クラウド型ECプラットフォームが解決するECの3つの課題とは? 導入企業450社に学ぶ成功法則
ECサイトの構築をクラウド型に移行するEC実施企業が増えている。なかでもインターファクトリーが提供しているクラウド型ECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」は、累計450社以上が導入。その内、リプレイス率が70%を占めているという。なぜクラウド型への支持が集まっているのか? 近年、多くのEC事業者が抱える課題や悩みを踏まえて、インターファクトリーの三石祐輔取締役CMOがその理由を説明する。写真◎Lab
ECの成長を妨げる3つの課題
インターファクトリーには年間1000~1500件の問い合わせが寄せられており、商談数はここ数年で大幅に増加しているという。さまざまなEC事業者と商談したことを踏まえ、EC事業者には共通する3つの課題を抱えていると三石取締役は指摘する。
EC事業担当者が抱える3つの課題
- 今までにない新しいチャネルでのビジネスを確立させたい
- 既存のECシステムが邪魔をして新しいことに取り組めない
- 多種多様なECソリューションから何を取捨選択すべきかわからない
「ebisumart」はこうした課題を解決した事例、ノウハウを蓄積してきた。三石氏がこれまで実績を積み重ねてきた事例の一部を紹介する。
①今までにない新しいチャネルを確立させたい
EC事業者が抱える1つ目の課題である「今までにない新しいチャネルを確立させたい」とは、ECを取り巻く環境が目まぐるしく変化するなか、これまで以上に「顧客目線」を重視した、新たな販売チャネルの構築をめざす企業が増えていることを意味する。
三石氏は、その例として、小売企業が取り組む「オムニチャネル」のあり方に変化が表れていることをあげた。
国内では2011年頃から、小売企業のオムニチャネルが活発化し始めた。ECサイトと実店舗の会員情報の一元化、ポイント連携、在庫の一元管理などに取り組む企業が増えている。近年はこうした取り組みをさらに深化させる形で、「消費者目線に立ったオムニチャネルをめざす企業が増えてきている」(三石氏)と言う。
たとえば、東京・銀座で文房具や生活雑貨を販売する伊東屋は、スマートフォンアプリによる店舗とECの会員情報やポイント、購入履歴を統合。さらに、実店舗でアプリを使ってオンライン決済を行える仕組みを導入することで、来店者がレジに並ばずに買い物ができるようにした。
「ebisumart」はカスタマイズの自由度が高いため、こうした新しい販売チャネルの構築にも柔軟に対応している。
店頭で商品を見たいが、レジに並ぶのが面倒だという顧客の不満を、「ebisumart」を使って解決した。これにより、店舗の客数増加と売り上げ増加、顧客満足度の向上につながっている。(三石取締役)
②既存のECシステムが邪魔をして新しいことに取り組めない
EC事業者が抱える2つ目の課題は「既存ECシステムが邪魔をして新しいことに取り組めない」こと。
フルスクラッチのECシステムやECパッケージシステムの機能の陳腐化、他のシステムとの連携がうまくいかなかったりすると、システム自体が企業の成長を妨げてしまう。「ebisumart」は、最新性と拡張性によってこうした課題を解消する。
「ebisumart」はマーケットニーズや顧客ニーズに合わせて週に1度、最新の状態にアップデートしており、年間のアップデート数は190回に上る。
稼働に影響が出ないように基盤部分をアップデートするノウハウと知見は、恐らく他のECプラットフォームにはないものを持っていると自負している。(三石取締役)
ソフトの機能を共有するAPIを公開しており、「ebisumart」を導入し、EC事業者や、EC事業者のパートナー企業などが自由にカスタマイズできるのも特徴。もちろん、独自のテンプレートを採用し、商品ページや決済ページなど、各ページとも自由にデザインできる。
APIを使って外部システムと連携できるため、「たとえば、『ebisumart』を利用したいけれども、すでに付き合いのあるシステム会社を使いたいということにも対応できる」(同)と言う。
「ebisumart」は頻繁に標準機能をアップデートする「最新性」と、外部システムとも連携が可能な「拡張性」を兼ね備えていることが、多くの企業から選ばれる理由の1つになっている。
ゲーム大手のスクウェア・エニックスは「ebsiumart」を導入し、ECサイトや会員データベース、ファンサイト、ポイント機能、キャンペーン機能、デジタルコンテンツダウンロード機能など9つのシステムを集約した。
バラバラだったバックオフィスシステムを統合したことで業務効率が改善、受注能力は2倍に拡大したという。
③多種多様なECソリューションから何を取捨選択すべきか分からない
EC事業者が抱える3つ目の課題は、「多種多様なECソリューションから何を取捨選択すべきか分からない」というもの。
この課題に対して三石氏は、システムの機能面だけでなく、システム提供会社の技術力やサポート体制なども含めたシステム選びを推奨する。
つまり3点目の解決策は、ECのプロを活用しましょう、ということだ。(三石取締役)
EC事業者の成功を支える「カスタマーサクセスチーム」を発足
インターファクトリーはシステムの強化・改善だけでなく、サービス体制の見直しも随時行っている。その一環として2016年、「カスタマーサクセスチーム」を発足した。
「カスタマーサクセスチーム」の役割は「ebisumart」導入先へのアフターサービス。チームの担当者が導入先を定期的に訪問して、「ebisumart」の改善点や課題をヒアリングし、社内の改善チームにフィードバックしている。
カスタマーサクセスチームの取り組み
- 導入企業の要望を聞き、標準機能に随時反映
- パートナー契約を結んだ外部ソリューションを利用企業に紹介
- 利用企業向けの勉強会「ebisumart Academy」を開催
- EC無償コンサルテーションの実施
- システムの使い方やEC業界に関する、さまざまな情報をメルマガなどで発信
- ECサイトの運営に関わるノウハウの提供、運営代行サービスの提供
「カスタマーサクセスチーム」が取り組んでいるサービスメニューのなかでも非常に喜んでもらえているのが無償のコンサルテーション。さまざまなデータが見られるので、そのデータを基に改善・提案を行っている。正式には2018年春にもリリースする予定だが、店舗運営に関わる代行業務への対応も計画している。(三石取締役)
大規模サイトにも選ばれる「安心性」
クラウドで提供しているため、突然アクセスが集中したとしても最適な環境で利用できるのも多くの企業から支持されている理由の1つ。年間稼働率は99.95%、1分間当たりの最大受注件数は647件に対応した実績があり、セールスプロモーションを実施した受注集中時にもサイトを落とすことなく処理するという。こうしたシステムの「安心性」が大規模なサイトに選ばれる理由となっている。
ECサイトに限らず業界・業種は問わないで利用されているのも特徴の1つと言える。さまざまな企業から利用されており、なかには東京証券取引所も含まれている。
(東証に)導入する際には非常にハードルの高いセキュリティー要件をクリアして導入に至っているので、そのことも安心性の証明になると思う。(三石取締役)
2018年にも「ebisumart」をアプリプラットフォームに
インターファクトリーは大きなミッションとして、「お客さまのビジネスを最大化する」を掲げている。EC事業者へのサービス強化の1つとして、2018年には「ebisumart AppConnect(エビスマートアップコネクト)」のリリースを予定している。
「これは、EC事業主さまがEC周辺の仕組みのバックにいて、すぐに移動できるような世界観」(同)と説明。EC事業を運営する上で活用できる、さまざまな仕組みやサービスをマーケットプレイスとして提供するという。
「ebisumart」を利用しているEC事業者は、自社で必要なサービスや機能をマーケットプレイス上から選んで利用できるになる。
一方、ベンダー企業は「ebisumart」ユーザーに向けたソリューションを、マーケットプレイスを通じて提供できるようにもなる。
マーケティングオートメーションやCRMの機能など、ECに関連するさまざまな仕組みがあるが、それを1つひとつカスタマイズして導入していると、時間とお金だけがかかってしまう。それをできるだけ最短に、適正価格でEC事業者に使っていただくようなマーケットプレイスを立ち上げる。(三石取締役)
セミナーを通じて三石取締役は、ECサイトの課題を解決するポイントとして、①消費者目線で販売チャネルの再構築を行うこと②ECをプラットフォーム化すること③ECのプロフェッショナルを活用すること――の3点を強調した。そして、これらの課題は「ebisumart」で解決できると話し、講演を締めくくった。