ECビジネスの課題、「物流・資材コストの増加」が約35%でトップ。コスト、人材、決済、セキュリティ、専門知識、業務効率も高スコア
ペイパルがこのほど公開した「中小企業によるEコマース活用実態調査2024」によると、ECビジネスでの課題で最も多かったのが「物流・資材コストの増加」だった。また、人材、決済、セキュリティ、専門知識、業務効率と多岐にわたる項目で多くの回答を集めており、ECを運営する多くの中小企業がさまざまな課題に直面している。
ペイパルは「中小企業によるEコマース活用実態調査2024」の結果を6月25日に発表。調査は2024年4月にオンラインで実施した。日本国内でEC事業を展開する従業員数4人~299人の中小企業の意思決定者310人が調査対象。調査では中小企業のECと越境ECの取り組み状況について聞き、まとめた。
ECビジネスの課題
「物流・資材コストの増加」が34.8%と最も高かった。「対応可能な社内人材の不足」(29.0%)、「多様な決済手段の導入」(28.1%)、「ECサイトのセキュリティ対策」(28.1%)、「在庫・発送管理の煩雑さ」(26.5%)、「専門的な知識不足による不安」(25.8%)、「運用費とメンテナンス時間の増加」(25.8%)と続いた。
中小企業にとってECビジネスの課題はコスト、人材、決済、セキュリティ、専門知識、業務効率と複数の要素が絡み合っている。
年間売上高別で見ると、1億円未満では「物流・資材コストの増加」が23.4%と1億円以上に比べて低く、「専門的な知識不足による不安」が38.3%と高い傾向にある。
現在導入済みの決済サービス
ECの課題では「多様な決済手段の導入」が上位に入った。ペイパルでは「QR決済や後払いといった新しい決済手段が続々と登場しているなか、顧客のニーズに応えるために決済手段拡充に対する必要性をこれまで以上に感じていることが見て取れる」と分析。決済サービスについても調査した。
現在導入済みの決済サービスでは「銀行振込」(56.8%)、「クレジットカード決済」(55.8%)と半数超。次いで「口座振替」(27.4%)、「PayPay」(25.2%)、「代引」(24.5%)と25%前後で並んだ。
年間売上高別では、1億円~5億円未満は全般的にスコアが高く、他の売上高に比べて導入サービスが幅広い傾向がある。対して、1億円未満は全般的にスコアが低く、導入サービスが少ない傾向にあった。
ECサイトの決済サービス選定時の基準
「使いやすさ」(26.8%)、「決済時の手数料」(25.2%)、「セキュリティの高さ」(24.5%)、「初期費用のコスト」(24.2%)がいずれも25%前後と、複数の項目が拮抗して並んだ。中小企業は、「ユーザー数の多さ」(19.7%)や「知名度」(8.1%)よりも、費用面で導入や運用がしやすくセキュリティレベルの高い決済サービスを求めているようだ。
年間売上高別の傾向では、1億円未満は「初期費用のコスト」が42.6%、「カスタマーサポート体制」が25.5%と、他の売上高に比べて高かった。従業員規模別では、9人以下では「決済時の手数料」「初期費用のコスト」が30%強と10人以上に比べてやや高く、コスト面を重視していることがわかった。