倉庫全体の作業効率を37%改善、専門商社のアズワンが九州の物流センターに導入した自動搬送ソリューションとは

科学機器、産業機器、病院・介護用品の専門商社であるアズワンは6月、九州エリア初の物流基幹センター「九州DC」を開設した。
センターでは、作業者の作業場まで商品を搬送し定点作業ができるギークプラスの物流ソリューション「PopPick」を導入。ピッキングの効率は3倍以上、倉庫全体の作業効率は37%向上したという。
アズワンは取扱商品数の拡大に物流の自動化が不可欠であると考え、約20年前から自動倉庫の導入といった物流DXに注力。人と自動化設備の役割を適材適所で組み合わせることで、作業効率の向上とコスト削減による省人化を推進してきた。
2015年にBtoB-ECサイト「AXELショップ」を開設し事業を拡大。開設からわずか3年で商品点数は約10倍以上となり、多品種・小ロット対応が求められるロングテールビジネスが加速しているという。
即日出荷体制と1200万点を超える商品によるロングテールビジネスを手がけるアズワンの物流戦略は、さらに専門性を兼ね備えた商品の拡充。そのために、これまで以上の倉庫内ロケーションの効率的な活用、作業効率の向上を実現するために自動化設備の導入を検討、ギークプラスの「PopPick」を導入した。
「PopPick」の特長は
防火シャッター直下までの高さ✕高密度設計により高保管効率を実現
防火シャッター直下を通過できる最大3.8メートルの高さの棚を使用することが可能。コンテナ同士も2センチ間隔で配置し、手作業のマニュアルオペレーションよりも、大量の商品を高密度に保管できる。一般的な中軽量棚と比較すると棚の保管効率を約2倍向上させることが可能。
ピック対象となるコンテナを作業員の“手元”まで自動搬送。作業生産性が向上
一般的な棚搬送型GTPソリューションでは、1ステーションあたりの作業効率は手作業のマニュアルオペレーションと比べて約3〜5倍。PopPickは対象コンテナを棚から自動で引き出し、作業員の手元まで搬送することで、さらなる作業生産性の向上が期待できる。

今後、SKUのさらなる増加が見込まれるなか、出荷頻度が低い商品は、人での作業では、ロングテールの加速に対して作業面積が広がっていく。結果的に作業効率の低下・作業者の負荷増加(歩行距離の増加)になる。そういった状況を勘案し、低頻度商品の領域であっても自動化が不可欠であると感じてきた。限られた空間の有効活用や拡張性、高い生産性を発揮できる点を評価し、PopPickの採用に至りった。2025年9月までに、1時間あたりのピッキング・出荷作業を人手の約40行から130行程度まで高めることをめざす。(アズワン サプライチェーン統括本部 物流企画部長 亀石徹生氏)
アズワン サプライチェーン統括本部 物流企画部長 亀石徹生氏