Digital Commerce 360 2017/11/16 7:00

Amazon(アマゾン)は消費者が投稿する大量のレビューの正当性を担保するため、さまざまな努力を重ねています。アマゾンで掲載されているレビューは、自社ECサイトで販売する製品のインサイトを知る上で、素晴らしい情報源になるのです。

アマゾンの出品サービス経由の収益が少ない場合でも、消費者の評価から多くのことを学ぶことができます。アマゾンのレビューに注目すべき理由は次の4点です。

1. アマゾンは、数百万人の熱心な顧客(意見を積極的に発信しようとする顧客)を抱えている

アマゾンが、EC業界において圧倒的なパワーを持つ存在あることは間違いありません(インターネットリテイラー社発行「全米EC事業 トップ500社 2017年版」第1位)。一部のレポートでは、アマゾンは米国のEC市場規模の40%以上を占めると推定されています

アマゾンのレビュー活用で自社ECの売上UPを実現するための4ポイント。米国におけるアマゾンのシェア
市場シェアを伸ばし続けるアマゾン
アマゾンが所有するサイトで販売されたオンライン売上の比率
オレンジが2016年のアマゾンのシェア割合
出典:インターネットリテイラー、ChannelAdvisor、Slice Intelligence、アメリカ商務省
※市場シェアにはアマゾンが自社で販売した製品および、同社のマーケットプレイスで販売された製品が含まれる

また、米国で抱える顧客の半数以上がプライム会員であることを考えると(現在の会員数は約8000万人以上と推定)、アマゾンを見過ごすことはできないのです。

CIRP社が予測する米国Amazonの2017年6月時点のプライム会員数は、8000万人を超えている
CIRP社が予測する米国Amazonの2017年6月時点のプライム会員数は、8000万人を超えている(編注:画像は編集部が追加)

多くの通販・EC事業者は、アマゾンの成長を自社に活用する最善策を模索しています。選択肢の1つとして、さまざまな特典を提供しているFBAプログラム(効率的なフルフィルメントや在庫管理など)の活用などがあげられます。しかし、アマゾンに対する小売事業者の意見は、いまだに賛否両論があります。

アマゾンの良い面をあげてみましょう。販売チャネルとしてアマゾンを利用していなくても、アマゾンマーケットプレイスの動きに注意を払うだけで有益な情報を得ることができます

特に、何百万アイテムを扱っている商品レビューに注目すると良いでしょう。アマゾンはオンライン購入に関心が高い消費者が最も集まる場所ということを忘れないでください。

なぜ消費者はアマゾンを使い続けるのでしょうか? 理由の1つとしてあげられるのは、アマゾンは消費者に役立つレビューを生み出すコミュニティとなっているからです。アマゾンの利用者は、レビューを通じてメーカーと販売事業者に商品関連情報をフィードバックするほか、他の購入検討者に自らの経験を知らせる役割を担っています。

これによって、購入検討者が買い物で失敗するリスクが下がり、より詳しい情報に基づいた意思決定を行うことができます。そのため、さらにアマゾンのレビューコミュニティの人気が高まるのです。

あなたの顧客の多くは、あなたの販売商品について他の人がどんな事を言っているかを確認するためにアマゾンをチェックします。

自社ECサイトの利用者数名からフィードバックを引き出すのは簡単ではありませんよね? フィードバックを得たとしても、そこからインサイトを得るためにはかなりのコストがかかります。

こうしたことを踏まえると、アマゾンの既存レビューに注目する方が得策なのです。たとえば、新しいホイールを開発するよりも、自社の商品に似た他の商品ついて、アマゾン利用客がレビューでどんなことに言及しているのか確認してください。競合他社はすでに行っているはずです。

2. アマゾンはレビューの正当性について真剣に取り組んでいます

購入者や購入検討者、販売事業者から関心を集めるレビューに関して、アマゾンはその正当性を担保するために真剣に取り組んでいます。最近、アマゾンは偽のレビューに関与した企業に対し、積極的に法的措置を取っています。また、さらなる改善のため、2016年後半にインセンティブ付きのレビュー投稿に関する新たなガイドラインを発表しました(※日本語のガイドラインはこちら

これまでは、「我々のガイドラインでは、レビュー投稿者への報酬はすでに禁止しています。レビュー投稿への報酬として、商品の無料提供や割り引きに限り許可します。レビュー投稿者がその事実(無料提供など)を開示している場合のみ、レビューを書くことができます」となっていました。今回改定されたガイドラインでは、商品の無料提供や割引も禁止しました(Vineプログラムを通じて提供される書籍や商品は除く)。

今回のガイドライン改定に関し、多くの販売事業者が困惑しました。しかし、アマゾンは自社にとって、より重要な取り組みと位置付け、消費者の信頼に対する真摯な取り組みを強化したのです。

アマゾンはオンライン通販利用者が、個人的なオススメと同じくらいレビューを信用していることを認識しています。世界最多のレビュー数を誇るアマゾンにとっては、喜ばしい状況です。
※販売事業者は、顧客にレビューを投稿するよう依頼するかもしれません。レビューを投稿するように顧客へプレッシャーをかけたり、レビューの結果に影響を与えるような行為は禁止しています。

3. レビューの動向で将来の収益性を予測する

消費者の嗜好は常に変化しています。新しい技術、トレンドの変化、商品の品質などによって消費パターンが形成されます。

数百SKUを管理・販売する販売事業者にとって、自社の顧客ベースから有意義なマクロ情報を読み取ることは困難です。適切なデータが手元にあっても、毎日の業務に追われて顧客の需要の変化を予測する時間はほとんどないでしょう。

アマゾンのマーケットプレイスにおける各取引は、誰でも見ることができるパズルの重要な1つのピースです。625の販売事業者を対象に行った最近の調査では、75%の事業者が定期的にアマゾンの顧客レビューをチェックし、ビジネス上の意思決定(補充や調達など)を行っていることがわかりました。

重要なのは、各顧客のレビューの表示だけではなく、それぞれの日付、レビュー履歴が完全にソートできること。最近の星の数とレビューコメントを見直し、以下の質問に答えてみてください

  • 最近のレビューは、扱っている商品の過去の評価と一致していますか?
  • もし一致していなければ、レビューの変化は何が原因ですか?
  • レビューは悪い方に変化していますか? 良い方に変化していますか?
  • それらの変化は。ビジネスにも影響していますか?
  • それらの変化は、在庫戦略にも影響を与えますか?
  • レビューに基づいて在庫の増減を検討すべきですか?
  • 競合他社が参入してくる前に、この商品から手を引いた方が良いですか?

アマゾンのレビューデータには簡単にアクセスできます。しかし、少数のSKUでさえ、レビューチェックのプロセスを繰り返すことは時間がかかります。まだ、レビューを手作業でチェックする販売事業者が多いですが(調査によると74%は手作業)、最近はサードパーティのレビュー監視システムや追跡ツールを使用する事業者も増えています(24%)。特に、プライベートブランドを所有する事業者の利用が高くなっているのです。

4. ブランドイメージは自社商品と密接な関わりがあります

会社の評判は自社の販売商品と直接関連します。良くも悪くも、多くの顧客は、アマゾンで販売されているあなたの商品に関して、他の人たちが何を言っているのかチェックしています(アマゾンは現在、商品検索エンジンとして1位)。

ネット通販利用者で、最初の商品検索で「アマゾン」を利用する割合は55%にのぼる
オンライン通販利用者の55%は、まずアマゾンで商品を検索
グーグルやヤフーを抜いて、アマゾンが商品検索をリードしている(出典は「Intrenet Retailer」)

アマゾンのレビューに注視すれば、より賢い意思決定ができるようになります。そして、ダウントレンド商品にいち早く対応することができます。

自社の評判を高めるためにも、世界一のECサイトでどんなコメントが残されているか無視するわけにはいかないのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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