ロボットを活用した倉庫は全世界で5万か所まで増える!物流ロボティクスの未来は?
小売事業者やその他の業種の企業が、安価で先進的かつ商業向けの新世代ロボットを活用し始め、ECではフルフィルメントが大きな牽引力になっています。
ロボット倉庫が急増する理由
マーケット調査会社ABI Research社の調査によると、柔軟性が高く、効率のよいECのフルフィルメントが求められる中、2025年までに世界中の50,000の倉庫で商業用ロボットが活用されると見込まれています。その数字は、2018年の4,000から12倍以上になります。
ABI社のシニアアナリスト、ニック・フィニリ氏によると、全米だけでも、ロボットを活用した倉庫は2025年までに23,000まで増えると考えられています。2018年の2,500から大きな上昇です。
ロボット倉庫が増える主な理由はECの成長。他の要因としては、技術の進歩によってロボットがより小さくより高性能に、より安くなったことに加え、人材不足が挙げられます。 フィニリ氏は語ります。
多くの小売事業者が同日配送、もしくはスピード配送を提供するため、より早く注文をさばき、倉庫を効率良く管理する必要が出てきました。自律性のモバイルロボット(AMR)など、洗練された新世代ロボットが、そのようなニーズに応えてくれるのです。
すぐに倉庫から人間がいなくなるわけではありません。将来的にも人間がいなくなることはないでしょう。しかし、EC注文が増え、消費者がスピード配送を期待することにより、倉庫やフルフィルメントセンターも革新を迫られているのです。
技術の進化により安価な商業用ロボットが登場したため、今までのように固定のオートメーションを導入したり、新たに人を雇う必要性が減りました。そもそも、新たな人材をすぐに確保できるという前提ですが。
フィニリ氏によると、小売事業者のフルフィルメントセンターや倉庫は都会から少し離れたところに建設されることが多いため、スタッフの採用や離職防止も難しい状況です。人材不足が続く中、ホリデーシーズンなどの繁忙期に臨時スタッフを採用しなくてはなりません。
ウォルマートやGapでもロボットが稼働中
多くの小売事業者や配送業者が、生産性を高めるためにロボット技術をフルフィルメントのインフラに導入し始めています。店舗でのオムニチャネルフルフィルメントを遂行するために、お店にロボットを導入するケースもあります。
たとえば、食料品店 2016年にオープンした「Freshippo」(「Hema」の名前でも知られています)は、109の店舗でアリババグループによる自動化が進んでいます。「Freshipp」oは、モバイルファーストに取り組み、オンラインとオフラインの買い物を融合しています。消費者はアプリを使って店内の商品をスキャンし、商品情報を確認し、アリババのモバイル決済プラットフォーム「アリペイ」を使って購入できます。
同じアプリで食品を注文して、配達してもらうことも可能です。オンラインの注文に関しては、各店舗がフルフィルメントセンターの役割を果たし、3km以内に住む消費者には最短30分以内で商品を届けます。
全米EC事業 トップ1000社データベース 2018年版 第3位のウォルマートが現在アメリカ国内でテストしている自律式のモバイルカート「Alphabot」は、オンラインで食品を注文した消費者向けの保存食品を集めます。ロボット製作のスタートアップ「Alert Innovation」が開発した「Alphabot」はその後、ウォルマートスタッフに商品を渡し、スタッフが仕分けと配送を担当します。
世界中で配送サービスを行っているDHLも、EC需要に応えるために北米の倉庫で商品ピッキング用のロボットを導入しました。Gap(全米EC事業 トップ1000社データベース 2018年版第20位)も、2017年10月にヒューマンアシストのロボットアームと、AIのスタートアップ「Kindred」の技術を倉庫で活用し始めました。
アマゾン(全米EC事業 トップ1000社データベース 2018年版 第1位)は現在、倉庫内で100,000以上のロボットを活用しています。アマゾンが2012年に7億7500万ドルで買収したフルフィルメントロボット開発会社Kiva Systemsはのちに、Amazon Roboticsに社名変更しました。