おさえておくべき2021年のSEO。スマホ時代の5つのトレンドはこれ!
今回はSEOの最近のトレンドについてお話していきたいと思います。筆者はSEOを2001年から始めたので、2021年で20年目となります。黎明(れいめい)期も成長期も、そしてさまざまな混乱期も経験してきました。
ここ数年はスマートフォンの普及により、SEOもガラリと変わりました。ユーザーの検索ニーズ(昔で言うキーワード)が大前提にあり、ニーズに応える質の高い、信頼できる商品やコンテンツを提供することが最重要というSEOの根本は変わりません。ただ、注力すべきポイントがかなり変わってきているように感じます。
スマホ時代を踏まえて、2021年に押さえておくべきスマホSEOのトレンドをお伝えします。
日本の検索の75%はスマホから!
先日、ドイツのSEO会社SISTRIXがモバイルとデスクトップの検索に関する調査結果を公開しました。その調査によると、日本における検索の75%はモバイル、つまりスマホなのです。世界の中でもかなり高いモバイル検索比率のようで、スマホの普及を感じます。
もちろん、業種によってだいぶ開きがあり、BtoBではまだPCでの検索が半数を占めており、逆にレシピのジャンルではPCでの検索は23%しかありません。オンラインショッピングはPCが33.8%、スマホが66.2%と、やはりスマホの割合がかなり高いようです。
ユーザーの利用端末も検索も、スマホが主流になりつつあることがわかります。
SEOのトレンド=スマホSEO
ユーザーのスマホシフトと共に、検索エンジンのターゲットもスマホになってきています。実はここ数年、Googleが重視するポイントやアップデートの多くはスマホに関係したものとなっています。
モバイルフレンドリー、MFI(モバイル ファースト インデックス)、ユーザー行動やUX、速度とCore Web Vitals(コアウェブバイタル)などは、いかに「スマホで速く快適に目的を達成できるか」が前提にあります。
そしてすべてのサイトがMFIに移行する2021年は、MFIに移行した後、つまりGoogleがクロールするのもインデックスするのも評価するのも基本的に“スマホサイト”ということが1つの大事なポイントです。
例えば前述した調査結果ではBtoBはPCからの検索がまだ半数を占めていましたが、Googleがメインで評価するのはスマホサイトなのです。
もちろんPCユーザーが多いのであればPCサイトも最適化しなければいけませんが、SEOをやるという点ではどのサイトもスマホサイトの最適化が必須なのです。以下、いま気になる5つのトレンドについて解説していきます。
SEOのトレンド①
PCとまったく違うスマホ時代の検索行動
スマホでのSEOの大前提として、検索行動がPCと違うという点を理解することが重要です。
スマホ時代の検索の特徴は「マイクロモーメント検索」と呼ばれるもので、ユーザーは気になることがあるといつでもどこでも、ちょっとした瞬間(=モーメント)に即検索します。便利ですが、1回あたりの検索は刹那的でPCほどじっくり見られないようです。
スマホ特有のマルチタスク(ネット検索しながらLINEも見て、メールも見て……など、同時に複数タスクを行う)も、刹那的な検索に影響していると思います。
そのため、スマホではブランド訴求が難しく、コンバージョン率がPCほど高くないという傾向があると感じています。タイミングよくユーザーが「買いたい!」と思った瞬間に快適な検索体験を提供できないと、なかなか購入まで到りません。
次に位置情報もスマホの特徴です。持ち歩くことが前提のスマートフォンでは、ユーザーの端末の位置に合わせてGoogleが最善の結果を返します。「近くの美容院」「近くのカフェ」といった検索が増えており、渋谷にいて「カフェ」と検索するユーザーには渋谷近辺のカフェの情報を地図と共に自動で出すのが今のGoogleです。
エリアをターゲティングする施策というのはSEOでは難しいのですが、広告で実現できるように感じます。
SEOのトレンド②
おなじみ、スマホ時代の4つのモーメント
いろいろなところで語られていますが、「スマホ時代の4つのモーメント」はスマホのSEOにおいてとても重要です。
マイクロモーメント検索を、「know(知りたい瞬間)」「go(行きたい瞬間)」「do(やりたい瞬間)」「buy(買いたい瞬間)」という4つに分類したもので2015年にGoogleが提唱しました。
たとえば、「buy」に関するキーワードは「ニューバランス スニーカー」「美白美容液」というように、アイテム名が多いでしょう。時には店舗にいながら「ナイトミン 効果」「毛穴撫子 口コミ」と商品名で検索し、購入前のひと押しを調べるニーズもあるでしょう。
この「buy」に関するキーワードは特にスマホでは広告枠が最上部を占め、上位を取ってもSEOでの獲得が難しいという現象が起きています。そのため、ECサイトでも「know(知りたい瞬間)」「do(やりたい瞬間)」の対策が重要となってきています。そのあたりはまた解説していきます。
SEOのトレンド③
MFIへ移行した後のこと
この記事が出る頃にはMFI未移行のサイトも段階的に強制移行が実施され、ほとんどのサイトがMFIに移行していると思います。MFIはGoogleのクロールに関する仕様変更のため正確に語るのは難しいのですが、とにかく、
MFIに移行したらスマホサイトがGoogleにインデックスされて評価対象となる。
SEOをやるならPCサイトではなくスマホサイトを最適化する。
と、理解しておけば良いでしょう。
つまり「スマホサイトにすべての情報を載せる」「スマホサイトで使いやすくする」「スマホサイトを速くする」といったことです。レスポンシブ以外では注意が必要です。
私の感覚では案外、Web担当者の方はPCに向かって作業しているのでPCサイトを見がちのように感じています。リニューアルでもまずPC画面から設計というのはいまだによく見られます。
しかし、ユーザーが見ているのは多くのサイトでスマホ、Googleが評価するのもスマホという時代ですから、やはりスマホファーストで考えていくことは重要なのです。
SEOのトレンド④
いよいよランキング指標に!? 「Core Web Vitals」
Googleは昨今、サイトの表示速度を重視しています。それは回線状況が不安定になりがちなスマホで、いかに速くサクサクと閲覧できるかを考えてのことです。
そして2021年6月中旬には「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」というユーザー体験、つまり操作性に関するものがランキング指標になります。「Core Web Vitals」についてはまたどこかで解説しますが、最低限、Google Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」レポートのモバイルを確認しておきましょう。
不良のURLが大量に出ていたり、流入の多い重要なページで指標よりかなり悪い場合は該当箇所を改善した方が良いです。 「速く快適に操作」は、SEOはもちろん、広告においてもは大事なポイントです。
SEOのトレンド⑤
スマホ画面を理解していますか?
PCとスマホで一番違うのは「画面」です。スマホ特有の縦長の小さなスクリーン、そしてタップやスクロールなど特有の操作、中にはSEO的に評価されない見せ方や実装方法もあります。
逆にPCサイトでは評価されなかった折りたたみメニューは、UX目的であればスマホではOKです。
PCのように「h1タグが……」「リード文が……」「キーワードの内部リンクが……」という時代ではありません。無限スクロールやカルーセルなどを実現しているJavaScriptの適切な処理、そして回遊しやすいナビゲーションの設計がスマホSEOの肝です。
最善のナビゲーションはUXを向上させ、それは結果的に広告にも良い影響を及ぼすと思います。
PCからスマホサイトをチェックする方法
最後にPCからスマホサイトを簡単に閲覧する方法を紹介します。Chromeブラウザの「デベロッパーツール」を使います。
この方法で閲覧すれば、スマホ画面だけでなく、スマホサイトのソースコードやリンク先、ステータスコードなども簡単に確認することができます。スマホSEOには必須のツールです。
まだ見たことがない方はぜひご自身のサイトで試してみてください。
まずはスマホサイトを見る癖をつけて、ご自身のサイトやターゲットとするキーワードの検索結果は常にスマホでチェックするようにしてみてください。
次回は2021年の広告のトレンドについてお話しします。