Digital Commerce 360 2018/6/7 7:00

検索エンジン最適化のためにメタデータを活用してきたように、今後は音声検索でもデータを効果的にアレンジする必要があります。音声検索では、テキスト検索と比べてより会話に近い内容で、より多くの単語が使われます。

Amazon Echo(アマゾンエコー)は、2022年には6,000万台も販売されると予想されています。2016年から比べると、その数は10倍です。しかしながら、多くのアメリカ人はこの数字を聞いて驚きはしないでしょう。

タブレット、スマートフォン、パソコンにいたるまで、アメリカ人の多くは熱心に音声検索を利用しています。Amazon(アマゾン)のAlexa(アレクサ)、アップルのSiri、マイクロソフトのCortanaを使って、道案内検索から商品検索まで行っているのです。

家庭内では、テキストでキーワード打ち込む検索方法から音声での検索方法に変わりつつあります。音声を利用して商品を買うことが、日々のルーチーンの1つとなっているのです。NPR社とEdison Research社による最近の調査では、調査対象となった人の57%はスマートスピーカーを利用して商品を購入した経験があり、26%はショッピングリストを作るために定期的にスマートスピーカーを利用していると答えました。

このような状況のなか、企業は音声検索に対応するために、商品データを変更しなければいけないと気づき始めています。検索エンジン最適化のためにメタデータを活用してきたように、今後は音声検索でもデータを効果的にアレンジする必要があります。音声検索では、テキスト検索に比べてより会話に近い内容で、より多くの単語が使われます。

小売事業者が自身の商品データを精査し、新たに商品情報を作成する際、特に注意すべき点がいくつかあります。

コンテクスト理解する

音声検索を使う人たちは、多くの場合、他のことをしながら検索していることを忘れないでください。テキスト検索では、キーボードに手を置いて、スクリーンに目を向けていますが、音声検索は、夕飯の準備など、違うことをしていても可能です。

ディナーパーティの準備をしているときに、音声アシスタントに「リブステーキに最もあう赤ワインはどれ?」と質問するとします。賢い小売事業者であれば、商品詳細のなかにどのような食事とあうワインなのか、情報を追加することでしょう。

もしくは、運転している時や、洗濯をしているときに音声検索を利用するかもしれません。洋服を整理している際、消費者が音声アシスタントに聞きそうなのは、「ジーンズについた草シミを取り除くための商品は?」といった質問でしょう。洗剤メーカーはこのような情報を商品詳細に追加したいと考えるでしょう。

一般的に、音声検索が行われる際、どのようなシチュエーションが考えられるのかを事前に想像して、シナリオにあうように商品詳細を作成する必要があります

音声検索では会話に近い言葉を使う

消費者が音声検索を使う時は、友人に話しているような言葉遣いをします。簡潔で、わかりやすいキーワードを使って行う、伝統的なテキスト検索とは大きく異なるのです。たとえば通常のグーグル検索では、「ロサンゼルスで1番人気のレストラン」と打ち込むでしょう。しかし、アマゾンアレクサを使う時は、「アレクサ、ロサンゼルスで1番いいレストランはどこ?」と聞くのです。

Webサイトの内容や商品データは自然言語のマシンラーニングに対応できるよう、構築されなければいけません。データを最適化することによって、消費者はテキスト検索より多くの単語やフレーズを使う、会話風な話し方で検索することが可能になります。テキストによる検索と異なり、音声検索では1文内に6から10の単語が使われます。多くの場合、「誰が、どのように、何を、どこで、なぜ、いつ」という単語から始まります。

購入決定にいたるまでの各ステージにあわせて商品データを最適化する

音声検索のなかでどのような言葉が選ばれているかを調べると、消費者の購入決定に関する、すばらしいインサイトが得られるでしょう。たとえば。「iPhone XとサムスンのGalaxy S9の違いは?」と質問された場合、その消費者はおそらく技術的なスペックや特徴の違いを比較している段階でしょう。一方、「iPhone Xはどこで売っていますか?」という質問の場合、その消費者はすでに購入する準備ができているはずです。

小売事業者は購入決定にいたるまでの、それぞれのステージにあわせて、商品データに利用する言葉を選ぶことができます。たとえば「この商品を買うべき理由」というセクションを商品ページに付け加えて、まだ迷っている消費者をプッシュすることもできるでしょう。

音声アシスタントの登場で、新しい販売チャネルが生まれました。そのチャネルでは、総合的で、最新で、かつ最適化された商品情報が必要です。商品情報管理(PIM:product information management)ができる特別なツールを使えば、大変便利になるでしょう。商品情報管理ツールは、Webサイト、紙の通販カタログ、パートナー企業向けのデータなど、チャネルに合わせて商品情報を最適化することができます。音声アシスタントを利用して、インターネットで検索している人たちが欲している情報を与えることができるのです

◇◇◇

音声による検索が急増していることを考慮に入れないと、売り上げを逃すことになります。Comscore社の調査によると、2020年までにはインターネット検索の半分が音声になると予想されています。新しい技術に商品情報を適応させ、新たな売り上げを獲得する機会を逃さないようにしましょう。

2020年までにネット検索の半数は音声検索になるとコムスコアは予測する
調査会社のコムスコアは、「音声検索は2020年までにすべてのインターネット検索の半分を占めるようになる」と予測。図はセグメント別ヴァーチャルデジタルアシスタントのユニーク・アクティブ・ユーザー数(出典はTracticaの公表資料)
  • 青:一般ユーザー
  • 赤:企業ユーザー
  • 縦軸:百万人

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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