店舗は「買い物の場から顧客への情報発信の場」に変わる――ファーストリテイリングが考える実店舗の価値とは?
ファーストリテイリングでは、国内外でECによる販売チャネルを充実させる一方で、実店舗については販売以外の体験提供に特化した役割を与え、顧客とのつながりを形成していくことを目指している。
10月13日に開催した決算説明会において柳井正会長兼社長は、今後の事業の進め方として、改めてデジタルの強化を提言している。実店舗の在り方については、これまでのような「買い物」の場から「顧客への情報発信の場」、「地域コミュニティーの中核の場」に変わっていくと説明し、「アプリやウェブサイトでの買い物については、オンラインでの試着も含めほとんどがバーチャルで実現可能。技術的にはその実行フェーズに入っている」(柳井社長兼会長)と見解。
その背景から、これからの実店舗が持つ意味は、ECにはない”実体験”の提供が軸になるとしている。その上で、従来から行っているEC商品受け取りだけでなく、すでに店舗スタッフによるラストワンマイルの商品配送を手がけているなど、ECとの連携が進んでいることも明らかにした。
また、2020年から開催している実店舗スタッフによるライブコマースサービス「UNIQLO LiveSTATION」についても評価し、「これまでの仕事のやり方をデジタル技術を活用してすべて挿げ替えていく。この取り組みをさらに強力に推し進めていく」(同)とした。
欧州のECが3年で2倍に
なお、海外事業についても、今後の大きな柱の一つとしてEC事業の強化を進めていく考え。2022年8月期の実店舗も含めた「ユニクロ欧州事業(ロシアを除く)」については、ブランディングが奏功したことで認知が進み、過去最高の売上高と利益率を達成。
とりわけ、EC売上高はこの3年間で約2倍となり、売上高構成比は約15%から約20%まで拡大した。コロナ禍で、EC機能なども持つ公式アプリの会員数が大きく増加。一度購入した顧客がリピーターになっているという。社員が常駐することで倉庫や配送サービスの品質が向上したことも背景にあると見ている。
今後についてはサプライチェーンの改革などを掲げており、ラストワンマイルも含めた配送の内製化で顧客への24時間以内の配送を実現。最終的には大都市全てで自社配送を行うという。加えて、店舗倉庫とEC倉庫を一体化して物流費の効率化や在庫一元化による、欠品といった機会ロスの最小化を図っていくとした。
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