石居 岳 2018/11/5 8:00

全世界での月間アクティブアカウント数が10億に達したInstagram(インスタグラム)。日本国内では「インスタブーム」の火付け役は若年層だが、現在は30~40代など幅広い層に利用者が広がっている。2018年6月にはフィード投稿から商品が購入できる「ショッピング機能」を国内で導入。ベイクルーズやZOZOなどが利用し、実績を上げつつある。9月には、投稿内容が24時間で消える「ストーリーズ」にもショッピング機能を拡大した。Instagramをビジネス活用する上で必要な最新情報と、EC事業拡大における活用のヒントを探る。

Instagramはどんな人が、どのように使っているの?

月間アクティブアカウント数が10億を超えたInstagramのデイリーアクティブアカウント数は5億、全体の80%は米国以外で利用されている。

国内では2018年11月1日の発表時点でアクティブアカウントは2900万。2017年10月の発表では2000万だったので、1年で900万も増えたことになる。

Instagramのデイリーアクティブアカウント数は5億、全体の80%は米国以外で利用
デイリーアクティブアカウント数は5億、全体の80%は米国以外で利用されている

ちなみにこの2900万という数字だが、12歳から65歳の日本の人口を考えると約4人に1人ということになる。若年女性以外にも、かなり裾野が広がっている。(鈴木大海執行役員本部長)

フェイスブックジャパン 執行役員 本部長 鈴木大海氏
フェイスブックジャパン
執行役員 本部長 鈴木大海氏

男女比は女性が57%、男性が43%。5人に1人が朝起きてすぐInstagramをチェックしているという。毎日Instagramで検索機能を利用する人も20%、そのうち、検索した後、何らかのアクションを起こす人は42%となっている

何らかのアクションというのは、たとえばWebサイトで詳しい情報を調べたり、友達に話したりすることなどを指している。それくらい、Instagramは国内利用者にとって情報を得たり、そこから行動を起こしたりするきっかけになっている。(鈴木執行役員)

Instagramユーザーは、5人に1人が、朝起きてすぐInstagramでフィードなどを確認する
5人に1人が、朝起きてすぐInstagramでフィードなどを確認する

日本特有のInstagram活用がある。ハッシュタグ検索、日本は世界の3倍

国内における特徴的な利用方法として、ハッシュタグ(#)の利用があげられる。ハッシュタグとは投稿に関連するキーワードを付けることで、検索を容易にするもの。人気のハッシュタグをデータでみると、グローバルでは「#love」「#photography」など単語が上位に出てくる一方、日本では「#写真好きな人と繋がりたい」など、文章のようなハッシュタグが人気を集めるという独特の傾向が見られるという。また、日本の利用者がハッシュタグで検索する回数はグローバルと比較すると3倍以上となっている。

旅行、スポーツ、ペットなど利用者が見るコンテンツが多様化

Instagramでよく見るコンテンツのカテゴリーを利用者に聞いた2017年の調査では、2015年の結果と比較し、旅行、動物・ペット、スポーツ、料理などのコンテンツが50%以上増加していた。写真やアート・デザインのコンテンツは引き続き人気はあるものの、増減でいうとマイナスとなっている。利用者が好むコンテンツが多様化しつつあるといえる。

Instagramで利用者がよく見るコンテンツの種類
Instagramで利用者がよく見るコンテンツの種類

利用者の80%は何らかのビジネスアカウントをフォロー

企業がInstagramを活用する事例も増えている。フェイスブックジャパンの調査によると、Instagram利用者の80%が何らかのビジネスをフォローInstagramで新しい商品やサービスを知った人は60%、そのうち75%の人は何らかの行動を起こしている

Instagram利用者の80%が何らかのビジネスをフォローしている
Instagram利用者の80%が何らかのビジネスをフォローしている

たとえば、スポーツに興味がある利用者のうち、Instagramでお気に入りのチームやプレーヤーの最新情報を入手している人は54%、自動車に関心がある人のうち、自動車の購入時にInstagramの影響を受けた人は59%などとなっている。

Instagramでは、スポーツに興味がある利用者のうち、Instagramでお気に入りのチームやプレーヤーの最新情報を入手している人は54%、自動車に関心がある人のうち、自動車の購入時にInstagramの影響を受けた人は59%
ビジネスと利用者のつながりについて

ストーリーズ投稿全体の50%以上が動画

Instagramを使って広告を配信することも可能。フィード広告では、写真や動画、カルーセルなどのフォーマットを揃えており、認知向上やアプリのインストールまで、さまざまな目的のキャンペーンを出稿できる。

Instagramには投稿した写真や動画が24時間で消えるストーリーズという機能もあり、ストーリーズへの広告出稿も可能。ストーリーズ広告ではフルスクリーンの縦型フォーマットを利用し、没入感のある広告を表示することができる。

1つの広告に最大で3点の異なる写真、動画、リンクを組み合わせて出稿できるカルーセルや、画面のスワイプ・タップ操作によりインタラクティブな方法でブランドのストーリーを伝えることできるインスタントエクスペリエンスなど、フォーマットも多様。もともと、ストーリーズに投稿されるコンテンツ(オーガニック投稿 )の半数以上が動画ということもあり、動画クリエイティブが映えるのもストーリーズ広告の特徴と言える。

Instagramでは、ストーリーズ広告は動画活用が進んでいる
ストーリーズ広告は動画活用が進んでいる
Instagram広告はブランディング、ダイレクトレスポンスのどちらでも活用可能
Instagram広告はブランディング、ダイレクトレスポンスのどちらでも活用可能

Instagram広告はフェイスブック広告と同様の仕組みなので、出稿媒体や時期、ターゲットなどついては、「基本的にプラットフォーム側のアルゴリズム、そして搭載しているAIにお任せいただいて自動配信した方が、結果的にはより合理的に安価に配信できるという特徴がある」(鈴木執行役員)。そして、鈴木執行役員は次のように続ける。

ターゲットの範囲を狭く設定していくほど、CPM(1000回表示あたりの広告コスト)の値段が上がっていく傾向がある。合理的に広告枠などをバイイングできる自動配信を活用し、費用対効果を高めることをオススメする。(鈴木執行役員)

Instagramは、キャンペーンの目的を問わず、すでに多くのビジネスに貢献している
キャンペーンの目的を問わず、すでに多くのビジネスに貢献しているという

広告のクリエイティブについては、「モバイルはコンテンツの消費速度が速いので、思わず親指を止めたくなるようなクリエイティブを意識してほしい。また、リフト調査などを使って広告効果を検証することも意識してほしい」(鈴木執行役員)としている。

Instagram広告の効果を高めるための基本
Instagram広告の効果を高めるための基本

Instagramにショッピング機能を導入

2018年6月、Instagramのショッピング機能を日本でもローンチした。EC事業者、特にアパレルや化粧品、雑貨などの小売企業に注目してもらいたい機能という。投稿画像に写っている商品に、商品名や価格の入ったタグ(吹き出しのようなアイコン)を付けることができ、そのタグをタップすると、さらに細かい商品の詳細をアプリ内で表示できる。

商品タグは、1つの画像につき5つまで設定可能。商品の詳細ページに飛んだあと、興味がある利用者は「ウェブサイトで見る」ボタンをタップすることで、ECサイトの商品ページに直接飛ばすという仕組み。国内企業では、すでにベイクルーズやZOZOなどが利用している。

Instagramの世界観やUIはそのままに、利用者を商品購入までスムーズに誘導することができる。購入リンクからの遷移率も非常に良い評価をいただいている。(鈴木執行役員)

Instagramのショッピング機能「Shop Now」は、フィード投稿からシームレスにショッピングできるのが特徴
フィード投稿からシームレスにショッピングできるのが特徴

米国ではショッピング機能導入の結果、トラフィックは25%、収益は8%増加した事例もある。さらに、着こなしのアイデア投稿により、1200件以上の注文と10万セッション以上のトラフィックを獲得した例もある。

ストーリーズにショッピング機能

9月18日から、24時間で投稿内容が消えるストーリーズもショッピング機能に対応した。ストーリーズは通常のフィードとは別に、ホーム画面上部に表示される。フォローしているアカウントが写真や動画を投稿すると、アカウントのアイコンに虹色のリングが付く。

「ストーリーズが人気を集めているのは、24時間で消えるため気軽に投稿できること。見る側からすれば24時間で消えるので、すぐチェックしたくなるのが特徴」(鈴木執行役員)としており、機能を導入してから2年足らずの2018年6月時点で、世界で毎日4億アカウントが利用するほどの人気を集めている。

ホーム画面のファーストビューに表示されるため、「ストーリーズ」のコンテンツは利用者から閲覧されやすいという
ホーム画面のファーストビューに表示されるため、「ストーリーズ」のコンテンツは利用者から閲覧されやすいという
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