Digital Commerce 360[転載元] 2022/12/22 8:00

調査対象の小売事業者の約半数が、クリスマスイブまでに商品を届けるための締切日をECサイトで告知しています。多くの企業では、通常配送で配達を保証する注文最終日を12月15日前後に設定していますが、お急ぎ便の場合はそれ以降の締切日を表示している企業もあります。輸送会社のオペレーションは、2021年より改善されています。

記事のポイント
  • 通常配送で12月24日までにお届けするための締切日は、12月15日前後が多い
  • 店舗を持つ小売店では、直前の注文に対応するため、店頭での受け取りを促進しているところもある
  • 配送会社の配送オペレーションは2021年より向上

大手オンラインショップの半数近くが、クリスマスイブまでに配達するための注文の締切日を、ECサイトで消費者に知らせています。また、クリスマス間近に注文した場合の選択肢として、配送を早めたり、店頭での受け取りを推奨する企業も少なくありません

米国のEC専門誌大手『Digital Commerce 360』が、12月12日に調査した大手小売業者の100サイトのうち、43サイトが12月24日までの商品配達についてECサイトで告知していました。通常配送の最終締切日は、12月15日が最多でした。

アパレル会社のTipsy Elves は、標準の配送料でクリスマス前の配送を保証するため、12月15日に締め切りを設けている小売事業者の1つ。派手なアパレルを販売するTipsy Elvesはシーズン後半になると、人目を引くセーターやTシャツ、ワンピースを訴求するために、配送料の割引を行っています。たとえば、最近は優先発送を通常の9ドルから5ドルに引き下げました。

週末に行われる大きなパーティーに向けて、金曜日に受け取れる方法で割引を行うのが一般的です。週末のホリデー、パーティー、イベント、行事のために商品を注文されることが多いのです。(Tipsy Elves エヴァン・メンデルソン創業者)

メンデルソン氏はこう付け加えます。「私たちの目標は、お客さまができるだけクリスマスに近い時期に、最も手頃な価格で注文できるようにすることです。また、すべてを配達日の保証付き配送をします」

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主要通販100社のうち43サイトでクリスマスの註文締切日が記載されていました(出典:Digital Commerce 360)

年末年始の注文の店頭受け取りを推進する小売チェーン

12月24日までの商品配達についてECサイトで告知している43社のうち、37社が12月12日から19日の間に通常配送の注文締切日を設定していました

ペット用品などのPetco Health and Wellness Companyの広報担当者は、締切日の12月13日は全国規模の宅配サービスが告知している推奨に基づいていると説明します。

確認した100の通販サイトのうち、最も遅い締切日はダイヤモンドのEC企業Blue Nile社。12月23日までの注文で、クリスマスイブまでに通常配送で商品を届ける保証をしています。

これは数百ドル以上する婚約指輪などのジュエリーを専門に扱うBlue Nile社は、注文から配送まで2日以内のお届けを送料無料で実施しているためです。

婦人服小売店Chicos FASの通常配送での配達保証の締切日は、2020年は12月13日でしたが、2022年は12月14日になったと広報担当者は言います。それまでに購入商品を決められない消費者には、Chicos.comで購入した商品を店頭で受け取る場合に限り、12月15日から12月24日までオンラインにて10%割引を提供しています

オンラインで購入し、店舗で受け取るという方法は、買い物を先延ばしにしている人にとって、年末年始の救世主となり得ます。実店舗での販売を主とする63の小売事業者のうち、40%にあたる25社が、年末のプレゼントへ間に合わせるための方法として、店舗での受け取りやカーブサイドピックアップ(車中受け取り)を提供しています。

Petcoでは、12月24日の閉店2時間前までに注文すれば、その日のうちに店舗で商品を受け取ることができると消費者に呼びかけています

改善に向かっている配送会社の配送オペレーション

配送会社の定時配送率を調査しているShipMatrix社によると、2年前から配送遅延が頻繁に発生していましたが、現在はコロナ禍前の水準に改善しつつあるようです。

DHLとUPSを利用していますが、2022年は信頼性が高まっています。コロナ禍の最中は、配送遅延がありましたが、2022年の輸送会社のパフォーマンスはかなり強力で信頼できるものでした。(Tipsy Elvesのメンデルスゾーン創設者兼CEO)

ShipMatrixによると、配送会社のオペレーションは全体的に改善しているようです。感謝祭のホリデー期間前後は遅配が増えたものの、その後の11月24日から30日までは、2021年同期より良い結果を残したとShipMatrixは解説します。

特にFedExの指定配送が最も改善されており、指定日時の配送完了率は2021年同時期の83.9%から95.3%になりました。UPSは2022年、96.1%から96.6%の荷物を時間通りに配送。USPSは95.5%からわずかに上昇し、95.8%を予定通りに配達しました。

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2022年11月24日~30日のUPS、FedEx、USPSの指定日配送率(出典:ShipMatrix)

ShipMatrixによると、大手配送会社3社に、Amazonを含む他の配送業者を加えると、2022年には1日1億1000万個もの小包を扱えるまで配送能力を高めたそうです。2022年の約9000万個と比較すると、大きく扱う荷物の量を増やしました。

ShipMatrixはピーク時の配送需要を9200万個と予測しているため、配送会社のキャパシティには余剰があることになります。ShipMatrixは2020年に1日720万個、2021年は130万個の過剰需要を予測していたことを考えると、過去2年とは大きな変化です。

それにもかかわらず、音声自動化ソフトウェアを提供するVoxwareが2022年10月下旬に実施したオンライン調査では、消費者の61%がオンライン注文のオンタイムデリバリーを受け取ることに不安を感じていると回答しています。

年末年始の配達保証日の表示、不安払拭につながる

ECサイトで年末年始の配達保証日を大きく表示することは、消費者の不安払拭につながります。また、一部の小売事業者は、通常配送の締切日以外の日付も消費者に提示しています。たとえば、家電量販店の Newegg Commerceは、注文から3日後、2日後、翌日配達の注文最終日を表にして表示しています。

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Neweggでは通常配送だけでなく、お急ぎ配送の注文締切日も表示しています

Levis Strauss & Co.は2022年、ハヌカ(ユダヤ教の行事)を祝う消費者が12月18日から始まる休暇に配送を間に合わせるために、注文締切日を知りたがっていることに着目。"DON'T BE LATE "という見出し掲載し、ハヌカとクリスマス・イブの注文締切日を出荷案内ページに記載しました。

「いつ商品が届くのか不安」。クリスマスや年末年始の消費者心理を信頼度アップにつなげる米国EC企業の配送事例
Levisはクリスマスだけでなく、ハヌカに間に合うように出荷するための注文締切日を表示しています

アパレルのChico'sは、カナダやその他の国の人々にも締切日を案内しています。『Digital Commerce 360』の調査によると、EC売上トップ1000社 のうち北米以外の利用者に商品を発送している小売事業者は511社にのぼります。

「いつ商品が届くのか不安」。クリスマスや年末年始の消費者心理を信頼度アップにつなげる米国EC企業の配送事例
Chico'sでは、アメリカ、カナダ、海外の住所の注文期限を表示しています

キャンドルブランドのYankee Candle Companyは、ECサイトのバナーで、名入れキャンドルを含め12月14日までに購入した商品は、12月24日までにお届けすると告知しました。

詳細な情報提供で、年末年始の消費者の不安な心理をチャンスに変える

オンライン通販利用者は、ホリデーシーズンには特に配送時期を気にします。

『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightsがオンライン通販利用者1088人を対象に行った調査によると、ホリデーシーズンのオンラインショッピングの場所を選ぶ際に考慮するポイントとして、32%が配送スピードをあげています。また、過去に利用した小売事業者の配送経験を16%があげました。 

多くのオンライン小売事業者は、年末年始の買い物に間に合うかどうかという消費者の不安な心理を、信頼感を高めるチャンスだと認識しています

オンライン小売事業者は、年末年始の配送に間に合わせるには、いつまでに注文を入れなければならないか、詳細な情報を提供することで、信頼を得ようとしているのです

また、休日が迫ってから買い物をする人のために、お急ぎ配達の締切日についての詳細を提供している企業もあります。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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