伊藤真美[執筆] 2023/2/6 8:00
[Sponsored]

近年注目度の高いD2Cビジネス。製造者が消費者と直接取引するD2Cは利益率が高く、消費者のニーズを的確に捉えられるビジネスモデルとして急速に拡大している。数多くのD2Cブランドの立ち上げや売上拡大を実現したSUPER STUDIOの飯尾元執行役員CMOは、「D2Cは最も効率的にメーカービジネスを立ち上げて運用するためのマーケティングおよびチャネル戦略」と語る。

しかし、成功事例が数多く紹介される一方、失敗や撤退も少なくない。飯尾氏がD2C事業を成功に導くポイント、ありがちな失敗要因とその解決策などを解説した。

SUPER STUDIO 執行役員 CMO 飯尾元 氏
SUPER STUDIO 執行役員 CMO 飯尾元 氏

D2Cとモールでのビジネスとの違い

D2Cは新しいビジネスモデル、新しいコミュニティなどと表されることもあるが、直販ECに軸足を置き、主にデジタルマーケティングを活用して独自の強みを活かしながら、最も効率化された状態で認知から購入までの新しい販路を構築できる手法

ECはかつてネット上の一店舗というサブチャネル的な位置づけだったが、現在では最初に作る旗艦店、最も注力して運用する店舗というようにメインチャネルになっている。よりニッチな層をターゲットにユニークさや限定性、共感性などが重視されるようになってきた。商品もコモディティ化したものではなく、独自性の高いものが開発、販売される傾向にある。(飯尾氏)

大手モールでの販売と異なり、D2Cでは売価設定やLTVを上げる手段の自由度が高い。つまり、見込み顧客を効率よく集めて自社商品の必要性や購入意欲をいかに喚起できるかが重要となる。飯尾氏がD2Cの強みと語るのが「データを自ら取得し、顧客と直接つながれること」。D2Cでは戦略を立てるためのデータも自ら取得することができ、継続的な購入を促す関係作りも含め、長期的なマーケティング戦略を立てることができる

大規模チャネルとD2Cの違い
大規模チャネルとD2Cの違い

D2Cに必要な「売れる仕組み」とは

D2Cの売上・利益は、集客による購入者数(集客×CVR)とLTV(客単価×購入回数または継続率)で決まる。「許容可能なコストのなかで、①集客、②初回購入、③客単価向上、④購入回数向上のサイクルを、いかに回転させ続けるかに尽きる」と飯尾氏は語る。

EC/D2C事業におけるチェック要素
EC/D2C事業におけるチェック要素

D2Cのビジネスルールとは「粗利LTV(売上LTVから変動コストを抜いた分)−CPA(初回購入の費用)」がプラスになること。これを実現するには、売れる仕組みの「型」をおさえたECサイトを構築・運用する必要がある。具体的には、

  1. 再現性のある新規獲得施策
  2. 獲得した顧客のLTVを上げ続けられる仕掛け
  3. 売上が増えても運用効率やコストが悪化しない仕組み

といったことがポイントとなる。

売れる仕組み備えたECサイトの条件
売れる仕組み備えたECサイトの条件

顧客を最小コストで獲得でき、商品やCS(カスタマーサポート)など顧客満足度を高める要素に適切に投資配分することで、LTVを高める仕組みが整っている状態が望ましい。(飯尾氏)

D2Cが成功しない原因とその解決策

一方で「売れる仕組みづくりに失敗した例」にはどのようなものがあるのか。飯尾氏は、自社D2Cおよび顧客の分析から、自らも陥った経験のあるよくありがちな失敗について、戦略/ファイナンス、商品、マーケティング、オペレーション/フルフィルメント、ECサイト/システムの5分野24項目からなるチェック表を提示した。

D2Cにありがちな失敗要因

立ち上げた後にうまくいかない場合は、これらのいずれかに該当することが多い。ありがちな失敗を可能な限り事前に把握し、活用していただきたい。(飯尾氏)

①戦略/ファイナンス

計画用に作成したPLが事業構造として破綻している

PLのマーケティング費やLTVが理論上達成できない数字だったり、必須コストが欠けていたりすることがある。PLには知見を持つ人の目を入れ、実際の相場をふまえて設計することが大切。達成不可能な数字ではスタッフのモチベーションや期待値も下がる。マインド面からも最初の計画作りは非常に重要

情熱を持った担当者がおらず、コンサルに頼り切り

網羅的に把握し、課題を解決できる担当者は必要。情熱を持ってチームとして事業の成功に向けて動くことが求められる。知見がない領域で人はコンサルにマジックを期待しがちだが、情熱ある推進役は社内でしか持てない

成功企業の外側だけを真似る

他社の成功事例は目に入る頃には時期が遅かったり、見栄えだけだったりすることが多い。参考にする際は「なぜそれが上手くいったのか」を論理的に理解し、「その情報の肝になる部分」がわかっていることが大切。

売り上げのためではなく、自己満足や自分の美学による「こだわり」が強い

「神は細部に宿る」とはいえ、自分だけの主観や他者に共感されない美学に固執するケースはよくあり、D2Cではなぜかそれが過剰に肯定される。売り上げを作るためには顧客視点での「こだわり」に切り替えるべき。

何を強みとする事業なのか定義できていない

D2Cはターゲットを広く取るよりも、狭く取って効率よく成長させるのが理想。初期はマイクロターゲットに刺さりやすい事業や商品にできていることが肝心。どこにでもあるものではなく、自社ならではの商品やサービスを定義する。

②商品

在庫過剰/初期から商品ラインアップを充実させすぎる

初期から在庫リスクを上げてしまうと機動力を損ねてしまう。売れないものを無理やり売らなくてはならない状況に陥らないよう、商品の種類や量をできるだけ絞って作った方が良い。仮に売り切れても受注できるのがECであり、売り切れ状態が次の顧客を呼ぶこともある。作ってしまった商品が事業の足かせにならないように注意したい。

顧客の価格相場感と外れた商品を作ってしまう

プレミアムな商品が成功するのは、市場浸透率が高いカテゴリで一般化が相当進んでいる商材や、購買要因として情緒性が強い商材などの場合。「プレミアム=高単価」ではなく、一般化している商材における差別化の手段と考える。一般化してない商品や通常の価格相場感から外れすぎた商品は、ほとんどの場合魅力にならない

特徴のない商品、競合との差別化ができない商品を作ってしまう

強みの定義に関する失敗と同様、競合との差別化がなされてない商品は弱い。商品的なスペックだけでなく、特徴や独自性を持たせることは購買動機につながり、競合の模倣を困難にする。

継続性のない商品や単価が低すぎる商品を作ってしまう

クロスセルやアップセルがある場合は考え方が異なり、あくまでメイン商材についての話だが、継続性の高い商品で繰り返し購入してもらうことができればLTVを高められ、高単価商品をECで販売することでマーケティングコストなど変動費の一発回収が可能になる。そうしたEC向きの商品が望ましい。年間消費量が低いものや数年に1回しか買わないもの、さらにそれが安価な場合、ECのみで継続していくことは困難。

原価率が高すぎる

粗利率が6割〜7割を切る場合は、商品がECに適してない可能性が高い。ただし、5%〜10%程度粗利を下げる(原価を上げる)ことで独自の強みを創出でき、マーケティングコストを下げられる場合は、結果的に購入率(CVR)やLTVが上がるため許容可能と考えることもできる。

③マーケティング

新規獲得にばかり目が向き、既存顧客の再購入や購入単価の向上に目が向かない

D2Cの初期の壁は新規顧客の獲得だが、事業が進行するにつれて繰り返しの購入が重要となる。デジタルトレンドとしてCPA(新規顧客獲得単価)が高騰しているため、いかにLTVを稼げる事業に育てるかがカギとなる。新規獲得の時点からLTVを上げることを事前に設計しておくと、マーケティングコストの許容範囲内で効率良く成長させることができる。

流行の施策にお金をかけてしまう

新しく誕生した施策は、メジャーになった頃にはボーナスタイムが終わっていることが多い。流行の施策にお金をかけるよりも、基礎的な施策も含めて優先順位を考え、しっかりと費用対効果を見据えることが大切。

売ることは広告代理店の仕事だと思っている

販売を広告代理店に任せきりにするのは、失敗するD2Cの典型的なパターン。広告は集客しか担っていない。商品力やサイトでの購入率を高める工夫、初回購入後にLTVを上げる仕掛けがあって、初めて売り上げが成り立つことを忘れないようにする。そこをないがしろにして集客目的の広告だけを広告代理店に任せても、魅力的な広告でボロボロのお店に人を集めるようなもの。

広告を回して数字を見ることが目的になっている

A/Bテストは本来、極限まで突き詰めて考え抜いた2つのパターンを試してどちらが良いのかを試すもの。「とりあえずやってみる」ではない。

たまたま見かけた新しい施策を重視してしまう

昔からある鉄板施策は必ず一定の効果があるのでPDCAを継続するべき。たまたま見かけた新しい施策を試したくなる気持ちはわかるが、まずは集合知が蓄積された鉄板施策を網羅的にブラッシュアップする方が効率が良い。

ブランディングが目的になっている

ブランディングは目的にするものではなく、結果として積み上がるもの。ブランディングではなく、定めた提供価値に対する顧客認識を強め、購入率を高めることを目的として施策を設計しKPIやKGIを検討していく。

④オペレーション/フルフィルメント

送料を削減する工夫をしていない

ECにとって配送コストは売り上げを作るために必ずかかるコスト。ポスト投函できる配送方法にするなど、可能な限り下げる工夫をするべき

極端な外注/内製

極端に外注または内製するのは禁物。事業のコアとなる改善やディレクションなどは必ず内製化して社内にノウハウを蓄積させ、ルーティンワークはなるべく外注して自社リソースでやるべきことに集中するといった切り分けが大切。

顧客の意見を聞かない

D2Cは顧客のデータを持てるのが強みであるにも関わらず、活かしきれていない企業は多い。顧客に直接アプローチして生の声を聞き、事業のヒントにする機会を定期的に作るべき

配送箱や化粧箱、同梱物に原価をかけすぎる

「アンボクシング(Unboxing/開封)体験」の事例が海外で有名になったため、良い箱を作ることがブランディングとして拡大解釈されている。簡単な箱でも継続率が長い商品も多く、箱が良くてもプラスにならないことも多い。商品価格から妥当なコストを見極めるようにする。

⑤ECサイト/システム

商売よりも芸術性重視のサイト構築

ECサイトはお店であり、マーケティングメッセージやセールスライティングをしっかりと反映させるべき。アート作品として世界観やグラフィックに力を注ぐよりも、顧客の興味関心を引いて購入を促す表現や機能を優先させる

「ブランディング=クリエイティブにお金をかけること」と勘違いしている

ブランディングはこの商品に「固有の要素」があると顧客に認識してもらい、他ではなくこの場所で買う理由付けを行なうもの。クリエイティブに高い費用を出せば実現するものではないと考える。

サイトの導線をおろそかにしている

ECサイトは導線次第でマーケティング費用のリターン効率が数倍から数十倍にもなることを心得えておく。最も効率が良いサイト構成がLP。マーケティング費を効果的に活用するためにメインの集客経路として活用するべき。

「予算がないからまずは無料のカート」

ECは売れない時のコストが一番高いことは意外に目を向けられていない。その内訳は、システム以外の人件費を含む固定費やマーケティング費用がほとんど。「お金がないから安いシステムで」としてしまうと、目に見えないコストがかさむことになる。「とりあえず立ち上げ」ではなく、再現性のある成長を実現できる機能を持ち合わせているかどうかでシステムを選んでほしい。

持続的な成長を見据えたECプラットフォーム「ecforce」

SUPER STUDIOは「コト、モノにかかわる全ての人々の顧客体験を最大化する」をミッションに掲げ、ECのトータルソリューションカンパニーとしてあらゆるビジネスのEC化に取り組んできた。ECプラットフォーム「ecforce」を提供するベンダーでありながら、自社でD2C事業も数多く手掛けていることから、失敗も含めてさまざまな経験・知見を蓄積し、商品製造からフルフィルメント、マーケティングなどをトータルでサポートしている。

「ecforce」は最新のビジネストレンドを踏まえた機能を都度開発・実装しており、常に最新の環境で活用できることが魅力。システム面だけでなく、事業のすべてのフェーズや領域におけるノウハウも提供しており、ecforce公認のビジネスパートナーとのビジネスマッチングも可能。

SUPER STUDIOが提供するサービスの概要
SUPER STUDIOが提供するサービスの概要

ECの立ち上げを容易にするシステムが多いなかで、「ecforce」は売り上げがきちんと上がり、事業が成長するところまでを仕組みとして提供している。ただ立ち上げるだけでなく、売り上げが継続することをゴールとしており、初年度から数億円の規模の事業を複数立ち上げている。

その結果、ユーザーの平均年商は2億円以上、平均売上成長率は265%と数字にも現れている。自社の実体験に加えて、数多くのユーザーの知見をシステムに反映させるというハイブリッドな開発環境が、売り上げの上がるシステムを実現させている。(飯尾氏)

2022年10月末時点で約1000ショップが「ecforce」を導入しており、もともと得意としていたヘルスウェルネスやパーソナルケア、美容などの領域から、ペットグッズやファッション、食品飲料関係などの事業領域にも導入が拡大している。

また、未来に向けた「次世代EC構想」では、自社ECとプラットフォーム系EC、物販ECとサービス系ECなど、各々の販売チャネルを統合管理し、それらの統合データから最適なマーケティングアクションを自動で提案できる世界観をめざしている。

SUPER STUDIOの「次世代EC構想」
SUPER STUDIOの「次世代EC構想」
[Sponsored]
この記事が役に立ったらシェア!

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]