トランスコスモスチャイナ(transcosmos China), 鄧玉娟(Laura Deng) 2020/10/26 9:00

中国では2019年に5G(第5世代移動通信システム)の商用時代に突入しました。中国の情報通信部門を管掌する中国工業情報化部が、中国4大モバイルサービスプロバイダーの中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国広電(チャイナブロードキャストネットワーク)の4社に5G商用ライセンスを発給。各社は5Gの商用パッケージの提供を開始しました。5Gの超高速ネット環境が消費者体験などにどのような変化を起こすのか。消費行動の変化とIoTの2点から解説します。

5Gが変える買い物体験

アリババグループの会長だったジャック・マー(馬雲)氏が、ビッグデータと人工知能を活用し「オンライン、オフライン、物流の融合」をめざす「ニューリテール戦略」を提唱し、「従来のECモデルが覆されることになるだろう」と語ったのは2016年のこと。

あれから4年。5Gの商用時代に突入し、この新技術がニューリテール産業に巨大な変革をもたらすことは間違いないと考えられています

5G時代は、超高速であらゆる物や人がつながると考えられています。消費者はリアルタイムでブランドとつながり、より早くサービスを受けられるようになります。同時に、ブランド側は膨大な消費者データを迅速に蓄積・処理することができ、消費者の特性に合わせたサービス体験を提供できるようになります

さらに、5Gが持つ超高速広帯域での伝送能力で、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)におけるレンダリング(リアルなイメージを作る能力)不足、インタラクティブ体験の弱み、モバイル端末変更による機能低下といった課題を解決できるとされています。

現在、文化、広報、ソーシャルエンターテイメント、教育科学など、多くのユーザーが密接にかかわる業界では既に5G技術の応用が進んでいます。たとえば、AR技術を使っている店ではユーザーは外出しなくてもショッピングやバーチャルフィッティング、バーチャルメイクなどが体験できるようになっています。

より現実に近いライブコマースで顧客体験を向上

京東(JD.com)は中国電信(チャイナテレコム)と2019年11月に提携し、世界初の5G電波を活用した体験店「京東電器超級体験店(JD E-SPACE)」を重慶にオープンしました。店内には買い物ガイドロボット、AR(拡張現実)でのインタラクティブ性、5G+8Kライブ配信、自動運転などの5G体験エリアが設けられています。5G時代の到来で、エンターテイメント業界と消費者体験に質の変化と影響が生じているのです。

トランスコスモスチャイナ 5G JD E-SPACE 京東電器超級体験店 JD.com 京東 店舗内部の様子
京東電器超級体験店(JD E-SPACE)店内の様子

そのほか、JDは「オンラインの仮想空間で見たものを買える」というECサイトでのコンテンツマーケティングを推進しました。ECサイトは文章、写真、ビデオコマース(サイト内にショートビデオを組み込んで商品の魅力をアピールするマーケティング手法)といった段階を踏み、ついにライブコマースを活用するステージに入ったのです

5Gを活用したライブコマースは、画像や動画が高品質になります。4K/8K Ultra HD(Ultra-High Definition)と5G技術の融合はECマーケティングの手法に多様な変化をもたらします。

中国では「快手(クアイショウ)」「抖音(TikTok)」などの新たなショートビデオプラットフォームが登場。ライブコマースの成長基盤と競争優位性を構築し、タオバオやJDなどのECプラットフォームにユーザーの流入が集中するという業界全体の課題を改善しました。

また、「5G+VR/AR」技術がECビジネス分野で広く応用され始めています。ユーザーはライブ配信を視聴時、まるで「KOL」(キーオピニオンリーダー)と対面しているかのようなコミュニケーションを実現でき、商品細部も鮮明に見ることができます。より現実に近い状態で買い物を体験できるようになっているのです。つまり、企業視点では、「5G+VR/AR」技術の活用によって、顧客体験を向上させられるようになっています

5Gを活用した新たなマーケティング手法は、今までになかった商品アピールの効果を生み出しています。そして、新しいプラットフォームを創り、プラットフォームと消費者の信頼感を高めます。

5Gは中国ニューリテール業界に新たなビジネスチャンスと消費者の買い物体験に変化をもたらしました

5G時代はIoTの発展が加速、「ヒト・モノ・シーン」の関係再構築を簡素化

5G時代はIoTの発展が加速し、「ヒト」と「ヒト」、「モノ」と「モノ」、「ヒト」と「モノ」の情報伝達がよりスムーズになります。スマートロジスティクス、スマートホーム、スマート小売、遠距離医療などのビジネスやサービスの発展を促進することになります。

「JD E-SPACE」は「StarLink IoTリテールプラットフォーム」でモノとモノをつないだりしている

直近の事例では、中国では新型コロナウイルス対策において、5G技術や遠隔医療設備を利用した入院患者への遠距離診断、4K/8Kの画像・動画配信を通じた遠隔検査や遠隔手術が可能になっています。

また、5G時代はモノのインターネットが進化し「ヒト・モノ・シーン」の関係を再構築、実店舗での商品・サービス販売の在り方も変えていきます。

その代表例が、アリババが杭州に開設した初の無人スーパーマーケット「盒馬鮮生(フーマー鮮生)」をオープンして以来、無人販売は人々から注目を集めています。

5G時代において、無人販売は中国でさらに成長を遂げるビジネス分野といっても過言ではありません。

販売事業者はデータ分析を通じて出店場所を決め、スマートターミナルを通じて在庫商品と納品の管理を効率化し、顔認識技術や決済アカウントの信用メカニズムで人々の購買行動を管理します。また、無人販売モデルは実店舗より低コストで標準化作業を容易に実現するメリットがあります。技術進歩が業界にさまざまな可能性を与えました。

トランスコスモスチャイナ 5G 無人販売
KFCのタッチパネル式のセルフ注文機

近年、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)などのファストフード企業は、中国の実店舗でタッチパネル式のセルフ注文機を導入しました。ユーザーは自由に注文でき、携帯で注文機スクリーンのQRコードをスキャンするだけで決済完了です。こうした無人販売モデルは消費者の待ち時間を削減するだけでなく、混雑時のスタッフ不足問題も解決しました。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上をめざして、ニューリテール業界での大変革は勢いを増しています。5G技術によるニューリテールの発展は、ビジネス最適化とアップグレードだけではなく、サービスの効率化と顧客体験向上という相乗効果を実現していくでしょう

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