2016年1月に実運用が始まるマイナンバー制度。ネット通販を手がけている企業さんでは、12月の繁忙期に追われ、「マイナンバー制度を理解していない」「対策はこれから」「よくわかっていない」といったケースが多いことでしょう。経営者はもちろん、経理や人事担当者、ネット通販の実務者もマイナンバー制度を理解するのは重要なこと。企業や担当者が知っておくべきマイナンバー制度の仕組みや注意事項などを解説します。

マイナンバー制度で知っておいて損しない7つのポイント

「マイナンバー」の歴史はさかのぼると1968年が出発

マイナンバー制度は必要に迫られていきなり導入が決まった制度ではありません。実は、国政において「社会保障・税番号制度」という扱いなのです。

かつては「国民総背番号制度」とも呼ばれていました。1968年の佐藤内閣の時代にも検討され、実は断ち切れになった制度です。その時のネーミング「国民総背番号」は、いかにも悪いイメージを連想させてしまいます。

一方の「マイナンバー」という言葉は、前政権である民主党政権時代の時に使い始めた通称です。今の自民党政権では、民主党時代のネーミングを避け、「個人番号」という言い方に変えようという経緯もあったといわれているようですが……。

「マイナンバー」の方がソフトで親しみやすいネーミングであることから、すっかり「マイナンバー」が定着しているのが現状です。「個人番号」と「マイナンバー」は、どちらも同じ意味で使われています。

付与された12桁のマイナンバーは永久欠番

個人には12桁のマイナンバーが配付され、株式会社といった法人には数字13桁の法人番号が割り当てられます。どちらも最後の1桁は「チェックディジット」という検査用の数字になっています。

「チェックディジット」とは、マイナンバーの場合では、先頭の11桁から定められた計算式によって自動的に導き出される数値のこと。ですから、うっかり1文字だけ間違えて登録すると、「チェックディジット」により、その番号はマイナンバーとしては“間違い”と自動的に判明されます。

マイナンバーは日本国民全員に配られる番号という認識がることでしょう。しかし、これは厳密には正しくありません。正しくは「日本に住民票がある人、全員」という表現になります。

つまり、日本国籍であっても、海外に赴任していて日本に住民票がなければ、マイナンバーは配付されません。逆に、外国籍の方であっても日本の住民票があるならば、マイナンバーが配付されます。

Aさんに、ある12桁の番号がマイナンバーとして割り振られました。では、Aさんが亡くなったらその番号はどうなるのでしょう。

その番号が、次に生まれてくる誰かに再度配付されるということは絶対にありません。一度割り振られた番号は、2度と誰かに振りわけられることなく、永久欠番となります。それが唯一無二性と呼ばれている今回の仕組みです。

では、番号自体がバンクしてしまうのでは? という懸念があるでしょう。「チェックディジット」を除けば、個人に対して11桁分の専用の番号が用意されているので、約1000億人分の番号が存在することになります。現在の日本の人口が1億2千万人程ですから、単純な計算では、人口が800回転する位の年数分は保てるのです。

目的は社会保障と税と災害って知ってる?

そもそもマイナンバー制度の目的は何なのか知っていますか?

政府はマイナンバー導入の目的を「社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認する為」としています。

また、マイナンバーによって「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する」ことが期待されています。

行政手続きは便利になるハズ

現状では、転職、引越、結婚での名前変更、扶養家族が増えたりした場合、税金の手続きや年金、健康保険、あるいは、雇用保険の手続きなどが発生して、いくつもの書類に名前、住所、生年月日などを何回も書かなければなりません。これがマイナンバー制度により、1回の手続きで済むならば便利になりますよね。

また、マイナンバーが導入されることで、子育ての際の予防接種や健診など、必要な時に必要なお知らせがちゃんと届くようになればメリットは広がることでしょう。

さらに、お金を持っている人からはしっかりと税金が納められ、生活保護の不正受給もなくなり、本当に困っている人に適切な社会保障が行き届くことになるのであれば、安心した社会生活につながると期待できます。

情報漏洩の危険や安全対策の費用の面はデメリット

一方でデメリットもあります。それは、個人情報の漏洩プライバシーの問題です。そして、このデメリットが顕在化しないように施さなければいけない安全対策のための準備や費用がかかるという点もまた、デメリットです。

すでに、国や自治体は、このマイナンバー制度のために多くの予算を費やしています。企業もまた、この制度の施行に合わせ、プロジェクトチームを組んだり、規程や業務フローを整備したり、委託契約の見直し、さらには人事給与のシステムを改修したりするなど、労力や費用がかかっています。マイナンバー制度に対応するということは、こうしたデメリットがあることを理解しなければなりません。

しかも、これらの対策が本当に充分なのかという精神的な負担も大きなデメリットといえるでしょう。これらについては、また別稿にて記します。

2015年末に退職者がいる場合、年明けの雇用保険手続きにマイナンバーは必要か?

年内に配りきったマイナンバーを実際に行政の手続きで利用するのは、年明け2016年の1月1日からです。ただし、厚生年金や健康保険の手続きは1年遅れの2017年1月1日から。ですので、すぐに利用するケースは税金と雇用保険の手続きとなります。

1月1日以降に入社する社員に対する手続き、退職者に対する手続きでは必要となります。税金の確定申告は年明け早々に事務が発生しますが、これは2015年分の手続きになりますので、マイナンバーの提供は不要です。

では、12月31日までに退職する人がいるケースは、どうでしょう。少なからず有り得るでしょう。この場合、雇用保険・ハローワークの手続きが1月初旬に発生します。これにはマイナンバーの業務が必要となるのでしょうか?

12月4日時点、政府のホームページでは、雇用保険手続きの新様式はまだ「案」という状況でしたので、マイナンバーのコールセンターに確認してみました。

その結果、マイナンバーを記載する欄がない「旧様式」を使用しても良いという回答でした。新様式は確定様式にはなっていないし、いつ確定するかも公表されていないので、当然の回答でしょう。

つまり、年内に退職する人に対しては、マイナンバーを収集しなくてもよいということになります。これはある意味、朗報ですよね。とっても危険なマイナンバーの取り扱いが不要なのですから。

では、1月1日に退職する人がいる場合はどうなるのでしょうか?

さすがに1月1日で辞める人は少ないかもしれませんが、1月15日の退職者は十分有り得るでしょう。この場合、半月分の給与について税金を源泉しますから、マイナンバーの収集が必要になります。労働保険についても手続きが必要です。ですので、そのタイミングで「新書式」が公表されているのかについては、しっかりウォッチしておく必要があります。

2015年末までには配り終えるハズのマイナンバー

さて、マイナンバー制度の日程を押さえてみましょう。

個人には2015年10月5日時点の住民票をもとにマイナンバーが振られています。各自治体は簡易書留で家庭に郵送を開始しているのが現状です。11月中に全家庭に配り終える予定でしたが、遅れていますよね。ですが、12月20日頃には全家庭に配達できるもようです。
日本郵便のマイナンバーについてのお知らせ

選挙がある時、選挙の通知カードの配達は書留ではありません。その場合でも5%は届かないといわれています。これに対して、マイナンバーの通知カードは書留です。

ちゃんと配達されるには、受取人が家に居るか、不在の場合は再配達してもらうか、または受け取るために郵便局へ出向く必要があります。ですから、そもそも11月末までに配りきることが無理な計画だったかもしれません。

ネット通販のための5分でわかるマイナンバー対策」は全6回の連載コラムです。各バックナンバーはこちら。

【筆者からのお知らせ】

インタセクト・コミュニケーションズは、実務に即したマイナンバー対応のためのツールを提供しています。

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櫻井 隆博

インタセクト・コミュニケーションズ株式会社

櫻井 隆博(さくらい・たかひろ)

インタセクト・コミュニケーションズ株式会社 新規事業本部 コンサルティングチーム 部長

外資系石油会社、経済研究所、コンサルティング会社勤務などを経て現職。大学では化学を専攻するも卒業後は化学と一切無関係に過ごす。もったいない。

現職ではマイナンバーセミナーで語ったり、企業のプロセス改善などに従事。

週末は町内会対抗のソフトボールリーグで汗を流してはホップ入り飲料で補てん。2015年の成績は、リーグ・18チーム所属している中で、中の下。残念です。2人の子供は社会人となり、家族みんな専ら単独行動が多いこの頃。

 

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