受注・在庫・発送などの管理を超効率化する方法は? クラウド型のバックオフィス管理ツールの導入効果と仕組みを解説
新型コロナウイルス感染症拡大で、ECや宅配サービスへの需要が高まっている。この傾向はアフターコロナの消費環境でも継続すると予想されており、新たにEC事業への参入を検討する企業は後を絶たない。ECビジネスへの新規参入、EC事業のブラッシュアップで欠かせないのがバックオフィスの効率化だ。日本オラクルが提供するクラウドEPR(統合基幹業務システム)「NetSuite」は、最短45日間、月額20万円台で導入できるバックオフィスシステム。各種データの一元管理、データ連携の自動化などでECビジネスの業務はどのように変わるのか――。
新型コロナの感染拡大でEC化が一気に進む
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、小売店舗や飲食店の売り上げは減少し、ECビジネスや宅配サービスに対するニーズが増加。巣ごもり需要に対応するため、EC事業への参入やECサイトの立ち上げなどEC化が一気に進んでいる。
小売業者はECモールへの出店、自社ECサイトの立ち上げなどで商品を販売しており、これらのチャネルで売り上げを伸ばすために、さまざまな工夫を施している。
ECサイトでは商品を個性的に良く見せるためのデザイン、自社ブランドを認知させるための宣伝やメルマガ、SNSなどさまざま手段を使って集客・コンバージョンにつなげようとしている。ECサイトのようなフロントシステムにはさまざまな施策を行っているが、在庫管理や出荷、仕入れなどのバックオフィス側への投資は、どうしても後回しになることが多い。(NetSuite事業統括ソリューション・コンサルティング本部・部長 窪倉勝彦氏)
EC事業を強化、拡大している小売業者は多い。規模が拡大すればするほど課題となるのがバックオフィス業務だ。小売業者では、注文を受けたときに商品を効率良く発送できるような在庫管理や出荷管理、販売機会を逃さないための計画に基づく仕入れ、ECサイトの売り上げや人件費など目標に対する実績の数値管理などが課題となるケースが増えてくる。
たとえば受注管理業務。受注処理で時間がかかる対応としてあげられるのが個別の出荷管理。別々に発送すべきなのか、のしを付ける必要があるのか、配送日や配送時間の指定があるかなど――。個別に対応していると業務効率が悪化する。効率化するにはバックオフィス業務をシステム化する必要がある。(窪倉氏)
バックオフィス業務を効率化する「NetSuite」
EC事業におけるこうした課題を解決するのがクラウドERP「NetSuite」である。
ECモールや自社ECなど各チャネルからの受注を一括で管理し、必要な業務をすべてERPで行うため、業務プロセスの最適化や情報管理の一元化を実現できる。「各モールやECサイト、店舗の情報をデータ連携することで、データを『NetSuite』で一元管理して業務の効率化を図ることもできる」(窪倉氏)
「NetSuite」はユーザーがログインしたとき、権限に応じてダッシュボードを表示。ダッシュボードはログインユーザーの業務に応じたデータを、リアルタイムでグラフ、メーター、数値などで表示する。150種類を超えるレポートを標準で用意。すべてのレポートを利用し、データを「NetSuite」からではなく、定期的にメールで情報を送る機能も搭載している。
ECモールや自社ECサイト、実店舗との各種データを連携するための仕組みも備えている。CSVファイルによるデータのやり取りに加え、APIによるデータ連携を行うことも可能。
また、ワークフロー機能を標準で搭載。「NetSuite」内でのデータ処理に応じたプロセスを簡単に追加することができるようになっており、「システム連携を自動化することで作業コストの削減とルールに従った処理で、作業ミスを排除することができるようになる」(窪倉氏)
メガネのECや実店舗販売を手がけるオーマイグラスは、オムニチャネル基盤として「NetSuite」を利用して各種データを一元管理している。「完成したメガネを、店舗または自宅で受け取ることができる独自の受取プロセスに対応したフロントシステム、バックオフィスを連携することで、国内最大級のECサイトに成長した」(窪倉氏)
オーマイグラスでは、実店舗での眼鏡の試着をECサイトから申し込むことができる独自のビジネスプロセスがある。一般的には店舗在庫から試着し、購入するが、オーマイグラスは消費者が選んだフレームを、試着したい実店舗へわざわざ配送するという仕組みがあり、在庫の連動が複雑になる。
通常はECサイトと実店舗の在庫は個別に管理する必要があるが、「NetSuite」ではすべての在庫、販売状況、顧客情報などを一元管理。オーマイグラスのような独自のビジネスプロセスにも対応できるようにしている。
フロントシステムはECサイト、店舗のPOSシステムなどさまざまなシステムがあり、販売チャネルごとにビジネスが異なる。もちろん在庫も個別に管理する必要がある。販売や顧客情報を一元管理することで迅速な経営判断ができようになるのがクラウド型のERPである「NetSuite」だ。(窪倉氏)
ビジネスの基礎を作る「NetSuite」のソリューション
「NetSuite」が提供するソリューションに、基本設定、自動化のワークフロー、国内法令対応ソリューション、管理会計、予算管理のプラットフォームなどを追加したのが「Oracle NetSuite SuiteSuccess(オラクル ネットスイート スイートサクセス)」だ。「NetSuite」がERPを使って20年、その間の知見を集めた導入ソリューションだという。
「NetSuite」にかかわらず、ERPを使うときは川下の業務からだんだん拡張されることが多い。まず会計をしっかりし、お客さまの情報をつかむ。在庫も自動で管理しようとか、まず業務の基本となるところをきっちり作ることで、次のステップに移行できる。その基本が「SuiteSuccess」となる。成功のための礎というソリューションだ。(NetSuite事業統括マーケティングEvangerist・海老原善健氏)
導入期間を短く、月額費用も安く
「SuiteSuccess」はプリセット仕様の活用で、導入期間は最短45日、月額費用は20万円台(初期費用込み)。既存データをすべて移行することが可能だ。こうした仕様により、導入が間に合わないなどのプロジェクトリスクの軽減を図ることができる。
さまざまなニーズに対応する「NetSuite」のソリューション
「NetSuite」ではさまざまな事業者のニーズに対応する体制を整えている。たとえば、海外に出店したい企業向けの通貨や税制への対応、予実管理、カスタマイズ対応、日本独自の税制対応など、さまざまなニーズに対応するソリューションを提供している。
バックオフィス業務のワークフローも「NetSuite」で管理することが可能。受注処理、出荷指示、出荷、請求、入金確認といったワークフローの管理を「NetSuite」のダッシュボードで一元管理できるようになるのだ。
定型レポートも自動化するので、生成処理に時間がかからない。レポートのカスタマイズも可能で、好きなスタイルにカスタマイズできる。「画面も違うスタイルに変更できる。これも会社の仕様に合わせて変更することが可能だ。入力する項目を増やしたり減らしたり、不要なものは削除したり、順番を変えることもできる」(海老原氏)
昨今、バックオフィス業務などのDX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれているが、海老原氏は「DXで変わることによって良いことがないといけない。そのために何がしたいのか? 手段をしっかり考えてほしい」と説明。そして、小売業者に向けて次のように訴えた。
システムを導入して情報を集約、予算管理や情報分析などをプラットフォームで行い、自社の新しい製品やサービスを生み出していく。こうしたお客さまの顧客満足度をあげていく分野に、小売業者は力を注ぐべきだ。私たちはバックオフィスの効率化視点で皆さまのお手伝いをしていきたい。(海老原氏)