2021年のキャンペーンに活用したい「メールマーケティング」6大トレンド
メールマーケティングは、多くの企業やECサイトにとっての生命線です。世界的なコロナ禍の中、ECのプロモーションと売り上げを増やすために、デジタルが最も重要なマーケティングチャネルとなりました。今回は2021年押さえておきたい、メールマーケティングキャンペーンに活用できる6大トレンドをご紹介します。
メールマーケティングによるROIは前年比14ドル上昇
DMA(一般社団法人データ&マーケティング協会)が発行したレポート「2019 Email Tracker」によると、メールマーケティングによる投資収益率(ROI)は、前年に比べて約14ドル上昇。1ドルあたりのROIは58ドル強となっています。
他のマーケティングチャネルと同様、メールマーケティングも常に変化。コンバージョン率の向上やカスタマーサービスの質を高めるために、メールをより効率的に活用するトレンドが生まれています。メールは10年以上使われている技術ですが、企業側と消費者側の両方で、メールマーケティングは絶え間ない進歩を続けてきました。
それでは、ここから2021年のメールマーケティングキャンペーンに活用できる6つのトレンドを見てみましょう。
1. インタラクティブなメールデザイン
メールの構成要素の1つにコールトゥアクション(CTA)があります。CTAは、ユーザーをWebサイトに誘導し、オンラインストアでの交流や閲覧を開始させるものです。
CTAがメールキャンペーンの中心であることに変わりはありませんが、技術の進歩により、インタラクティブな機能を追加することも可能になりました。これにより、ユーザーはサイトに行く前にメールで詳細を確認できます。
インタラクティブなメールの最もわかりやすい例は、Googleのサービスである「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」などです。それらのドキュメントにコメントや提案を残すと、関係者はメールを受け取り、同じメールから自分の回答を追加したり、変更を許可することができます。
しかし、こうしたインタラクティブな機能は、必ずしもドキュメントに関連したものである必要はありません。ECのメールキャンペーンには、次のような特徴的な機能を加えることもできます。
- アニメーションやインタラクティブな画像
- 商品のカルーセルやロールオーバー効果(編注:マウスオーバー効果とも呼ぶ。Webブラウザに表示された画像上にマウスポインタを置くと他の画像に切り替わり、マウスポインタを画像の外に出すと元の画像に戻る効果)
- アニメーション付きCTA
- インタラクティブなアンケートや投票
- 長文メールの短縮表示
AMP(編注:Accelerated Mobile Pages、Webコンテンツを瞬時に読み込んで表示するための手法)のおかげで、上記のような機能が可能になり、プログラマーはメールのなかにWebサイトのような機能を作ることができるようになりました。
この機能により、メール受信におけるカスタマーエクスペリエンスの向上、メール内でのアクションの完了、ダイナミックでリアルタイムに更新されるコンテンツの提供が可能になります。
2. メールマーケティングの自動化
ソーシャルメディアに関するトレンドや最新ニュースを発信する「Social Media Today」が実施した調査「State of Automation」によると、75%のマーケターがメールマーケティングに少なくとも1つのオートメーションツールを使用しているそうです。
さらに、メールマーケティングプラットフォームを提供する「Omnisend」社の調査によると、カスタマイズされた自動化ツールを使う場合、画一的なソリューションと比較して、17.27%高いクリック・スルー・レート(CTR)を獲得しています。
上記2つの事実から、Eメールの自動化がトレンドであることは明らかで、最新のソリューションは、企業やオンラインストアにさらなる収益をもたらしていることがわかります。メールマーケティングを最大限に活用するためには、これらの取り組みを支援するソフトウェアソリューションをいくつか検討することが賢明です。
Eメールキャンペーンを作成するためのアプリケーションは数多くあります。また、キャンペーンのニーズに合わせてさまざまなアプリケーションを組み合わせることも可能です。メールマーケティングサービスを分析し、最新のソフトウェアソリューションを選択する際に考慮すべきいくつかの重要な機能を以下にあげました。
- メールの連絡先の一括追加
- メールオートメーション機能
- SMS送信機能
- 詳細なレポート
- 高い到達率
- 顧客セグメンテーションツール
- キャンペーン管理ツール
3. モバイルデザイン
サイトデザインの最新トレンドにも理由があります。ミニマルでモバイルファーストのアプローチ、ダークモードなどの機能はほとんど、ユーザーエクスペリエンスを高めるため、データに基づいて採用されています。
メールマーケティングソフトウェアを提供する「upland」の調査によると、62%の人が携帯電話でメールを開いています。
さらに、Android関連情報を発信する「Android Authority」が実施した調査では、回答者の約82%が可能な限りダークモードを使用していることがわかりました。これらは、人々がどのように情報を消費することを好むかを示す、的を射た指標です。
メールキャンペーンを作成する際に、上記のような事実を踏まえたデザイン機能を利用することができます。まず、モバイルファーストの考え方でメールを作成し、スマートフォンからのアクセスを容易にします。そして、ダークモードでの利用を意識した配色を検討してみてはいかがでしょうか。
4. プライバシーへの配慮
クロスサイトスクリプティング(編注:Webアプリケーションにおいて、Webサイトの脆弱(ぜいじゃく)性を利用した攻撃手法)からフィッシングまで、いくつものサイバー攻撃が日々、サイトやオンラインストアを脅かしています。
さらに、何百万もの機密データがインターネット上に残されるような情報漏洩の増加により、データのプライバシー保護は世界的に話題になっています。
NTTデータが行った調査によると、回答者のうち、ブランドが自分の情報を安全に保管してくれると信頼している人はわずか8%。消費者はサイトに自分のデータを入力することに懐疑的であるだけでなく、メールを通じて個人情報を求められることにも懐疑的なのです。
メール登録者との信頼関係をさらに構築するために、Brand Indicators for Message Information(BIMI)を採用することができます。メールに情報が少し加わるだけですが、そのメールが信頼できる合法的なブランドから送信されていることを保証する規格です。
同時に、顧客から収集した機密情報は、ハッカーが侵入しにくい別の安全なデータベースに保管しておく必要があります。
5. メールのパーソナライゼーション
データが安全に保管されているという信頼感を顧客に与えることで、メールのパーソナライゼーションとい、貴重なメールマーケティングの手法が使えるようになります。
メールマーケティングソフトウェアを開発する「Campaign Monitor」によると、セグメント化されたメールキャンペーンは760%の収益増加が期待でき、一般的な一律のメールキャンペーンよりも効率的です。
さらに、市場・消費者データを扱う「Statista」が2016年に行った調査によると、パーソナライズされたメッセージの開封率は、一般的なメッセージに比べて1.5倍近く高いことがわかりました(それぞれ18.8%、13.1%)。
興味深いことに、件名とメッセージの両方がパーソナライズされていた場合、開封率は5.9%に低下しました。
パーソナライズされたメールがメールキャンペーンの成功率を高めることは明らかですが、自社のオンラインストアには何が最適か、試してみることも可能です。
顧客を特定のアイテムに興味のあるグループにわけることで、一般的なプロモーションを作成するよりも、はるかに効率的なキャンペーンになります。
ほとんどのメールソフトで、顧客の興味に応じてメールリストをセグメント化し、並行してメールキャンペーンを行うことができます。
6. 情緒的なつながり
デジタルの世界では、私たちは匿名性に慣れているため、感情的なつながりを期待していません。オンラインストアの主な目的は買い物ですが、消費者との感情的なつながりを作ることで、ビジネスをさらに発展させることができます。
調査によると、人は感情的なつながりを感じた企業にお金を使いたいと思うそうです。感情的なつながりを感じている企業と、そうでない企業を比べた場合、その消費額の差は、実に2.5倍にもなります。
愛用ブランドで | 満足している顧客 | 感情的つながりがある顧客 | 感情的つながりによる効果 |
---|---|---|---|
年間消費額 | 275ドル | 699ドル | 2.5倍 |
購入期間 | 3年4か月 | 5年1か月 | 1.5倍 |
感情的なつながりを実現するには、メールキャンペーンを単なるメッセージ発信や一般的なプロモーション以上のものにする必要があります。誕生日のお祝い、個人的なプロモーション、名前入りの割引コード、フィードバックのお願いなどを送りましょう。
あなたのECサイトがソーシャルコマースの原理を活用していれば、より多くの信頼を得ることができます。リピーターが増える可能性も高まりますし、口コミで新規顧客を獲得することもできます。
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オンラインストアのマーケティングに導入を検討すべき、6つのメールマーケティングのトレンドを解説しました。
これらのトレンドのなかには、インタラクティブ性、自動化、デザインなど、純粋に技術的なものもありますが、プライバシー、パーソナライゼーション、感情的なつながりなど、心理的な要素も含まれています。2021年に効果的なメールマーケティングキャンペーンを行う際は、この2つの側面を組み合わせて使用する必要があります。