ナイキ、ビックカメラ、ZARA、アスクルなどが使うAI搭載の自動ピッキングロボット「EVE」は何がスゴイ?【現場レポート】

物流業界では作業効率化や人材不足解消を目的に、ロボットを導入する企業が増えています。自動ピッキングロボット、ドローン……。ただ、現場で働く“最先端スタッフ”を目にする機会ってなかなかないですよね?
今連載では「聞いたことはあるけど見たことない!」という物流ロボットや最新テクノロジーを活用した物流の現場をレポートをしていきます。
ロボットが働く様子はどんな感じ?
AI搭載の自動ピッキングロボット「EVE」
今回取材したのはギークプラスが開発したAI搭載の自動ピッキングロボット「EVE」。NIKEやZARA、アスクル、ビックカメラ、DHL、佐川急便などさまざまな企業が導入しています。
最近では2月にギークプラスが「EVEシリーズ」をNIKEの物流倉庫に導入したと発表。千葉県市川市内の新倉庫で200台以上が稼働しています。
ギークプラスによると、自動化によって人的作業を50~70%削減。2~3年程度の短期間で投資回収が可能とのこと。
「EVE」を取材するために伺ったのは、千葉県印西市に拠点を置くマルチテナント型施設「プロロジスパーク千葉ニュータウン」内にある「EVELABO」です。
指示を受けた「EVE」は対象商品が入った棚まで自動で移動。棚の下に入り込みその棚を持ち上げます。「ワーキングステーション」というピッキングを行う場所まで棚を運びます。運べる重さは200kgから1tまで。商品に合わせてロボットのサイズを選べることができます。

「EVE」はどのように「ワーキングステーション」まで動くのか? 実は床にQRコードと導線が記載されており、ロボットの底面に設置したセンサーがそれを読み取り、導線に沿って移動します。
動きはすべてサーバーで管理しているため、ロボット本体が考えて動いているわけではないそうです。「AIだとまだ臨機応変な対応が苦手なので、考えている時間がロスになってしまうんです」(ギークプラス ロボティクス事業部の野上悠希さん)

ピッキング作業を効率化
実際のピッキング作業を見学しました。以下の動画を見てください。黒い棚が勝手に動いているように見えますが、棚の下をよく見ると「EVE」がせっせと棚を運んできているのがわかります。
商品のピッキングが終わると「EVE」が棚を戻すために移動します。ピッキングする商品はワークスペース内にあるモニターに表示されているので、作業者は表示内容に従って商品を棚から取り、商品データをスキャンしてカゴに入れるだけ。カゴの下にはランプがついており、ピッキングした商品はランプが点灯しているカゴに入れていきます。
もしピッキングする商品を間違えてしまっても、バーコード読み取り時にエラーを表示して知らせます。商品を入れるカゴはパッと見でわかりやすくなっているので、倉庫作業に慣れていない方でも間違えにくく、簡単に作業が行えるようになっているんです。(野上さん)
「EVE」が棚を選んで持ち上げる時には、棚の裏についているQRコードを読み取っています。

棚は商品に合わせて変更ができます。ハンガー付きやアクセサリーなど小物用に細分化されているものがありました。

棚ごとにバーコードで位置情報が割り振られているので、ワーキングステーションに運んだ棚はきちんと元の場所に戻してくれます。戻し位置も正確で、隣の棚とのズレはあっても約1cmほどでした。綺麗に並べられた棚の間をロボットが移動しています。
働くロボットのスペックは?
速さと駆動音
実際に動いているところを見たのですが、駆動音が静か! 多少“ウィーン”というモーター音は聞こえますが、この静かさなら作業をしている人同士の会話もきちんと聞き取れるな、というほどでした。
移動速度は大きさにもよりますが、毎秒1.2m~1.3mほどで人が歩く速度より少し早いぐらい。荷物を運んでいないときはもう少し早くなります。動きは速度と安全性を考慮して前進のみです。
稼働時間と充電
環境にやさしい省エネ設計で、30分の充電でなんと10時間動きます!充電は残電池量が80%を切ると自動で充電器に戻り、90%を超えて充電されると待機モードに復帰します。

安全性も考慮されています
ロボットの前面に物を感知する赤外線センサーが付いており、障害物をセンサーで感知すると1m前から減速し30cm手前で停止します。障害物が突然前に出てきたときも急停止が可能。ただ、野上さん曰く「センサーの感知範囲が扇状なのでそこから外れてしまうことがあります」とのこと。
前面にバンパーが付いており、もし感知範囲外でもバンパーにぶつかると止まる設計になっています。ライトは状態によって色が変わります。通常時は青、危険時は黄色になっていました。
実際に見学をして、予想よりも動きがなめらかでせっせと荷物を運ぶ姿を見て感動。倉庫自体も初めて見たのですが、とても広い。広い倉庫内で重たい荷物を運んだり、商品を探して移動したりすることはスタッフの方にとって負荷が大きいことを実感しました。
「商品のピッキングにかけていた人員を検品作業などにあてることで、届く商品の精度をより上げることにつなげている企業もいますね」と今回案内をしてくれた野上さん。ロボットの導入で負担を軽減して精度を上げることは倉庫、荷主、消費者などいろいろな面でプラスになっていきますね!
次回は「EVE」を開発したギークプラスの代表取締役社長の佐藤智裕さんから伺った、ロボットや最近の物流動向などについてお伝えします。