高野 真維 2023/1/23 7:00

シューズやアパレルのECサイトを運営するオールバーズは、AI(人工知能)搭載の自動返品システムを導入し、CX(顧客体験)の向上とカスタマーサポート(CS)業務負担の大幅削減を図っている。

購入者が、Webやアプリ上で商品の返品、交換、注文キャンセルの依頼をできる仕組みを導入。ネット上で返品処理ができることに加え、返品や交換に関わる業務をシステム化・自動化することで、EC事業者側のCS業務負担を大幅に減らしている。

オールバーズは、購入者がWebやアプリ上で商品の返品、交換、注文キャンセル依頼ができる仕組みを導入(画像は編集部が「オールバーズ」公式ECサイトからキャプチャ)
オールバーズは、購入者がWebやアプリ上で商品の返品、交換、注文キャンセル依頼ができる仕組みを導入(画像は編集部が「オールバーズ」公式ECサイトからキャプチャ)

購入者と社内の負担削減につながるスムーズな返品・交換作業スキームとは?

ネクストラボが手がけるAI搭載の自動返品システム「返品くん」の導入で実現した。「返品くん」はEC事業者向けの返品支援に特化したSaaSシステム。ネットショッピングの際に発生する、返品・交換作業をスムーズに行うことができ、購入者とEC事業者の負担を大きく削減できるという。

購入者とEC事業者の負担を両方とも削減していく
購入者とEC事業者の負担を両方とも削減していく

オールバーズの石井孝憲氏(E-commerce Director)は次のようにコメントしている。

シューズやアパレルのオンライン販売事業において、返品・交換は顧客に安心してご購入いただくための非常に重要なサービス。これまでの返品交換作業には顧客とのやり取りや集荷依頼などにCXチームの時間を多く割いていた。

「返品くん」導入後は作業効率化によりチームのリソースを売り上げを作る方にシフトできている。顧客の満足度を上げつつ、効率化を図り売り上げの拡大をめざす中、ネクストラボが提供するリバースロジスティクス(返品)分野のサービスには今後も期待している。(石井氏)

「オールバーズ」の国内向けECサイトでは、2022年8月から「返品くん」のベータ版をテスト運用。今回、正式に「返品くん」を採用した。

「ECは右肩上がり! でも、CS対応の負荷は膨らむ一方……」。こんな悩みを減らすために

ECによる販売の増加に比例して、CS対応の負荷も増加している。ネクストラボはECの販売拡大において、“自社CSの運用・マネジメントは大きな課題”と捉えている。

これを踏まえ、ネクストラボは返品・交換作業をスムーズに行うことでCS対応の負荷を大きく削減し、CX向上にも寄与する「返品くん」を開発した。

「返品くん」の主な特徴は次の通り。

  • 購入者はWeb・アプリ上で簡単に商品の返品、交換、注文キャンセル依頼ができる
  • オンラインでの購入者だけにとどまらず、店頭購入者も「返品くん」で返品・交換の依頼が可能
  • ヤマト運輸の配送連携APIを利用。購入者はヤマト運輸の営業所への持ち込みや指定先への集荷、オープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」、コンビニエンスストアなどから発送できる
  • フルスクラッチで制作されたECサイト、Shopifyなどのテンプレートを利用したECサイトでなど、どのようなサイトでも導入可能
  • ECサイトのブランドを毀損(きそん)しないUI/UXデザイン
  • ダッシュボード管理画面では、一覧・個別で管理が可能
「返品くん」が事業者のCSと顧客をつなぎ、スムーズなやりとりをサポートする
「返品くん」が事業者のCSと顧客をつなぎ、スムーズなやりとりをサポートする

「返品くん」の導入で、事業者および購入者は次のようなメリットを得られるという。

事業者側

ECの販売拡大・売上増加に比例して、CS対応の負荷も増加する。「返品くん」は、こうしたCS業務のうち、返品や交換に関わる業務にフォーカスし、一連の作業で発生する業務をシステム化・自動化。これにより、CS業務負担を大幅に削減する。

メールやチャット、電話など手作業で取得していた情報は一元管理できるため、作業効率のアップにつなげやすい。蓄積したデータを分析することでマーケティングにも生かすことができる。

購入者側

「返品くん」アプリ上から返品・交換の依頼ができるため、都合の良い時間に依頼できる。オンライン購入者だけにとどまらず、店頭購入者も「返品くん」アプリで返品・交換ができる。

「返品くん」はヤマト運輸が提供する配送連携APIを利用しているため、返品する顧客は送り状の宛名書きが不要となる。二次元コードをかざすだけでヤマト運輸の営業所やコンビニエンスストアなどから発送できる。
※送り状発行、集荷予約、荷物の配送ステータス情報の取得などの機能を、事業者のWebサイトと連携できるサービス

担当編集者のコメント: 

「気軽に返品・交換できる」ことは、ECの購入率増加につながる大きなアドバンテージといえるのではないだろうか。購入の心理的なハードルが下がり、「とりあえず購入してみよう」という顧客が増えるかもしれない。

一般的に工数が多い返品・交換作業は、事業者側はもちろんのこと、購入者にとっても「面倒くさい」と感じることが多い。一方で、アパレル商品、特にシューズは「実際に履いてみないとサイズ感を確かめにくい」という特性がある。そのことがECサイトでの購入をためらう1つの要因になっているとも考えられるだろう。

これまで自社の返品・交換の効率化を重視してこなかった事業者は、見直してみては。

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