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あなたのECサイトに「買う理由」はありますか? 競合との差別化を実現する4つの方法

ECサイトでは、価格、カスタマーエクスペリエンス(CX)、商品のラインナップ、プロダクトの4つが大きな差別化要因になる

Digital Commerce 360

2018年2月22日 6:00

ECサイトでは、価格、カスタマーエクスペリエンス(CX)、商品のラインナップ、プロダクトの4つが大きな差別化要因になります。自社の強みを生かして、デジタル戦略の方向性を決めていきましょう。

すべてが普通レベル、勝ち残りは難しい

米国のオンライン通販市場では11万以上のEC事業者がひしめき合っています。

新しい取り組みや、提供しているサービスのリニューアルについて社内で検討するのも良いでしょう。ですが、最終的に消費者が知りたいこと、求めていることはそこではありません。

他のECサイトではなく、あなたのECサイトで買う理由を知りたいのです。そこで、他社とは異なる自社のECサイトにおける差別化要因が必要になってきます

他社と異なる自社の特徴は何ですか? 競争力を高める要素はありますか? これらを把握しない限り、暗闇の中で手探りをしている状況が続きます。

差別化要因は多くのケースで、価格カスタマーエクスペリエンス商品のラインナッププロダクトの4つに分類されます。1つの要素に特化する場合もあれば、バランス良く力を入れるケースもあります。

どんな場合でも、自社の立ち位置を正確に把握して、強みをさらに強調できるようなデジタル体験を提供することが重要です。すべてにおいて普通のレベルでは、現代のグローバルなデジタルマーケットで勝ち残っていくのは難しいのです。ですから、あなたのECサイトのユニークな部分に焦点を当てましょう。

もし自社の差別要因がわからない場合は、次の項目を確認してください。

① 価格

消費者10人のうち6人以上は、実店舗とオンラインで価格を比較し、最も安く売られているお店を選びます。オンライン通販を利用するユーザーにとって、価格はいまだに大きな購入決定の要因となります。

大手ECサイトの利用者が商品購入時にインターネット上で検索する情報の上位は「商品のスペック」「レビュー」「複数ショップの価格」
日本では、大手ECサイトの利用者が商品購入時にインターネット上で検索する情報の上位は「商品のスペック」「レビュー」「複数ショップの価格」だった(出典はニールセンデジタルが2017年に公表した調査レポート「PCユーザーのEコマースサイト利用状況」、画像は編集部が追加)

ですから、価格に競争力があるのであれば、それを打ち出していきましょう。多くの企業は、低価格での購入を目的に訪れている消費者に対し、ブランドエクスペリエンスや膨大なカタログを提供しようとしています。

価格という差別化要因を上手に活用している素晴らしい事例がWalmart Inc.(ウォルマート)です。「毎日安くする」というウォルマートの価格戦略が、現在の成功の基盤になっているのです。

商品のラインナップで勝負するなら、Amazon(アマゾン)やウォルマートを真似する必要はありません。特定のカテゴリーで競争すれば良いのです。

低価格で有名なウォルマートなどの大きな企業に対し、中小企業が価格で競争するのは難しいでしょう。しかし、価格が差別化要因なのであれば、デジタル戦略もそれに基づくものでなくてはいけません

「当社より安い価格で販売している商品を見つけたら、差額を倍にして返金します」といったうたい文句を使って価格を強調し、ECサイト全体で価格を訴求しましょう。

他には、年間の購入額に応じてインセンティブを支払うといった施策もできるでしょう。上位顧客は、他のECサイトよりも価格が高い商品があっても、最終的にお得な方を選ぶからです。

最も理想的な方法は、特定カテゴリーで豊富な商品ラインナップを実現し、それらを常に低価格で提供することです。成功するには、競争力のある価格を提示し、消費者に多くの選択肢を提供することが大切なのです。

② カスタマーエクスペリエンス

ほとんどの消費者は、実店舗や他のオンライン通販で、同じ(もしくは類似)製品を簡単に手にいれることができると知っています。しかし、一部の消費者にとっては、カスタマーエクスペリエンスが購入の意志決定の肝になります

米国の大型百貨店チェーンNordstrom(ノードストーム)は、顧客中心のカスタマーエクスペリエンスに特化しているユニークな企業の好例です。メールによるメッセージ戦略、店頭の販売員まで、徹底してカスタマーエクスペリエンスにこだわっています。

誕生日ボーナスといったさまざまな特典を用意したロイヤリティプログラムの提供を検討しましょう。顧客にはVIPになった気分になってもらうのです。店舗同様のカスタマーエクスペリエンスを、オンラインやモバイルアプリでも提供できるようにしましょう。

③ 商品のラインナップ

アマゾンが成功している1つの理由に、増え続けている圧倒的な商品ラインナップがあげられます(長年アマゾンで販売をしていなかったNikeでさえも、アマゾンで商品を販売するようになりました)。

幅広いラインナップがあれば、競合と差別化できます。しかし、全ての企業が「何でも売っているお店」になれるわけではありません。

ラインナップで勝負するのであれば、アマゾンやウォルマートを真似するのではなく、特定のカテゴリーで競争力を高めましょう。あるカテゴリーに関しては、他のどこよりもラインナップが充実しているとを消費者に訴求しましょう。

ラインナップが差別化要因であれば、スマホであれパソコンであれ、商品を簡単に探せるようにすることが重要です。

そして、短時間で商品を探したいと考えている消費者に、ワンストップで欲しい商品が手に入るというメッセージを明確に伝えるのです。どんなカテゴリーで戦うのかを注意深く選択し、利益を増やしてきましょう。

④ プロダクト

自社ECサイトのみで商品を販売しているブランドもあります。たとえば、メガネなどの通販サイト「Target Optical」で、メガネブランド「Warby Parkers」のメガネは販売されていません。

プロダクトを差別化要因にしている企業は、他のECサイトでは手に入らない特別感と一貫したブランディングを意識する必要があります

他のECサイトでは手に入らないプロダクトを提供するなら、アマゾンなどの第三者プラットフォームでの販売には注意しましょう。「Warby Parker」は自社ECサイトだけでプロダクトを販売しつつ、自社限定のユニークなサービスを用意しています。

たとえば、自宅での眼鏡試着、1人ひとりにカスタマイズしたお勧め商品を案内しています。そうすることによって、「Warby Parker」という唯一無二のブランドアイデンティティを確立し、競合他社と差別化しているのです。

◇◇◇

御社は自社ECサイトで最高のカスタマーエクスペリエンスを提供できていますか? それとも、ラインナップで勝負できそうですか?

自社の強みを決めて、デジタル戦略の方向性を決定しましょう

自社ブランドのコアを理解することで、市場のトレンドや新しいチャネルの登場に左右されることなく、カスタマージャーニーを作り上げることができるようになります。

競争力を保ち、今後数年にわたってEC業界で成功するのは、ユニークな自社の強みに集中し、その強みを差別化の武器として前進していけるブランドです

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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