2015年のEC市場を占う! 押さえておくべきポイントは?

売上アップを実現するために押さえておきたいアマゾンが考える2015年のEC戦略

アマゾンのセラーサービス事業の2015年の戦略を星健一事業本部長に聞いた

中川 昌俊

2015年3月27日 6:00

2014年は中古車の販売を始めるなど、取扱商品の幅をさらに広げているアマゾン。特に出品事業者による商品を意欲的に増やし、地方でのセミナー展開も強化している。世界各国で展開しているアマゾン現地に向け、出品者の商品を販売するサービスも始めるなど、EC事業者にとっての存在感はさらに大きくなっている。アマゾンでは2015年どんなことに取り組んでいくのか。アマゾンジャパンのセラーサービス事業部事業本部長の星健一氏に聞いた。

出品事業者数は17万2000事業者に

――2014年に特に取り組んだことは。

アマゾンでは、お客さまのために豊富な品ぞろえを用意することをミッションの1つにしていますが、その強化のために、さまざまな商品を扱う販売事業者に出品していただくことに注力しました。たとえば、新たに中古車を扱う販売事業者など、いままでネットで買えなかった商品が、アマゾンで買えるようになりました。

品ぞろえと販売事業者を拡大させるなかで、特に力を入れたのが、地方の事業者の誘致です。地方活性というキーワードのもと、各地でセミナーを開催し、ネット通販をやったことがない事業者に対して、アマゾンに出品していただくことを進めてきました。

また、海外の事業者の商品を「Amazon.co.jp」に出品してもらうことも進めてきました。すでに、アマゾンでは日本の販売事業者に対して、米国の「Amazon.com」に出品するための支援サービス「グローバルセリング」を提供しています。同時に、海外の事業者の商品を日本の「Amazon.co.jp」に出品してもらうことで、品ぞろえの強化につなげてきました。

これにより、2014年12月末時点でAmazonマーケットプレイスに出品している販売事業者数は、17万2000(法人・個人含む、年間で販売履歴のあるアクティブアカウント)となり、2014年1月末と比べ、1万1000の伸びとなりました

物流代行サービスのFBA(フルフィルメントBy Amazon)も強化しました。特に、アマゾン以外のサイトでの注文に対しても、Amazonに在庫をお預けいただくことで、Amazonと同様の迅速な配送サービスを提供する「FBAマルチチャネルサービス」を利用する販売事業者が増えました。さらに多くの事業者のビジネスの成長をサポートしています。また、コンビニ受け取りやヤマト運輸の配送拠点で荷物を受け取れるサービスを追加するなど、Amazonの配送サービスのオプションを増やし、お客さまの利便性をさらに高めたことで、FBAを選んでいただける事業者を増やすことができました。

中古車の取り扱いも開始

――どういった商品ジャンルの事業者が増えているのですか。

2014年の特徴の1つとしては、中古商品を販売する事業者が増えました。また、アマゾンではファッションや食品などの取り扱いを強化してきたこともあり、こうしたジャンルの商品を持つ事業者の出品も増えています。

――海外の事業者の出品も増えているということでしたが、現在、どのくらいの商品数が出てきているのでしょうか。

まだ始まったばかりで具体的な数字をお答えできません。しかし、海外からの出品は大きな可能性があると思っているので、今後積極的に取り組んでいきたい。また、日本の販売事業者の商品も、海外向け販売を検討しているものの実現できていない事業者が多いです。「グローバルセリング」の支援サービスはニーズがあり、販売事業者の役に立てると考えています。

実際、日本の販売事業者のなかには、米国の「Amazon.com」のFBAを使って販売を始めている事業者がいます。海外に発送する作業や関税の処理などについても、輸出代行会社を紹介できるので、今後、アマゾンを通じて多くの日本の販売事業者に海外展開していただきたいと考えています。

米国の「Amazon.com」で販売する日本の事業者も増えてきている

「Amazonスポンサープロダクト」や海外展開をさらに強化へ

――今年(2015年)、マーチャント事業として力を入れていくことは。

アマゾンでは品ぞろえが増えていますが、販売事業者から見ると商品をお客さまに訴求するのが難しい場合がありました。これを解決するサービスとして、2014年11月に「Amazonスポンサープロダクト」という広告サービスを開始しました。売り上げを伸ばしたいという、出品者のニーズに応えられるサービスです。このサービスを活用いただき、大きく売り上げを伸ばしている事業者も出てきています。一方、まだ広く利用されている状況ではないので、今後は成功事例などを紹介し、多くの販売事業者に活用いただきたいと考えています。

また、配送スピードにも一層力をいれていきます。当日もしくは翌日配送サービスは、FBAを利用いただいている商品のみの対応でした。しかし、自社で出荷している商品についても、当日もしくは翌日配送できるスキームを組んでいる事業者は「マケプレお急ぎ便・マケプレ当日お急ぎ便」を利用してもらうことで、当日・翌日の配送が可能と表示できるようになりました。これからも配送サービスについては一層、注力していきたいと考えています。

――2014年は地方での出店セミナーに力を入れたということでしたが、今年は。

2014年以上に数も開催場所も増やしていく計画です。すでにセミナーの専門チームを設け、地方の事業者に直接説明する場を増やしています。eコマースへの興味を高め、アマゾンで気軽に販売を始めていただきたい。

――他のモールの動きとして、リアルとの連動を進めているケースが多いのですが、アマゾンではどのように考えていますか。

アマゾンでは、お客さまの利便性を高めることを第一にしています。リアル展開することで、確かに商品を手にできるというメリットはあります。しかし、当社はオンラインの利便性を最大限に活用し、商品の画像や動画をよりわかりやすくするなど、ネットでしかできないことを充実させ、お客さまのお買い物体験をよりよいものにすることが重要だと考えています。

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