50代が最もネット通販にお金を使う、など2015年のEC利用実態[総務省調査まとめ]
「ネット通販を使う人は右肩上がりで増えている」「ネットショッピングにお金を最も使うのは50歳代」――。総務省が2015年から始めたネットショッピングによる家計の消費実態把握調査。このほどまとまった2015年の調査資料から、こうしたネットショッピングの利用状況が浮かび上がる。2015年、消費者はネット通販をどのように利用したのか。さまざまな角度から資料をまとめてみた。(調査結果を見る上での注意点)
家計消費実態把握調査からわかること
ネットショッピングを利用した世帯の割合
2015年のネット通販の利用状況(1か月あたりの平均、2人以上の世帯)を簡単にまとめると、
- ネットショッピングの支出額:8643円
- ネットショッピング利用した世帯における1世帯あたりの支出額:3万1310円
- ネットショッピングを利用する世帯の割合:27.6%
2人以上の世帯におけるネットショッピングでの1か月間の平均支出額は、1世帯あたり8643円。調査内容が異なる2014年は6505円だった。正確な増減率は算出できないが、確実にネットショッピングを使った支出が増えていると推測できそう。
インターネットを利用して商品・サービスを購入した世帯(2人以上の世帯)の割合は、全体世帯の27.6%。2014年調査の25.1%から、2.5ポイント増加している。
世帯主の年齢階級別によるネット通販への支出
2人以上の世帯でのネット通販利用に関する年間支出総額は、1世帯あたり平均で10万3716円。
年齢階級別に見ると、50歳代が15万5916円で最も多く、40歳代が14万6064円で続いた。
平均を下回ったのは60歳代以降。主たる要因は、調査対象の世帯数(ネット通販を利用していない世帯含む)に対して、年齢階級が高くなるほどネット通販を利用する世帯数が低下しているため。
ネット通販を利用している世帯は39歳までで45.2%。50~59歳までは38.2%と比較的高い数値となっているが、60~69歳になると22.1%まで急激に低下。70歳以上では11.1%にとどまっている。
ネット通販を利用する高齢者層の世帯は少ないものの、ネットショッピングを使うシニア世帯の支出額は大きい。
ネット通販を利用した世帯における1世帯あたりのECへの年間支出額は50~59歳が40万7988円でトップ。続いて、60~69歳が39万9336円、70歳以上が38万7804円で続いている。いずれも平均の37万5720円を上回る。
ネット通販を利用する世帯数が最も多い39歳までの消費者だが、ECを利用する世帯に限ってみると支出額は最も低い(31万3168円)。
地域別に見たネット通販の利用状況
地域別のネット通販への支出額(1か月平均)では、平均は8643円。最も多いのは関東で11万248円。近畿が8956円で続いた。3番目に多いのは東海で8046円。
最も低いのは北陸で5750円。僅差であるが東北が5751円で上回っている。
都道府県別の消費支出総額に占めるネットショッピングによる購入割合は、神奈川県が最も高い。次いで埼玉県、東京都、秋田券、奈良県などとなっている。※「平成26年全国消費実態調査結果」から
収入階層別に見たネット通販への支出額
2人以上の世帯における収入階層別のネット通販への1か月あたりの支出額は、平均で8643円。最も高いのは世帯収入2000万円以上で、1か月あたり3万2326円をネット通販で支出している。
世帯収入が低くなるにつれてネット通販への支出も減っており、200万円未満の世帯では1か月あたり2600円の支出となっている。
項目別のネット通販への支出割合
2人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した支出総額の内訳を見ると、「旅行関係費」の支出が21.8%で最も高い。
次いで「食料」が14.3%、「衣類・履物」は10.7%、書籍や音楽ソフトなどの「教養関係費」は10.3%、「家電・家具」が10.1%。
2人以上の世帯におけるネットショッピングの月別支出金額を見ると、「旅行関係費」は多くの働く人が夏休みを取得する8月が最も多い。「食料」は2015年12月が最も伸びる。
「家電・家具」はボーナスシーズンの12月、7月のほか、年度末の3月が多い。
各項目別の2015年におけるネット通販を利用した支出額(1か月の平均)の内訳は次の通り。
※2015年調査から、調査項目などが変更されました。総務省による注意点を記載しました。
家計消費状況調査では、2014年(平成26年)12月までは「インターネットを利用して購入した財(商品)・サービスの支出総額」を調査してたが、ネットショッピングによる消費をより詳しく把握するために、2015年(平成27年)1月から、内訳となる22区分の財(商品)・サービスについても調査を開始。総額のみの回答から項目別の内訳を具体的に回答することにより、今までは回答者の意識に入りにくかったものも含めインターネットによる購入について広く把握されると考えられることから、2014年(平成26年)以前の結果と時系列で比較する際は注意が必要。