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商売に成功しているブランドは、Amazon(アマゾン)にはない差別化したサービスを提供しています。

近所の書店が次々と姿を消していることをからも、アマゾンは脅威の存在であることは疑いのない事実です。

小売事業者の多くは、アマゾンがビジネスに与える大きな影響を認識していますが、これから先のブランドにどのような影響を与えるのかはあまり考えていません

お客に支持されるECサイトのカギは「ユニークなポジショニング」

現在のネット上の商環境を踏まえると、小売事業者にとって「消費者に直接販売する」「ブランド価値を保つ」「カスタマーエクスペリエンスを管理する」ことがとても難しくなっています。

たとえば、消費者の商品検索の半分以上はアマゾンが起点となっています。また、「Amazon Alexa(アマゾンアレクサ)」(編集部追記:アマゾンの音声認識技術)を利用すると、あなたのブランドはアレクサの“声”で語られてしまいます。

それは、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)にとって大きな悩みの種となります。

このような状況になっている理由は、アマゾンのビジネスが卓越しているからです。アマゾンは顧客満足度で何年にも渡って首位を保っています。2016年第2四半期で27%の成長を遂げたアマゾンは、同時期におけるEC業界全体の成長の80%を占めました。アマゾンはソフトウェア分野以外の全てを制覇している状況です。

アマゾンへの対抗策は、同じ土俵に立って戦うことでも、別の販売チャネルを模索することではないかもしれません。ブランドにとって悩みの種であるアマゾンの存在は、同時に無視できない小売事業者でもあるからです。

ウォルマートやターゲットはアマゾンに追いつこうと巨額の投資を行っていますが、両社ともオンラインの成長は鈍いままです。アマゾンに正面から対抗するのは必要な戦略かもしれませんが、良い戦略とは言えません。

アイデンティティを保ちながら、売り上げを伸ばしているブランドは全て、ユニークなポジショニングをすることで成功しています。

アイデンティティを保ちながら、売り上げを伸ばしているブランドは、アマゾンとは違う、より先を見越した対策を打ち出しています。それは、ブランドはユニークなポジションを獲得することで成功しているのです。

ほとんどの企業がミッションや指針を掲げているのと同様に、販売においても明確なポジショニングをすることで、独自のブランディングに基づいて商品を販売することができるようになります。そのためには、消費者の購買行動を詳細に分析し、消費者に訴えかける買い物体験を提供しなければなりません。

では、成功したブランドが行っている4つの施策を見てみましょう。

① 買い物体験

Warby Parker(編集部追記:アイウェアブランドのネット通販会社で、5つのフレームを5日間無料で試着できる宅配サービスも展開)、Blue Apron(編集部追記:食品の宅配サービス)、Dollar Shave Club(ひげそりを月1ドルから定期販売するネット通販)は、従来のビジネスモデルの枠を超えた買い物体験を提供しています。Dollar Shave Clubでは、カミソリを購入する行為そのものが大きなブランド体験につながっています。Warby Parkeも同様で、提供するお試しボックスは、眼鏡フレームの購入を楽しくさせています。

アマゾンにも負けない+お客に支持される通販サイトがやっている4つの施策 Warby Parkerのフレーム5個を無料で試着できる「Home Try-On」サービス
Warby Parkerのフレーム5個を無料で試着できる「Home Try-On」サービス(画像は編集部がキャプチャ)

これらは新しいブランドです。伝統的な歴史のある会社もこうしたブランドのように成功できないわけではありません。伝統的な会社には、ユニークなサービスを作るために必要な商品、データ、カスタマーサービスの知識が全てそろっているはずです。ニッチなオンラインサービスよりも勢いよく成功できる可能性があります。しかし、伝統的な企業が良いポジショニングを確立するためには、売り方、商品やサービスの組み合わせ方法などを再考する必要があるでしょう。

② 消費者との関係

複数の大手ブランドは、優良顧客との関係性に注力することで成功しています。ナイキもアディダスもアマゾンで販売していますが、自社のECサイトも運営しています。両社のECサイトは単なるオンラインショップではなく、消費者を引きつけて関係性を構築していく場になっているのです。

たとえば、ナイキのアプリ「Nike+ SNKRS」には、靴を販売する機能に加え、新製品情報や限定商品、スニーカー愛好者に好まれそうなコンテンツが掲載されています。

アディダスのアプリ「adidas Glitch」には、アプリでしか手に入らない靴(一種類のみ)を販売。「ソック」と呼ばれる靴の内側と、「スキン」と呼ばれる靴の外側を選んでオーダーすると、4時間以内に商品が届きます。この販売方法の最大の肝は、紹介制であることです。誰かから紹介してもらわなければ商品を手に入れることができません。多くの商品を取り扱うよりも、ファンをつないで1つの素晴らしい商品を販売している事例です。

アマゾンにも負けない+お客に支持される通販サイトがやっている4つの施策 アディダスの新作シューズ「Glitch」を販売するアプリ「adidas Glitch」。現在はイギリスのみで展開
アディダスの新作シューズ「Glitch」を販売するアプリ「adidas Glitch」。現在はイギリスのみで展開(画像はiTunes Previewからキャプチャ)

③ 個別の関わり

人との関わりはコマースにとって重要な要素です。世界最大の家電量販Best Buy(ベストバイ)は、パーソナルな接触(と営業担当者)を通じて、購買前に熟考が必要な高額商品を取り扱うお店の中で、優位な地位を築いています(編集部追記:「Best Buy Price Match Guarantee(ベストプライスマッチング保証)」と呼ばれる、主要なECサイトやオフライン店舗で調べた価格を提示すると、その金額で商品を販売するサービスを展開したり、「Free Store Pickup(フリーストアピックアップ)」という店舗受け取りなどを提供している)

アマゾンにも負けない+お客に支持される通販サイトがやっている4つの施策 Best Buyの取り組み
Best Buyでは店舗に「STORE PICKUP」を設け、店舗受け取りなどに対応している(画像はBest Buyのサイトから編集部がキャプチャ)。Best Buyは主要オンライン小売業者(Amazon.com、Bhphotovideo.com、Crutchfield.com、Dell.com、 HP.com、Newegg.com、TigerDirect.com)なども扱っている商品を最安値で販売する

米国のデパートチェーンのNordstrom(ノードストローム)は、名高いカスタマーサービスとECをシームレスにつないでいる好例です。たとえば、スマートフォンで好きな洋服を選び、その後に実店舗へ足を運ぶと、選んだ洋服が自分の名前とともに試着室に準備されています。このようなきめ細やかなサービスが、長期に渡ってブランドのアイデンティティを保つと同時に、消費者を喜ばせることになります。

④ ユニークな商品販売

ニッチなアプローチではありますが、他のECサイトでは売っていない商品を提供することで成功しいてる小売事業者もいます。

たとえば、ジュエリーのECサイトGleem & Coは、世界に1つしかない婚約指輪を提供しています。婚約者の指輪が、他のどこにもない特別なモノになるわけです。

ユニークな商品を多品種小ロットで展開することも可能です。スポーツウェアの専門店Lululemonは、実店舗では取り扱いの少ない商品の在庫をECサイトに集約して販売。ラインナップも頻繁に変更します。

その結果、Lululemonで買い物する消費者は、同じ洋服を着ている人に出くわす心配がないわけです。購買体験がとてもパーソナルで楽しいものになります。

アマゾンの影響は強力ですが、全能でもなければ、必ずしも悲観すべきことではありません。ブランドは、アイデンティティを保ちながら、自社販売を通じて消費者にリーチすることができます。そのためには、良い商品とサービスを提供だけでは足りません。他社にはない販売方法で、消費者の望む買い物体験を提供する必要があります

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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