メール返信に時間かかってませんか? 60分以内返信で顧客の心をワシ掴み!
メール共有・管理システム「メールディーラー」の累計導入社数が6000社以上の実績があるラクス。アクセス数や転換率の向上に直結する高品質な顧客対応を実現している通販・EC事業者の事例を踏まえ、顧客からの高評価につながるメール対応のポイントについて、FO事業本部MD事業部の矢崎澪氏が解説する。(写真◎Lab)
新規顧客の獲得に高評価レビューが効果的
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、巣ごもり需要によるEC・通販の消費決済額が伸長しており、通販各社では既存顧客やリピーター以外の新規顧客の流入が増えている。今までは広告やセール企画を打ち出してもECサイトに流入してこなかった消費者も、ECに流入しやすくなっている状況ということだ。
その中で、どのようにしてより多くの新規顧客を獲得していくべきか、「新規顧客がお店・商品を選ぶポイント」の調査データから読み解くと、大きく3つのポイントがあげられる。
新規顧客がお店・商品を選ぶ3つのポイント
- 「価格」価格・手数料の安さやコストパフォーマンス
- 「商品」品ぞろえの充実度
- 「レビュー・口コミ」ほかの顧客からの評価
しかし、すべての条件をそろえるにしても「価格」の安さばかり追求すると利益の減少やそれに伴う広告費の削減といった事態に陥る懸念があり、「商品」もアイテム数を増やすほど商品管理の課題が浮上してくる。
一方で、「『レビュー・口コミ』は、評価を上げるために長期的な取り組みが必要となるものの、低いコストで高い効果を得ることができる」と、矢崎澪氏は主張する。
85%が初めて利用するネットショップのレビューを確認
ある調査では、初めて利用するネットショップで商品・サービスを購入するときに、85%の消費者がレビューを「確認する」「確認することの方が多い」と回答している。
低評価レビューの店舗では約80%が購入を取りやめる
さらに、レビュー評価が悪かった場合は80%近くの消費者が「購入を取りやめる」「購入を取りやめることが多い」と回答している。
特にモールではレビューの多い順で絞り込める機能があるため、レビューの数自体がモール内のSEO施策としても効果を発揮する。
「顧客対応」では、何が評価されているか?
過去の楽天市場のレビュー項目は、「品ぞろえ」「情報量」「決済方法」「スタッフの応対」「梱包」「配送」――の6つで構成されており、特にレビュー評価が4.8以上を超えるショップは「スタッフの応対」に関するレビューが多数を占めているという。
“良い接客”がレビューを創出する
接客の良さに対する口コミ発信の有無に関する調査では、「家族や友人・知人に直接話した」(53.8%)、「SNSやお店の口コミページなどに投稿した」(27.2%)という結果が出ていることから、“良い接客”がレビューを書いてもらいやすい状況を作り出していると言える。スタッフの応対や接客は、ブランディングやマーケティングの上で重要なポジションに位置しているということだ。
高評価レビューにつながる顧客対応、4つのポイント
では、顧客対応では、何が評価されているのか。レビュー総合評価4.8以上を超えるショップを参考に、レビューで高評価を得るための4つのポイントを挙げる。
- 対応のスピード
- 対応の品質(丁寧さ)
- 豊富な品ぞろえ
- 丁寧な梱包
これらのポイントから、「モノ」だけでなく顧客対応や接客といった「コト」でレビュー評価を高められることがわかる。
メール対応の「質」と「スピード」を両立するには?
ECにおける顧客対応の中でも、今回はメールの顧客対応に特化してテクニックを紹介する。
品質とスピードの評価ポイント
顧客対応のメールでは、以下のような項目が「対応品質」として顧客から見られているという。
- 適切な言葉遣いができているか
- 応対に必要な知識を備えているか
- 対応は正確か
- 顧客との認識のすり合わせができているか など
「対応スピード」はどの程度の時間を指すのかというと、消費者の60%超が「60分以内」であれば対応が早いと感じていることから、60分以内の対応が顧客の期待に応えられる対応スピードであると思われる。
よくあるトラブルから見た、失点を防ぎ得点を上げる方法
顧客対応は人と人とのやり取りのためトラブルにつながりやすい業務だが、中でもよくあるトラブルについて下記に挙げる。
このようにクレームが発生したり、低評価のレビューが付いたりすると、そこへの対応に時間を要してしまい、ほかのメールの対応が遅れてしまうという悪循環に陥りかねない。こうした課題を解決するために、まずは「失点を減らす=顧客に悪い印象を与えない対応」の施策を実施し、さらに、高評価レビューにつなげるための「得点を上げる=顧客満足度を高める対応」を行っていかなければならない。
顧客に悪い印象を与えない対応
- 対応漏れをなくす
⇒問い合わせメールの対応状況を管理し、メンバー全員で共有できるようにする。 - 対応速度を上げる
⇒「問い合わせに○○分以内に対応する」というルールを決め、ルールが守られているか適宜チェックする。先述の通り、理想の対応時間は60分以内だが、業務量の多い企業でも24時間以内などというように、状況に合わせたベストなルール設定が必要だ。
利用しているメッセージ管理ツールなどに「自動返信機能」があれば、活用することを推奨している。人の手で迅速に回答ができない営業時間外や休業日に問い合わせがあった場合、音沙汰なしに待たせるストレスがクレームにつながりかねないため、自動で一次返信できる機能の活用は有効だという。
顧客満足度を高める対応
- 対応品質を高めるために顧客対応を標準化する
⇒よくある問い合わせは、テンプレートを作成して返信対応を標準化する。テンプレートは担当者全員で共有しておけば、ノウハウの偏りが防ぎやすくなるほか、対応スピードの向上にも効果を発揮する。
また、社内マニュアルや蓄積したノウハウも、スプレッドシートやエクセルなどで随時更新しながら共有することで、属人化することなく顧客対応の品質が全体的に高められる。 - 特別感を演出する
⇒テンプレートだけの文面にせず、個別のメッセージを添えて顧客に特別感を与えることが好ましい。
実践で使えるメール作成のポイント
顧客対応におけるメール作成のポイントについて、①差出人名、②件名、③本文、④フッター(署名)の、メールを構成する4つの要素に分けて紹介する。
① 差出人名
誰から送信されたメールなのかが一目で分かるように、企業名、ブランド名、ショップの屋号など、顧客にとって最もわかりやすい名称にしておくべき。
② 件名
どこから来たメールなのかが受信ボックスでも一目瞭然になるようにしておかなければいけない。返信の際に「Re:」の付いた件名でそのまま送信するより、「お問い合わせの件につきまして」などと記載すると、よりわかりやすく丁寧な印象となる。件名をそのままにしておくと、やり取りが続いた場合に「Re:」だけで件名が埋まってしまうケースも散見される。また、人が一瞬にして認識できる文字数は約13文字と言われているため、なるべく冒頭から13文字以内に伝えたい内容を記載することが重要だ。
③ 本文
問い合わせをするということは、ショップに対して何らかの興味を示してくれている表れなので、まず、感謝の気持ちを一言入れるようにする。また、「サポート担当の○○です」というようにショップ側の担当者名を記載すると顧客との距離が縮まりやすくなる。メールは表情や声がうかがえないため、こうした細かな気遣いが顧客満足度に差を生むという。
④ フッター(署名)
署名は自己PRの場と考え、企業(ショップ)名、住所、連絡先などの基本的な情報を漏れなく記載しなければいけない。当たり前だからこそ不備があれば顧客の目に付きやすいため注意が必要だ。また、顧客が電話で伝えたいと思ったときに電話番号がなければ検索する手間をかけてしまい、顧客満足度の低下や販売機会の損失につながりかねない。
こうした一言や一手間でお客さまが喜び、口コミも投稿してくれる。SEOや広告よりコストパフォーマンスもよく、すぐに実践に移せる施策だ。(矢崎氏)