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Amazon(アマゾン)での販売は、Google(グーグル)の広告を使ったアプローチとは異なります。それぞれのプラットフォームで、消費者の行動スタイルが違うのです。また、販売事業者が利用できる機能も異なり、販売事業者が気をつけるべき特徴も同じではありません。

アマゾンで売れるようにするために、機能や仕様などさまざまな項目を変更しなければいけないことを考えると、その量に圧倒されることもあるでしょう。しかし、一度変更してしまえば、アマゾンの膨大な数の顧客や、アマゾンにロイヤルティの高い顧客にアプローチできるため、多くの見返りが期待できます。

アマゾンとグーグルを比較すると、消費者の行動スタイルだけではなく、エコシステム、物流、利用可能な機能など、明確に違うものもあれば、あまり違いがわからない部分もあります。

アマゾンの顧客は、グーグルの利用客となにが違うのか?

グーグルとアマゾンの顧客は多くのケースで重複しますが、アマゾンの顧客にのみ当てはまる特徴があります。

非常に高いアマゾン顧客のロイヤルティ

アマゾンは「Amazonプライム」の導入によって、消費者のオンラインでの買い物方法をガラリと変えました。通常の5~7日以内配送で満足していた消費者が、今では2日以内の配送を期待するようになりました(しかも無料で!)。

消費者を満足させるためのハードルが高くなった一方、1億人以上の会員を抱える「Amazonプライム」は、ロイヤルティの高い顧客を数多く囲い込でいます

ロイヤルティの高い顧客は、年間199ドル(編注:米国)のプライム会費に加え、年間平均1300ドルもの買い物をアマゾンで行っています。リサーチ会社Customer Intelligence Research Partners社のデータによると、非プライム会員でも年間700ドルの買い物をしているそうです。

「Amazonプライム」に加えて、低価格で膨大な商品アイテムを提供し、カスタマーサービスも定評の高いアマゾンを、消費者は何度も利用します。顧客中心主義のサービスを提供しているアマゾンは、米国におけるeコマースの売り上げの44%(編注:以下のインターネットリテイラー社の表は43%)を占めているのです(編注:Amazonの直販、マーケットプレイス経由の流通額の割合、インターネットリテイラー社の調査データ)。

全米EC市場のうち、アマゾンが運営するECサイト経由で商品が流通した取扱高の割合
全米EC市場のうち、アマゾンが運営するECサイト経由で商品が流通した取扱高の割合(オレンジが2016年のアマゾンのシェア割合)
出典:インターネットリテイラー、ChannelAdvisor、Slice Intelligence、アメリカ商務省

アマゾンユーザーはすでに買う準備ができている

消費者はアマゾンでもグーグルでも商品を調べますが、アマゾンとグーグルでは、異なる動きをします。

グーグルなどの検索エンジンは、どんな商品が欲しいのかわからず、まずは何が欲しいのかを調べるために利用されます。一方、アマゾンを利用するユーザーはすでに購入する商品を決めていて、購入前にレビューや商品の質を確かめるためにアマゾンを利用しています。消費者は、商品を見つけ、購入するためにアマゾンをチェックするのです。

調査会社Survata社の2017年の調査では、特定商品における検索の49%はアマゾンが起点となっており、グーグルなどの検索エンジンを利用するのは36%にとどまっています。

特定商品における検索の49%はアマゾンが起点となり、グーブルなどの検索エンジンを利用するのは36%
商品情報を探すときにどこから検索するのか?
水色:アマゾン 青:Googleなどの検索エンジン :オレンジ:ECサイト
出典:Survata社のブログ

また、アマゾンで商品検索を始めた消費者の92%は購入に至るという驚異的な数字もあります。アマゾンの顧客はマーケティングファネルの下の方に位置しており、購入する準備ができているということです。

販売事業者がアマゾンで気をつけるべきこと

小売事業者は、ロイヤルティが高く、マーケティングファネルの下部に存在するアマゾンの顧客に商品を売るかどうかを選択できます。全米で最も大きなECサイトで販売するメリットは非常に大きいでしょう。しかし、アマゾンでの販売を決める前に、押さえるべきいくつかのポイントを確認しましょう。

アマゾンは、物流への投資を求めてきます

ほとんどの小売事業者は、既存のフルフィルメントと連携したECサイトを持っています。グーグルは自社サイトに消費者を送客するので、グーグルを利用しても新しい物流システムは必要ありませんよね。

Googleショッピング掲載用の商品情報を作成する必要はあるかもしれませんが、商品のフルフィルメントや在庫管理は、既存のシステム内で完結できます。

しかし、アマゾンで販売するには、新たなフルフィルメントプロセスを作るか、既存のシステムを変更しなければなりません。アマゾンに商品を卸販売するケースでは、「フルフィルメント by アマゾン」(FBA)を利用する場合、決められた箱を使って納品する必要があります。FBAを使わない場合でも、既存の倉庫を使ってアマゾンの注文に対応するためには、受注システムを新たに作らなければならないのです。

アマゾンが顧客データとカスタマーエクスペリエンスを管理します

グーグルは、小売事業者のECサイトに消費者を送客して、事業者のECサイトで購入させるため、顧客データは小売事業者が全面的に管理できます。

アマゾンでは、アマゾンのシステム内で購入が完了するため、販売事業者は顧客データにアクセスすることができません。顧客データをマーケティング戦略に活用できないため、ブランドへのロイヤルティを構築することが困難となります

グーグル検索では、オーディエンスデータを使うことができますが、アマゾンはオーディエンスのターゲティングを許可していません。「アマゾンメディア」(編注:アマゾの広告ソリューションで、スポンサー契約、ディスプレイ広告などがある)でも限られた機能しかありません。消費者がアマゾンで買い物をしたら、彼らはまず「アマゾンの顧客」になるのです。

アマゾンでは大胆な価格戦略が求められます

グーグルを利用する小売事業者の目的の1つは、消費者を自社ECサイトに誘導し、商品を購入してもらうこと。一定のカスタマーエクスペリエンスを提供するため、特別なプロモーション期間ではない限り、1日に何度も価格を変えるようなことはしません。

しかし、アマゾンにおける価格変更は様相が異なります。アマゾンは、多くの販売事業者が求めている「Buy Box」(編注:「Buy Box」は、日本では「ショッピングカードボックス」と呼ばれている。出品商品がAmazon.co.jp上で有利な位置に表示されることを意味し、「ショッピングカートボックスの獲得」と表現されています。詳細はこちら)の称号を手に入れる条件の1つに、競争力の高い価格提供をあげています。結果的に、手動もしくはツールを使って、1日に何度も価格を変更する販売事業者が出てきているのです。

頻繁に価格を変更すると、アマゾンがインターネット上での最安値になる可能性が高く、消費者には歓迎されます。しかし、競争力の高い価格をアマゾンで保つために、販売事業者への負荷が増えていくのも事実です。

アマゾンは、顧客への質の高いサービスを要求します

販売事業者は、カスタマーサービスにおいて一定の基準を満たすように求められます。問い合わせへの返答に要する時間、欠陥品の割合、販売キャンセルの割合、配送遅延率など、アマゾンが提示する基準値を下回ってはいけません。

条件を満たせない場合は、今後一切アマゾンでの販売ができなくなる危険があります。販売中止になった場合、再度アマゾンで販売できるようになるには、数週間、数か月かかることがあります。

販売中止の危険を回避するためにも、アマゾンでの販売を始める前に、カスタマーサービス、在庫管理、発送に関して準備を整えておくことが重要です。

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最初は大変ですが、アマゾン独自のエコシステムをうまく活用することができるようになれば、長期にわたって恩恵を得ることができるでしょう。アマゾンが引き続きEC業界を牛耳ることは間違いありません。アマゾン内での存在感を増しておけば、この先何年も利益をもたらしてくれるはずです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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Internet RETAILER

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