Amazonが始めた「スポンサーブランド動画広告」とは? CVRとCTRは静止画広告を大きく上回ったアマゾンの新広告を解説
Amazonの「スポンサーブランド動画広告」は、「Prime Day」をきっかけにブレイクし、ホリデーシーズン以降も静かに人気を集め続けています。なぜか誰もこのトレンドを話題にしませんが、この小さなコマーシャル動画広告は今後数か月、数年の間にますます重要になっていくでしょう。Amazonの「スポンサーブランド動画広告」の概要と効果について見ていきます。
静止画の30%以上のCVRをもたらすスポンサーブランド動画広告
2020年から始まったAmazonの「スポンサーブランド動画広告」は、スポンサーブランド広告の動画広告を検索結果に組み込むというものです。この広告は瞬く間に人気を博しましたが、その理由は見た目がかっこいいからではありません。驚くほど成果の高い広告だからです。
マーケティング会社の「Tinuiti」が2020年12月に行った調査では、4月の段階で「スポンサーブランド動画広告」を展開した広告主は従来の18倍にのぼったことがわかりました。
「スポンサーブランド動画広告」は第4四半期(2020年10-12月)において、従来の静止画広告よりも440%以上高いクリック率を生み出すと同時に、静止画よりも30%以上高いコンバージョン率をもたらしました。
このような結果は、マーケターにとって感涙ものでしょう。この数字を見てもピンとこない方は、スーパーボウルでバドワイザーのTVCMを見た後、5人に1人がソファから離れ、6本入りパックを買うためにお店に直行すると想像してみてください。もちろん、ECサイトでの買い物と、テレビの画面を受動的に見るのとは大きく異なりますが、どちらがより効果的で測定可能であるかを強調するためにこの例えをあげてみました。
「Prime Day」では、スポンサードブランド全体の売り上げが600%近く増加しました。そのうち動画広告は5分の1に過ぎず、残りは通常の広告でした。しかし、売上増加を支えた原動力は動画広告だったのです。
動画広告の効果。ブランド認知から購入まで
動画広告が通常の広告よりも効果的であることは、目新しい話ではありません。視聴者は、動画を見たときにはメッセージの95%を覚えるのに対し、文字で読んだときには10%しか覚えていません。
興味深いのは、商品を売ろうとする動画が表示される時、ほとんどの場合は、消費者が見ようとしているものを邪魔しているという事実です。一方のAmazonでは、消費者は買い物以外のことを求めていないので、10秒から30秒程度のミニ動画CMが、カスタマーエクスペリエンスを向上させるのです。
もう1つの興味深い点は、ファネル上部にいる消費者の認知度を高めるこれらの動画は、購入率増加においても効率的であるとわかったことです。「ブランド認知から始まって、購入にもつながるマーケティング」という状況になっています。
また、販売者が自ら制作した動画コンテンツを掲載することで、Amazonがカスタマーエクスペリエンスを向上させていることも非常に面白い点です。考えてみれば、この方法は論理的です。なぜならブランドは自社商品を一番知っていますし、自社コンテンツの効果をすぐに測ることができるからです。
◇ ◇ ◇
いまだにAmazonをダイレクトレスポンスマーケティングのチャネルと考えている広告主は、考え直したほうがいいかもしれません。ここ数年Amazonは、ブランドが消費者とより密接な関係を築けるような環境づくりに力を注いできました。
新しい動画広告の成功は、ますますAmazonがマーケターにとってブランド構築と物販の両方ができる場所になっていることを示しています。もはや、ブランド構築、物販のどちらか一方だけではないのです。