にとどまり、回答のうち「変わらない」「低下した」の割合が相対的に高い結果となった。

カスタマーサクセス取り組み前後のNPS変化(タッチモデル有無別)
カスタマーサクセス取り組み前後のNPS変化(タッチモデル有無別)

継続率の変化を聞いたところ、タッチモデルありの企業では65.7%が「増えた」と回答。タッチモデルなしの企業の同回答を23.9ポイント上回った。

カスタマーサクセス取り組み前後の継続率変化(タッチモデル有無別)
カスタマーサクセス取り組み前後の継続率変化(タッチモデル有無別)

調査概要

  • 調査方法:インターネットアンケート
  • 調査実施期間:2025年2月21~26日
  • 調査対象地域:全国
  • 調査対象:20歳から65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)6万4138人のうち、自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる839人
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