
AdidasとAmazonの連携は買い物体験にどんな影響を与える? 利便性向上を実現できる「Buy with Prime」導入の背景
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AdidasはAmazonと連携し、AdidasのECサイトやアプリで買い物をするAmazonのプライム会員に向け、Amazonの配送オプションを利用できるようにします。これは、2025年1月に発表した米国の時計メーカーによるAmazonプライム会員向けの連携に続く取り組みです。
AdidasがECチャネルに「Buy with Prime」を導入
Amazonは「Amazonプライム」の配送特典を自社ECサイトでも提供できる「Buy with Prime(プライムで購入)」機能を、AdidasのECサイトやアプリに組み込みます。Adidasを利用するプライム会員は、Amazonの配送オプションをAdidasでの買い物にも使えるようになります。

これは、2025年1月に発表された時計メーカーFossil(フォッシル)のECサイトに「Buy with Prime」の配送オプションを追加したことに続く取り組みです。
Amazonは、米国のAmazonプライム会員向けの配送、返品、カスタマーサポートオプションを、プライム会員がAmazonアカウントと連携できる外部のECサイトやアプリでも利用できるようにするという「Buy with Prime」の拡大を図っています。
今春に開始される「Buy with Prime」との連携によって、AdidasのECサイトとアプリで販売する対象商品には、「Buy with Prime」が表示されるようになります。顧客は、Amazonアカウントにログインして購入代金を支払います。
AdidasはAmazonアカウントでの支払いのほか、「Google Pay」「Affirm」「Afterpay」「PayPal」など、現在もさまざまな支払いオプションに対応しています。また、クレジットカードでは「American Express」「Discover」「Mastercard」「Visa」も利用可能です。

「Buy with Prime」がもたらす利便性
「『Buy with Prime』をAdidasのECサイトとアプリに導入することが決まり、まるで新しいスニーカーの靴紐を結ぶ時のような喜びと期待でワクワクしています」。AmazonのBuy with Primeおよびマルチチャネルフルフィルメント担当バイスプレジデントであるピーター・ラーセン氏はこう話します。
プライム会員にとってなじみ深い特典を、「adidas.com」とAdidasのアプリでも提供できるようになります。プライム会員にさらなる利便性を届けることを嬉しく思います。(ラーセン氏)
商品を購入したプライム会員はAmazonアカウントを使用することにより、Amazon.comまたはAdidasからの確認メールを通じて対象の注文の管理、追跡などができるようになります。
靴、化粧品など他業種にまたがり導入企業が拡大
「現在、何千ものブランドのECサイトが『Buy with Prime』を使用している」(Amazonの担当者)。Amazonは当初、Amazonアカウントでの決済に対応している小売事業者が自社のコンバージョンを促進すると同時に、プライム会員の利便性を拡大する目的で「Buy with Prime」を開発しました。
「Buy with Prime」を使用しているEC事業者の有名企業には、靴メーカーのSteve Madden、電子機器メーカーBelkin、化粧品メーカーElizabeth Arden、Crocsが買収した靴のブランドHeyDude、著名なユーチューバーが事業展開するMrBeastなどがあります。
導入企業の売上アップに貢献
Amazonは「『Buy with Prime』は、それを使用している加盟店にプラスの結果をもたらした」と主張。Amazonが語る「プラスの結果」には、顧客1人あたりの売り上げの増加や顧客獲得コストの削減などが含まれています。
ECで定価販売増加をめざすAdidas
2024年10月29日の2024年度第3四半期(2024年7-9月期)決算報告で、Adidasは「EC売上高が前年同期比で3%減少した」と報告しました。この減少は、Adidasの「Yeezy(イージー)」との提携終了に伴う販売量の減少によるものとしています。
「Yeezy」は、米国のラッパーであるカニエ・ウェスト氏とAdidasのコラボレーションブランド。現在、Adidasはウェスト氏との契約を終了しており、それに伴い「Yeezy」の生産も終了しています。
「『Yeezy』の件を除けば、AdidasのEC事業の売上高は前期比で25%増加した」とAdidasは報告しています。
Adidasは「割引販売を減らし、自社ECサイトにおける全体的なビジネス戦略を改善すること」を優先事項としています。Adidasは、このことが定価販売の増加につながったと説明しています。