【Amazonの消費者・企業調査】ECの利点は迅速な配送が約7割。EC開始で売上1.6%上昇、平均労働時間は月1.3時間減少
アマゾンジャパンは11月5日、「ECの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」についての調査結果を公表した。それによると消、費者の約7割がECの利点は迅速な配送にあると答えたほか、主要カテゴリーの商品を小売店よりも平均して3~6%強ほど安く入手できると回答している。
調査は国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)がアマゾンジャパンから研究の委託を受けて実施した。調査実施期間は8月で、全国の20歳以上の男女10万人を対象にインターネット調査を行った。オンライン販売の平均売上増加率に関する質問については、サンプルの内オンライン販売を開始してから1年~9年の企業に勤める人を対象とした。
消費者調査の結果
過去1年間にオンラインショッピングを始めたユーザーを対象に実施。ECの利点について、80%以上が「いつでもどこでも簡単に買い物ができること」、約70%が「商品の迅速な配送」「幅広い商品にアクセスできる、バラエティの豊富さ」と回答した。
回答者全体で書籍・日用品・家電製品・美容・ヘルスケアといった主要なカテゴリーの商品において、オンラインショッピングの方が小売店よりも平均して3~6%強ほど安く入手できると回答した。
文化的な側面からの質問として、普段の生活や地元の商店では見つけることが難しい本や地方の珍しい食材との出会いなどを例にあげ、オンラインショッピングを通じた文化体験について聞いた。8割が「文化的豊かさ」を感じるようになったと答えたほか、8割が「暮らしの満足度が上がった」と回答した。オンラインショッピングが消費者の生活の質の向上に貢献していることが明らかとなった。
企業向け調査の結果
企業向け調査では、ECは多くの企業の売上成長率を引き上げる効果があることがわかった。また、従業員が継続的にデジタルスキルを習得し、結果として生産性が向上することも明らかとなった。
売り上げについては、過去1年から9年前のいずれかの時期にECを開始した企業では、開始前と開始後の売り上げを比較すると、平均して1.6%上昇することがわかった。EC実施の有無にかかわらず小売業の2015年~2023年における売上増加率の中央値はマイナス0.08%(Nikkei NEEDS法人企業統計データをもとに算出)であるため、EC実施企業の成長率は顕著と言えそうだ。
企業規模別の傾向では、ECを始めた従業員100人未満の中小企業の年間の平均売上増加率は2%、100人以上の大企業の上昇幅は1.4%で、中小企業の方がECによる恩恵が大きい。
過去3年以内にECを開始した企業の従業員は、平均して2つの新しいデジタルスキルを習得し、その後もEコマースの実務を通してスキルを取得し続けていた。一方で、ECを開始していない企業の従業員ではデジタルスキルの習得はほぼゼロだった。
EC開始後、企業の売り上げは平均で年1.6%底上げされる一方、平均労働時間が月1.3時間減少していることもわかった。このことから、ECが生産性の向上につながることも明らかになったと分析している。
アマゾンは全国の約13万社以上の販売事業者が商品を販売しており、その多くは中小企業。2023年に日本の販売事業者はAmazonで数億点の商品を販売し、その販売個数は前年比で10%以上増加しているという。
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