プライム会員のCVRは70%以上! 商品検索エンジンと化したアマゾンで露出を増やす方法
消費者はもちろん、ビジネスで必要な商品を購入する際、企業もAmazon(アマゾン)やAmazon Business(アマゾンビジネス)で商品検索を始めることが増えています。このような状況を踏まえ、アマゾンの検索結果で一番に掲載される方法を学びましょう。
アマゾンが商品検索の覇権を握る
2000年初頭、ネット検索はGoogle(グーグル)から始まりました。工業用のファスナーから電動工具、新しい靴、バンドの曲の歌詞、ボツワナの経済システムに関する学術論文に至るまで、まずはグーグルで検索していました。今もなお、多くのユーザーはグーグルで検索すると言っても良いでしょう。グーグルは世界の検索市場の80%以上のシェアを占めているからです。
しかし、2017年初頭、消費者が商品検索を行うサイトとして、アマゾンがトップに躍り出ました。2017年初めにRaymond James社が発表した調査結果によると、消費者の52%が最初にアマゾンで商品検索を行うと答えたのです。
市場調査などを行うSurvatac社が2017年12月に発表した調査結果では、最初にアマゾンで商品検索をする人は49%、他の検索エンジンを利用する人が36%という結果でした。少し数字が異なるものの、アマゾンが商品検索で大きなシェアを握っている事実に変わりありませんでした。
Amazonに商品掲載しないと機会損失のリスクが生まれる?
商品の検索エンジンとして、アマゾンがグーグルに取って代わった今、この事実はBtoBやBtoCのどんなビジネスに関しても、製造業、販売業者、小売事業者、ブランドは、アマゾンに商品を掲載しないことで販売機会の損失リスクが生まれるという事実を理解しなくてはいけません。
SEO対策や有料の検索広告を使い、ECサイトやWebサイトへの流入を促して商品を見てもらう"伝統的な"インターネットマーケティングの効果は薄らいでいます。
もちろん、きちんとブランディングされたECサイトはまだ有効でしょう。また消費者の印象に残るカスタマーエクスペリエンスを提供できるのも事実です。しかし、グーグルは、商品を見つけ、購入につながる"場"ではなくなっているのです。
多くのオンライン通販事業者は、まだこの流れに気付いていません。ほとんどの企業はいまだにデジタルマーケティング予算の大半を、「伝統的な」検索エンジンマーケティングに割り振っています。消費者がチェックしている場所、すなわちアマゾンへ広告予算をシフトしている企業は、先行者利益を得ることができるのです。
アマゾンは、通常のECサイトのコンバージョン率をはるかに上回っており、購入につながるECサイトとしても魅力的です。Webサイトのトラフィックを計測するMillward Brown Digital社の調査によると、米国のEC売上上位500サイトの平均コンバージョン率(CVR)は3.32%でした。一方、アマゾンのCVRは非プライム会員で13%、プライム会員は驚異の74%という数字なのです。
これらの素晴らしい数字は、驚くに値しません。なぜなら、アマゾンを訪ずれるユーザーの購買意欲は、非常に高いからです。
アマゾン内での露出を高める4つのポイント
アマゾンで成功するにはどうしたら良いのでしょうか? 幸運にも、アマゾンの販売者向けマーケティングツールは、他のオンラインマーケティングツールに似ています(グーグルのツールほど質は高くりませんが、年々、近づいています)。
次の4点が、アマゾンで成功するためのポイントです。リソースや広告予算をつぎ込む必要があるものもあります。しかし、考えてみてください。新しいお客を獲得して、CVRが4倍も高くなるなら、やってみる価値はあると思いませんか?
① 商品データ作りに投資する
デジタルマーケティングマネージャーらは、詳細な商品データを作るために多くの時間とエネルギー、予算をつぎ込んできました。
それらのデータはアマゾンのシステムと親和性が高いため、問題なく利用できます。アマゾンはデータ主義の企業ですから、質の良いデータを持つ商品はアマゾンでも優遇されます。
商品写真、キャッチコピー、商品詳細だけを掲載している商品ページを数多く掲載したところで、上手くはいきません。それだけでは不十分なのです。
アマゾンに掲載する商品は、商品の利点がわかりやすくまとまったキャッチコピー、詳細な商品説明、サイズや重さなどのデータ、5~7枚の商品画像、加えて、できれば動画を最低1本は準備する必要があります。商品知識が豊富で、質の高い動画や写真を準備できるスタッフも必要になります。
長年、EC業界に携わってきて1つ言えるのは、質の良い画像が使われている商品は売れるということです。これはアマゾンでも例外ではありません。今まで、アマゾン以外のチャネルで利用していた素材を使えば良いのです。
アマゾンは質の高い商品ページを作る「A+」(編注:アマゾンのランディングページ用最適化サービス。日本では2015年に「商品紹介コンテンツ」機能としてリリースされている。詳細はこちら)を提供しているので、それをまず使ってください。
② カスタマーとのエンゲージメントにリソースを割く
アマゾンはただのECサイトなのでしょうか? いいえ、そうではありません。販売者が密接に消費者と関わることができるプラットフォームなのです。
販売や最適化のプロセスに関われば関わるほど、アマゾンの検索で上位に表示されるようになります。上位に表示されるには、次のことを試してください。
ポジティブな商品レビューを増やす
アマゾンの検索はレビューの数と内容に比重を置いています。商品に満足してくれた顧客がレビューを書いてくれる仕掛けを作り、検索結果を向上させましょう。マーケットプレイスには、「アーリーレビュープログラム」など、レビュー促進のためのツールが用意されています(編注:日本では、予約商品や新商品サンプルを提供し、意見や感想をレビューとして投稿してもらう招待制プログラム「Amazon Vine 先取りプログラム」がある)。より簡単に早くレビューを集められるようになっています。
全てのフィードバックに迅速に対応する
迅速に質の高い回答をできるかが大変重要です。販売者ランキングにも影響し、引いては検索結果にも関わります。アマゾンは回答期限に厳しいルールを設けている(編注:詳しくはこちら)ため、ランキングを維持するためにはそれに準ずる必要があります。
競合を監視し、コンテンツをテストする
自社ページと他社ページを比較し、キャッチコピーや商品詳細の文章の変更がコンバージョンにどのくらい影響するかテストしてみましょう。最上級の表現を臆さずに使いましょう(もちろん、アマゾンのガイドラインに抵触しない範囲で。編注:Amazonマーケットプライス出品規約はこちら)。
価格をチェックすることも重要です。特に、製造業者やブランドは、再販業者がアマゾン内での販売価格を大幅に引き下げていないか確認しましょう(アマゾン自体が販売価格を引き下げていることもあります)。
ブランドページを作る
アマゾンのマーケットプレイス内では、ブランドにふさわしいカスタマーエクスペリエンスが提供できるよう、ブランドページを作成することができます(編注:Amazonの「ブランド登録」はこちら)。
ブランドページの利点は明らかです。売り上げが伸びれば、アマゾンからも認められ、多くの特典を得ることができます。売り上げが大きくなれば、「ストラテジックセラー」(戦略的販売者)のステータスが与えられる可能性があります(編注:たとえば、米国では「アマゾンチョイス」<Amazon's Choice badge>という、一般的な日常的なアイテムを探すときに時間と労力を節約できるようにする機能がある。Amazon Alexa対応デバイス向けの機能で、特定の基準を満たす製品をAmazonが認定するもの)。ブランドページの好例として、GE Lighting社やB2BでビジエンスをしているFluke Multimeters社のページを参照してください。
③ アマゾンが提供するマーケティングツールを利用する
アマゾンは商品の露出を高めるために、有料のツールをいくつか提供しています。アマゾンに掲載されている何百万の商品の中で露出するには、これらのツールを使いこなすことはとても重要です。新しい販売事業者がアマゾンで販売を始める際にも役立ちます。
スポンサードプロダクト(有料検索)は、グーグルのアドワーズと同様に、好きなキーワードを購入し、ユーザーが関連したキーワードで検索した際に露出することができます。レビュー促進にもつながります。そうなれば、最終的には自然検索でも上位に食い込めるようになるでしょう。さらに、アマゾンは広告の投資効果を高めるため、データアナリティクスも提供しています。
ヘッドライン検索広告(バナー広告)も、キーワードをベースにしています。検索結果の一番上に、他の数点の商品と一緒に表示されます。ヘッドライン検索広告は、アマゾン内の特定のページにリンクを貼ることもできるため、高い効果が期待できます。
商品ディスプレイ広告は、購入に近づいた時に表示される広告で、アマゾンの商品ページ内に表示されます。よりターゲットされた購入意欲の高い訪問者に広告が表示されるため、費用対効果が高くなります。
リターゲティングは、アマゾン内のストアだけでなく、自社サイトへの流入も促してくれるディスプレイ広告を提供しています。
これらのツールを利用するには、綿密に練った戦略と、経験豊富な実行部隊を持つことが重要です(従来のグーグルの検索マーケティングプログラムと同様です)。アマゾンの広告の良い点は、ブランドに関係のない特定キーワードを使っても、アマゾンなら高いROAS(広告費用対効果)が期待できることです(10年前のグーグルと同じです)。
④ フルフィルメントに問題がないか確認する
マーケットプレイスを活用する販売者向けに、フルフィルメントの選択肢が複数用意されています。販売者によるフルフィルメント(販売者が直接購入者に発送)、フルフィルメント by アマゾン(FBA、販売者がアマゾンに商品を納品し、アマゾンが購入者に発送する)などです。
フルフィルメントのシステムを問題なくスムーズにしておく理由は2つあります。1つ目は、商品が予定通りに到着し、中身が正しければ、商品や企業に対するレビューが良くなることが多いからです。
2つ目は、アマゾンのプライム会員への露出が増えれば、より見つけてもらい、買ってもらえる可能性が高まるからです。プライム向けの商品になるためには、アマゾンに直接商品を販売するか(マージンを失い、販売価格や商品紹介方法における決定権を失うため、ベストな方法ではありません)、FBAを利用する方法があります。
プライム会員のコンバージョン率は74%で、2017年には推定約7000万人の会員数だったことを考えると、逃したくないターゲットなのではないでしょうか?
アマゾン内でのプレゼンスを高めることで、販売事業者は多くの利益を得るでしょう。アマゾンは消費者が最初に商品検索を行う場所なのです。
アマゾンというECの巨人を無視すれば、ビジネスのリスクが高まります。たとえアマゾンが競合だとしても、アマゾン対策が必要なのです。マーケトップレイスでどれだけ売れるのかを認識するためにも、アマゾンでの販売を検討することも視野に入れましょう。