アマゾンはファッションジャンルも制するのか? オリジナルブランドの衣類が好調なワケ
アマゾンが取り扱う7つのオリジナルファッションブランドの第4四半期(2016年10~12月期)の総売上高は、前四半期(2016年7~9月期)比67%増になりました。
アマゾンの武器はブランド認知を高めるための膨大なデータ活用
リサーチ会社Slice Intelligence社のレポートによると、アマゾンが展開するオリジナルファッションブランドが消費者の注目を集め始めています(編集部追記: 2016年2月にオリジナルのファッションブランド7つの取り扱いを開始しました)。売り上げが顕著に伸びたのは2016年末のことです。
Slice Intelligence社は470万人の消費者がオンラインで購入した際のメールデータを分析。その結果、アマゾンが販売を始めたオリジナルファッションブランドの2016年第4四半期における売り上げが、前四半期(2016年7~9月期)と比べて67%アップしたことがわかりました。
Slice Intelligence社がブログに記載した記事によると、アマゾンは2016年、少なくとも7つのファッションブランドの販売をスタート。中でも「Lark&Ro」の売り上げが最も高くなっているそうです。
アマゾンは、消費者の興味・関心、お金を使う商品に関する膨大なデータを保有しています。そのデータを使い、ブランド認知を高めるためのさまざまな施策を打つことができるのです。
-ブログ記事から引用
しかし、アマゾンが他の小売業者が展開するオリジナルブランドの売り上げに追いつくには、まだ時間がかかりそうです。
ノードストロームのオリジナルブランド「Halogen」は、2016年の1年間で「Lark&Ro」の11倍の売り上げを記録。メイシーズが扱うオリジナルブランドの多くは「Lark&Ro」よりも高い売り上げです。メイシーズの「Alfani」ラインの売り上げは、アマゾンが扱う「Lark&Ro」の9倍の規模になっています。
アマゾンが販売するオリジナルファッションブランドの売り上げの中で、大きな割合を占めているのがワンピースです。Slice Intelligence社の分析によると、他の小売業者の販売商品が多岐にわたるのに対し、アマゾンの場合はワンピースだけでオリジナルブランドの売り上げの43%を占めます。
たとえば、オリジナルブランドのトップスやTシャツの売上構成比率はメイシーズが27%で、アマゾンは17%。パンツの売上構成比率はメイシーズが18%で、アマゾンは5%にとどまっています。一方、メイシーズが販売するオリジナルブランドのワンピース売上は、たった6%しかありません。
ワンピースで成功しているアマゾン
(オリジナルブランドの商品別売上構成比:アマゾンとメイシーズの比較)
Slice Intelligence社の首席アナリスト、ケン・カッサー氏はブログで次のようにコメントしています。
消費者はオフラインでも見て、親近感を持ったブランドであれば、オリジナルファッションブランドをオンラインで購入することに全く抵抗がないようです。そのため、消費者がアマゾンのファッションブランドに親近感を持つにはまだ時間がかかるでしょう。
しかし、オリジナルブランドも有名なナショナルブランドも、アマゾンの動きは注視する必要があります。アマゾンは、消費者の興味・関心、お金を使う商品に関しての膨大なデータを保有しています。そのデータを使い、ブランドの認知を高めるための施策を打つことができるのです。
-ブログ記事から引用
今回、Slice Intelligence社が調査したアマゾンのオリジナルファッションブランドは「Franklin & Freeman」「Franklin Tailored」「James & Erin」「Lark & Ro, Scout + Ro, North Eleven」「Society New York」「Goodthreads」「Amazon Essentials」の計7ブランドです。
インターネットリテイラー社発行の「全米EC事業 トップ500社 2016年版」で、アマゾンは1位、メイシーズは6位、ノードストロームは18位にランクインしています。