藤田遥 2020/10/12 9:00

楽天が発表した、お歳暮やギフト、クリスマス、おせちなど「楽天市場」における2020年の年末商戦トレンドは、「ライフスタイルの多様化によるニーズの細分化」「ギフトや家中需要の拡大がより顕著になる」ことが特徴だ。新型コロナウイルスによるEコマースの需要拡大や高齢者層のデジタルシフト、ギフトをECサイトで購入する流れが拡大していることが背景にあるという。「お歳暮・ギフト」「クリスマス」「おせち」「冬グルメ」の傾向についてまとめた。

カジュアルギフトの需要高まる

楽天は、お歳暮・ギフトの市場状況について3つの特徴をあげた。

1つ目は「お歳暮マーケットの縮小」。お歳暮を購入する中心顧客層の高年齢化、若年層の儀礼ギフト離れが原因という。

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お中元・お歳暮の市場規模推移(出典:矢野経済研究所「2019 ギフト市場白書」)
(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

2つ目は「カジュアルギフトの増加」。お歳暮などフォーマルギフトが減少する一方で、母の日や父の日、敬老の日など親密な間柄に贈るカジュアルギフトは増加している。

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カジュアルギフトとフォーマルギフトの市場規模推移(出典:矢野経済研究所「2019 ギフト市場白書」)
(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

3つ目が「高年齢層のデジタルシフト」。2020年は特に新型コロナウイルスの影響もあり、20代・30代よりも高年齢層におけるEC使用率が伸びているという。

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性別・年代ごとのECモール・通販の利用率(出典:三井住友カード「コロナ影響下の消費行動レポート」)
(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

帰省代わりのギフト「帰歳暮」

お歳暮市場が減少傾向にある一方で、「楽天市場」のお歳暮市場は2017年と比べて2019年は約1.3倍に拡大。「ギフトのEC化や『楽天市場』自体の流通総額が増加傾向にあることが要因」という。お歳暮関連の商品数は2020年9月末日時点で約160万点にのぼる。

コンセプトは「フォーマルではなく、来年への期待を込めて贈るカジュアルギフト」。注目したのが帰省の代替品としてのギフト「帰歳暮」だ。「帰省できない代わりにギフトを贈りたい」「久し振りの帰省となるので、特別な手土産を用意したい」という帰省自粛から生まれたニーズの高まりが、ギフトに反映されると予想している。

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オンライン帰省におすすめの商品やコミュニケーションのきっかけになる商品、2020年は健康を特に意識した年だと考え、健康配慮グルメを特集ページに掲載する(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

お歳暮だけでなく、新型コロナの影響で結婚祝いや出産祝いなど「お祝いすべきタイミングを逃してしまった」消費者が多かったと予想し、「1年の終わりにギフトで気持ちを贈る」点も打ち出す。

「楽天市場」では11月2日(月)に「お歳暮・冬ギフト特集」ページを公開予定。「帰歳暮」ページを新設する。

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プレページは10月1日から公開されている(画像は「楽天市場」から編集部がキャプチャ)

「おうち需要」に対応するクリスマス特集

楽天は、クリスマスの市場状況について、マーケットの約8割がプレゼント、2割がパーティ(プレゼント以外のクリスマス需要)で構成されており、パートナーや家族と過ごす人が多いと説明した。

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左:クリスマスマーケット構成比、​右:クリスマスを過ごす予定の相手
(出典:市場マーケティング クリスマス市場規模調査 2019)(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

「楽天市場」におけるクリスマス関連商品の流通総額は、2017年から2019年にかけて約1.4倍に増加。2020年9月末時点でクリスマス関連商品数は約380万点。

「YouTube」チャンネルと特集ページの連動施策

「家族と一緒に楽しく素敵なひとときを過ごす」をコンセプトに設定。新型コロナの影響を受け、クリスマスを家で過ごすユーザーが増加し、家族や友人へのプレゼントに加えホームパーティ需要の拡大が見込まれるという。

ホームパーティ需要に対し、2つのキャンペーンを実施。1つ目が「楽天市場で準備するおうちクリスマス」。楽天のYouTubeチャンネル「らくちゃんねる」で、インフルエンサーが「おうちクリスマス」を楽しむ商品を紹介するというキャンペーンだ。

動画内で紹介した商品を「楽天市場」内のクリスマス特集ページに掲載、ページを確認すれば「おうちクリスマス」に必要なものを揃えられるようになっているという。

2つ目の「クリスマスレシピ・デリバリー特集」は、昨年に引き続き実施する。

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おうちクリスマスとレシピ・デリバリー特集をそれぞれ掲載(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

おもちゃジャンルの拡大をめざす

「楽天市場」におけるクリスマスの流通総額における構成比はおもちゃジャンルが約2割を占めており、おもちゃジャンルの商品を購入するユーザーは「相手のリクエストや好みに合う」ことを最も重視するという結果が出ている。

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左:「楽天市場」内のクリスマスジャンル別売上シェア(出典:楽天市場Survey GMS 2020)
右:おもちゃ購入時に重視する点(出典:市場マーケティングクリスマス市場規模調査2019)
(画像は説明会資料から編集部がキャプチャ)

こうした結果を受け、おもちゃジャンルの流通拡大のため、30~40代で幼稚園から小学生までの子どもがいる母親をメインターゲットに設定。「トイザらス」「サンリオ」など「楽天市場」に出店する大手おもちゃブランドがポイントキャンペーンを実施。また、「楽天ママ割」と連動し、出店するおもちゃショップの商品Webカタログやコンテンツを掲載する。

「クリスマス特集」は11月2日(金)に公開予定。

ニーズが多様化するおせち

ハースト婦人画報が「婦人画報のお取り寄せ」ユーザーに行った調査によると、おせちを購入する場所として「通販・ネット注文」と回答した人は57%だった。

また「こんなおせちがあったら良い」という項目では、「有名シェフ、料理人によるおせち」(42%)、「一人一重」(36%)、「和洋中組み合わせ」(34%)、

「少人数用」(33%)、「オードブル付き」(23%)が上位となっており、「一人一重」は2019年より4ポイントアップした。

「1人前」や「好きなものだけ」おせちも

「楽天市場」におけるおせち関連商品の流通総額は、2017年から2019年まで約1.2倍に増加し、関連商品は2020年9月末日時点で約3万点にのぼる。

注目トレンドは「プチ贅沢おせち」「1人前おせち」「好きなものだけおせち」の3つ。

「プチ贅沢おせち」はコロナの影響で年末年始の帰省や旅行を控えるユーザーが多く、その分自宅で少し凝ったおせちで楽しむ傾向があると予想した。

「1人前おせち」は衛生の観点から大皿料理の購入を避け、取り分けが不要な料理のニーズが高まっているという。

「好きなものだけおせち」は、消費者ニーズの多様化やフードロスの観点から近年人気が上昇傾向にあるという。

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左:プチ贅沢おせち、中央:1人前おせち、右:好きなものだけおせちの商品例
(画像は説明会資料から編集部で作成)

「おせち特集」ページは10月1日から開設している。

「おうち時間」で鍋需要が増加

「冬ギフト」では需要が増加している鍋について説明。「楽天市場」における鍋関連商品の流通総額は、2019年と比べて約3.3倍に増加し、関連商品数は約4万5000点。

流通総額が増加している背景として、「『おうち時間』増加による家事負担の軽減」「外食の減少」「効率よく栄養を摂取できること」をあげた。

注目トレンドは2つあり、1つは「ご当地鍋」。帰省を控えたユーザーが多いことや旅行がしにくい状況から故郷の味や日本各地の味を求めるニーズの高まりが考えられるという。

もう1つは「1人鍋」。コロナ感染予防の観点から「鍋料理の共有を避けたい」という意向や「家庭内で違う味の鍋を楽しみたい」というニーズを予想した。

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左:ご当地鍋、中央・右:1人鍋の商品例(画像は説明会資料から編集部で作成)

10月26日から「冬グルメ特集」ページを公開予定。「楽天ママ割」と連動したキャンペーンやコンテンツも掲載する。

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