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AIエージェントコマースは新たな販路になる? 自社AIアシスタントと「ChatGPT」で売上増を実現するWalmartの挑戦

大手企業の一部では、エージェント型コマースや、OpenAIの「ChatGPT」の活用・連携の仕方が変容しています。Walmartでは「ChatGPT」との連携を深め、顧客のタッチポイント拡大につなげています

Digital Commerce 360

8:00

Walmartは自社のAIアシスタント「Sparky」とOpenAIの「ChatGPT」の連携を進めており、担当役員は従前のオンラインショッピングにはなかった「プラスアルファ」の買い物チャンスを創出できると考えています。WalmartのAI活用の最新状況、役員がそのように考えている理由を解説します。

大手企業によるAI・エージェント型コマースの活用の変容

「エージェント型コマース」やOpenAIの「ChatGPT」との向き合い方が変化しているのは、特定の有名企業だけではありません。2026年3月、OpenAIはエージェントを通じた決済戦略の見直しを発表。今後、「ChatGPT」内に構築される「各小売事業者のアプリ」を戦略の中核に据える方針を掲げました。

Shopifyも、自社のEC構築サービスを利用する販売者の決済フローにおいて、「ChatGPT」をどのように活用していくかという新たな方針を公表しています。

WalmartのAI最新動向

そうしたなか、Shopifyと同様に「ChatGPT」の「Instant Checkout」機能(「ChatGPT」のチャット画面からECサイトの商品を消費者が直接購入できる機能)を導入していたWalmartの取り組みも、大きな分岐点を迎えているようです。

消費者が「ChatGPT」のチャットから商品を直接購入できる「Instant Checkout」

現在、WalmartでAIおよび商品デザイン担当のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるダニエル・ダンカー氏の指揮の下、Walmartは自社が開発したオンライン上で買い物する消費者をサポートするAIアシスタント「Sparky」と「ChatGPT」の連携に注力しています。ダンカー氏は、このエージェント型コマースへのアプローチが、WalmartのEC売上高をさらに押し上げると確信しています。

さまざまな顧客のニーズに対応し自律的に行動する「Sparky」のイメージ(画像はWalmartのニュースリリースから追加)

さまざまな顧客のニーズに対応し自律的に行動する「Sparky」のイメージ(画像はWalmartのニュースリリースから追加)

「ChatGPT」経由でEC売上を“上乗せ”するWalmartのAI

金融大手モルガン・スタンレーのカンファレンス(2026年3月に開催)に登壇したダンカー氏は、Walmartや他の小売事業者が現在直面している大きな疑問に答えました。

その疑問とは「エージェント型コマースは、売り上げを増やす『成長の起爆剤』になるのか、それとも単に既存の販売ルートを置き換えるだけ(同じものを別の場所で買うだけ)なのか?」という問いです。

ダンカー氏の見解は、状況によってその両方が起こり得るが、「ChatGPT」内で「Sparky」を利用して行われる購入は、「売り上げを上乗せするプラスの活動」の好例であると話しています。

Walmartは近年、「ChatGPT」の内部で「Sparky」を動かせる機能をリリースし、消費者の動向をチェックしてきました。 ダンカー氏は、「ChatGPT」経由で消費者が何を買っているのかに注目。当初は、単にWalmartのアプリで買っているのと同じものを買っているだけ、という結果になる可能性を予測していましたが、しかし、実際は異なりました。

「ChatGPT」経由で消費者がWalmartから購入している商品のトップ2は、意外にもビタミン剤とプロテインのサプリメントでした。(ダンカー氏)

ダンカー氏の分析によると、これらの購入は、必ずしも「これが欲しい」という直接的な購入意欲から始まったわけではありませんでした。

「ChatGPT」経由でビタミン剤やプロテインのサプリメントを購入した人のきっかけは、当初から「買い物」から始まる問いかけではなく、おそらく、「最近GLP-1(ダイエット薬の一種)を飲み始めたんだけど、気をつけるべきことは何?」といった生成AIへの相談から始まったはずです。(ダンカー氏)

Walmartのダニエル・ダンカー氏(画像はWalmartのコーポレートサイトから追加)
Walmartのダニエル・ダンカー氏(画像はWalmartのコーポレートサイトから追加)

つまり、幅広い悩み事や質問から生成AIとの対話が始まり、その流れで提案された商品が購入につながるという、売り上げを生む新しい形が見えてきたのです。

Walmartが見い出す「エージェント型コマース」の真の価値

一方で、ダンカー氏は、たとえ売り上げの「上乗せ」にならなくても、何らかの「不便」を解決しているのであれば、エージェント型コマースには価値があると考えています。Walmartの場合、食品などの定期的に購入する商品を「自動化」できる可能性をあげています。

多くの消費者は、エージェント型コマースとロボット型コマースを同一視しており、自分の代わりにコンピューターにハンドルを握らせて、買い物を丸投げすることだと思っているようです。

その文脈で言えば、エージェントが提供する価値は全く新しいものとは言えません。Walmartでは特定の商品を自動で定期購入したり、繰り返し注文したりする機能やシステムを提供してきました。新たに取り組んでいるAIアシスタント「Sparky」と 「ChatGPT」を連携したエージェント型コマースは、「より賢くなった進化版」なのです。(ダンカー氏)

ダンカー氏は「ロボットによる自動購入」と「エージェント型コマース」には違いがあると考えています。ダンカー氏の言葉を借りれば、エージェント型コマースとは「1つのAIエージェントともう1つのAIエージェントが、互いに協力し合って1つのタスク(買い物など)を完了させること」を意味しているのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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