瀧川 正実 2018/6/14 6:00

スマートフォン(スマホ)を使う消費者は、なぜスマホでネット通販をを利用するのか? 表示内容はどこまで閲覧しているのか? また、企業の広告についてどのような認識を持ち、タップしているのか? 消費者庁は5月、スマホを使うユーザーの意識などを調査し、その結果を「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」に盛り込み公表した。スマホEC時代のユーザー行動をまとめてみた。

消費者意識調査は、消費者庁がWebアンケートとグループインタビューを実施。1000人から回答を得た。詳しい調査内容はこちら

スマホを使うシーンは「自宅でくつろいでいるとき」が最多

「普段の生活のどのような場面で、スマートフォンで商品・サービスのWebページを見ることが多いか」と質問したところ、73.7%が「自宅で、くつろいでいるとき(他のことをしている時を除く)」と回答。

「外出先で、ちょっとした空き時間(休憩時間、待ち合わせ中など)」は44.6%、「電車やバス、車などで移動しながら」は36.3%、「家事の合間」が11.9%と続いた。

(図表 普段スマートフォンの表示に接する時間や場所)。自宅で、くつろいでいるとき(他のことをしている時を除く)73.7%、外出先で、ちょっとした空き時間(休憩時間、待ち合わせ中など)44.6%、電車やバス、車などで移動しながら36.3%、家事の合間11.9%、テレビの視聴中やPCを使っているとき、雑誌などを読んでいるとき11.6%、店頭で買い物しているとき7.4%、食事中6.9%、入浴中やトイレの中で6.2%、仕事中3.5%、その他0.1%、特になし14.2%
図表 普段スマートフォンの表示に接する時間や場所(画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

スマホを使った消費行動について

スマホの閲覧頻度が高いユーザーほど商品を購入する

過去1年間にスマホで商品・サービスの購入・申し込みをした経験のある割合は55.1%(551人)。性別・年代別の特徴では、30代と40代の女性がスマホ経由で購入・申し込みする割合が高い(65.2%~65.9%)。

また、スマホでWebサイトなどを「ほぼ毎日」「週に1日以上」、閲覧時間は「2時間以上」「1時間以上~2時間未満」のユーザーは、スマホで商品の購入・申し込みをする割合が高かったという(62.3%~71.4%)。

【属性別】過去1年間のスマートフォンでの購入経験
図表 【属性別】過去1年間のスマートフォンでの購入経験(画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

スマホ購入はポイントなどがお得に5割

スマホでの購入経験者(551人)に対して、スマホ経由での商品・サービスの購入・申し込み理由を聞いたところ、最も多かったのは「24時間いつでもどこでも購入・申し込みができる」(78.0%)。

「店頭に行ったり、他の媒体(PC、電話等)で購入・申し込みをするより、手間や時間がかからない」が69.9%。スマホ経由の購入についてはポイントをPCよりも多く付与するキャンペーンを実施している事業者も多く、「スマートフォンで購入・申し込みをすると、ポイントや割引があり、特になる」が55.2%だった。

また、30.1%が「スマートフォンを使っている時に、購入・申し込みをしたい商品・サービスが見つかる」と回答している。

(図表 スマートフォンでの購入経験者(551人)におけるスマートフォンでの購入・申込みの理由(複数回答))。24時間いつでもどこでも購入・申し込みができる、店頭に行ったり、他の媒体(PC、電話等)で購入・申し込みをするより、手間や時間がかからない、スマートフォンで購入・申し込みをすると、ポイントや割引があり、得になる、口コミやレビューなど、購入・申し込みをする前に参考となる情報を得やすい、購入・申し込みをする前に、他の商品・サービスとの比較がしやすい、スマートフォンを使っている時に、購入・申し込みをしたい商品・サービスが見つかる、特に理由はないが、スマートフォンで購入・申し込みをしている、その他
図表 スマートフォンでの購入経験者(551人)におけるスマートフォンでの購入・申込みの理由(複数回答、画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

スマホ閲覧時に偶然、商品を見つけて購入は42.8%

スマホの商品・サービスの購入・申し込み経緯を質問したところ、50.6%が、「スマートフォン以外の媒体(PC、テレビ、雑誌等)で商品・サービスを知った上で、スマートフォンで購入・申し込みをしようとした」と回答。

「店頭で実物を見た上で、スマートフォンで購入・申し込みをしようとした」(44.6%)、「スマートフォンでキーワード検索などしている際に、偶然商品・サービスを見つけて購入・申し込みをしようとした」(42.8%)と続いた。

広告を閲覧したことによる消費行動については、24.1%が「スマートフォンで目に留まった広告がきっかけで購入・申し込みをしようした」と回答した。消費者庁はこうした消費行動について次のように解説している。

30.1%が「スマートフォンを使っている時に、購入・申し込みをしたい商品・サービスが見つかる」と回答していることも踏まえると、あらかじめ商品・サービスのことを知らない状態でスマートフォンを使用している際に、スマートフォンからの情報を基に偶然購入・申し込みをする場合があると考えられる。グループインタビュー調査では、スマートフォンでセール商品を見つけるとすぐに買ってしまうといった意見が聞かれた。

(図表 スマートフォンでの購入・申込みの経緯(複数回答))スマートフォン以外の媒体(PC、テレビ、雑誌等)で商品・サービスを知った上で、スマートフォンで購入・申し込みをしようとした。店頭で実物を見た上で、スマートフォンで購入・申し込みをしようとした。スマートフォンでキーワード検索などしている際に、偶然商品・サービスを見つけて購入・申し込みをしようとした。スマートフォンで目に留まった広告がきっかけで購入・申し込みをしようとした。友人や知人のSNSの投稿ややり取りがきっかけで、購入・申し込みをしようとした。その他
図表 スマートフォンでの購入・申込みの経緯(複数回答、画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

スマートフォンの画面上の表示に対する接し方

スマホでは「目に留まった情報だけを拾い読みする」

スマホでWebサイトやアプリを閲覧するユーザーは、表示された画面内容はどの程度、閲覧しているのだろうか。

スマホでの画面上の表示について、「目に留まった情報だけを拾い読みする(「目に留まった情報だけを拾い読みする」「どちらかというと目に留まった情報だけを拾い読みする」)と答えた割合は66.5%。じっくり画面内容を閲覧しているユーザーはそれほど多くない状況が浮かび上がった。

グループインタビューでの意見
  • 普段から大きな文字や図表だけを見て、関心のあるところは細かい表示も見る
  • とりあえず全体を把握しようとして下にスクロールしながら見るため、大きな文字や画像しか目に入ってこない
  • 小さくて目立たない文字は見ない
(図表 スマートフォンの画面上の表示に対する接し方)、目に留まった情報だけを拾い読みする 23.4%、どちらかというと目に留まった情報だけを拾い読みする 43.1%、どちらともいえない・わからない 23.2%。どちらかというと画面に表示されている情報は全て目を通す 9.3%、画面に表示されている情報は全て目を通す 1.0%、目に留まった情報だけを拾い読みする 66.5%
図表 スマートフォンの画面上の表示に対する接し方(画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

「スクロールして下まで読まない」は4割

スクロールに関し、「表示された画面の下に内容が続いていても、スクロールして下まで読まない」「どちらかというと表示された画面の下に内容が続いていても、下までは読まない」に40.4%が回答した。

グループインタビューでの意見
  • 上の方にある表示は比較的目を通すが、下にスクロールするにつれて飛ばし読みをする
  • 下の方にあまり関心がないことが書かれていると見ない
  • (注意書きなどが)下にあると思って読んでいない
  • 途中でスクロールするのをやめてしまうことがある
(図表 スクロールが必要な場所にある表示に対する接し方)。表示された画面の下に内容が続いていても、下までは読まない 12.7%。どちらかというと表示された画面の下に内容が続いていても、下までは読まない 27.7%。どちらともいえない・わからない 35.9%。どちらかというと表示された画面の下に内容が続く場合は、スクロールして下まで読む 18.5%。表示された画面の下に内容が続く場合は、スクロールして下まで読む 5.2%。画面の下に内容が続いていても、スクロールして下まで読まない 40.4%
図表 スクロールが必要な場所にある表示に対する接し方(画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

関心のある情報のリンクは「すぐにタップ」するが約4割

関心のある情報を見つけた場合、Webページ上の表示内容を確認することなく、「すぐにハイパーリンクの文字列をタップする」「どちらかというと気になる情報を見つけると、すぐに画像や文字のリンクをタップする」と38.2%が回答した。

グループインタビューでの意見
  • 通販サイトにおいて、ページの下部や別ページ等にある注文画面や申込画面に移動するボタンがページの途中に表示されている際、値段等の情報を見た時点で、他に関心のある情報がなければ、ページの下まで読む必要がないので、すぐにボタンを押す
(図表 ハイパーリンクに対する接し方)。気になる情報を見つけると、すぐに画像や文字のリンクをタップする 8.8%。どちらかというと気になる情報を見つけると、すぐに画像や文字のリンクをタップする 29.4%。どちらともいえない・わからない 39.9%、どちらかというと情報を全て読み終わるまでは、画像や文字のリンクをタップすることはない 16.2%、情報を全て読み終わるまでは、画像や文字のリンクをタップすることはない 5.7%、関心のある情報を見つけると、すぐにハイパーリンクの文字列をタップする 38.2%
図表 ハイパーリンクに対する接し方(画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

スマートフォンの広告の閲覧経験、閲覧対象

広告だと思ってタップしたことがある人は約4割

過去1年間に広告をタップしたか質問したところ、「広告だとわかってタップ(クリック)したことがある」と41.3%が回答。

「広告とは意識せずに、気になったフレーズ(文字)や画像などをタップ(クリック)したら、後から広告であることに気づいたことがある」が27.7%で続いた。この2つの選択肢のいずれかを回答した人は、全体の60.8%(608人)。

スマートフォン広告の閲覧経験
図表 スマートフォンの広告の閲覧経験(複数回答、画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)

スマートフォンの広告の閲覧対象

広告をタップしたことがある回答者(608人)に対し、「どのような種類の広告をタップしたか」を質問したところ、33.1%が「自分が閲覧している検索結果や記事、SNSの投稿などと、見た目が似ている広告」をタップしたと回答。39.0%が「自分が閲覧している検索結果や記事、SNSの投稿などと、テーマや内容が近い広告」をタップしたという。

「検索サイトで検索した結果とともに表示される文字の広告」をタップしたが23.2%で、これらの広告のいずれかをタップした人は68.1%にのぼった。

また、「過去に自分が閲覧・検索した商品・サービス等に関連のある広告」をタップしたユーザーは44.4%だった。

自分が閲覧している検索結果や記事、SNSの投稿などと、見た目が似ている広告68.1%、自分が閲覧している検索結果や記事、SNSの投稿などと、テーマや内容が近い広告33.1%、検索サイトで検索した結果とともに表示される文字の広告39.0%、過去に自分が閲覧・検索した商品・サービス等に関連のある広告23.2%、ポータルサイトなどに表示される画像や映像を用いた広告(バナー広告)44.4%、その他の広告30.1%
検索結果や記事等に紛れるような形態の広告1.0%
図表 スマートフォンで表示される広告の種類(複数回答、画像は消費者庁の発表資料を編集部がキャプチャ)
調査方法
  • 調査期間:2017年10月2日~2018年2月28日
  • 調査方法:普段スマートフォンを利用している一般消費者を対象として意識調査を実施。Webアンケート調査
  • 回答者数:1000人(有効回答ベース)
  • 対象者:普段スマートフォンを利用している全国の消費者(スマートフォン利用率を考慮した地域別・年代別の人口構成比)
  • 実施時期:2018年2月5日~7日
    ※グループインタビュー調査の対象人数は12人(6人1グループ)。男女別に1グループずつで、普段スマートフォンを利用している20~40歳代の消費者。実施日は2018年1月31日。
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