鍋セットのネット通販売り上げが急拡大中。材料を販売するより利益率を高められるメリットも
インターネット通販で鍋セットの売り上げが急拡大している。楽天によると昨年12月の鍋の売り上げは前年対比で約2倍と急伸長しており、今年はすでに楽天市場の食品ランキングの上位に数多くの鍋セットがランクインしてきているという。ネット通販で鍋セットが人気になってきている理由について探った。
ギフト需要を取り込み、売り上げ拡大中
従来、鍋セットは自家需要が強く、購入者の家庭で消費されることが多かったが、近年は、こだわりの鍋セットを贈答用に贈る需要が生まれているという。「友達などに気軽に贈る"カジュアルギフト"が伸びており、ビールなどの定番以外の商品でこだわりを表現したいユーザーが増えてきているのではないか」(広報グループ)と楽天では分析する。
こうしたギフト需要に対応するため、多くの店舗では高級感のある包装や熨斗も用意し始めており、さらにギフト需要の取り込みにつなげているという。
販売店舗にとっても、鍋セットとして販売するメリットは大きい。例えば、カット済みズワイガニを販売する場合、材料のため、グラム数と価格でお得感を打ち出していくという売り方がメインとなるが、鍋セットは加工品のため、グラム数や価格よりもおいしそうな画像やユーザーからのレビューを参考に購入される傾向にあり、利益率を高く設定しやすくなる。また、おいしい作り方のパンフレットを入れたり、おいしく食べるためのコツなどを動画で提供するといった工夫を行うことで、さらに価格競争ではない訴求が行いやすくなる。
加えて、カット済みズワイガニの多くは2000円~3000円の価格帯の商品が人気だが、鍋セットにすることで5000円台が中心価格帯になるなど、商品単価を高く設定できるというメリットもある。そのため、これまで鍋セットを用意していなかったショップも鍋セットを用意するようになり、提供店舗が増えていることから鍋セットの売り上げ拡大にもつながっているようだ。
ご当地鍋などを紹介する特集ページも開設
こうした、鍋セットの需要拡大をさらに本格化させるべく、楽天は11月10日、都内で2015年の冬に食べたいおとりよせ鍋料理を解説する「楽天市場 おとりよせ鍋大学」を初めて開催した。
イベントにはブロガーなどのユーザー約10人と報道陣が集まり、楽天市場の人気店舗である「もつ鍋・水炊き 博多若杉」の松尾直幸氏と「越前かに問屋 ますよね」の橘高友樹氏が講師として登壇。もつ鍋とカニ鍋について、おいしく食べるための食材の下処理や調理法、アレンジ方法などを紹介した。
また、すき焼き、もつ鍋、カニ鍋などの定番鍋のほか、鴨鍋、グリーンレモン鍋など8種類の鍋の試食会が行われた。
楽天市場では11月5日から、「ニッポン全国!ご当地鍋お取り寄せ」特集ページを開設しており、こうした特集ページを作ることでさらに需要の拡大につなげていく。特集ページでは鍋にあうお酒や鍋にあう調味料の紹介も行っており、鍋需要から新たな需要喚起にもつなげていきたい考えだ。