成長しているサイトは何をしているのか? BEAMS(ビームス)、ヤッホーブルーイングが選んだツールと戦略のポイント
ECサイト構築パッケージ「ecbeing」の提供を1999年に開始したecbeing。現在では1500以上のサイトに導入され、年間流通総額は6000億円を突破するまでに成長している。ecbeingで代表取締役社長を務める林雅也氏によると、これからのECビジネスに必要なのは、①ブランドプロミス ②顧客の価値体験 ③顧客タッチポイント ④データ/システム――という。
ecbeingでは「ecbeing」を中心に、それぞれの分野をサポートするソリューションを提供することで、導入先のビジネスの成長をサポートしている。代表的な2つの事例と、その成長を支えるソリューションについて解説した。
認知からファン化までをトータルにサポート
集客・認知についてはSNSなどと連携する「visumo」、自社をメディア化していくところはCMSルーツ「Site MiraiZ」、購入の段階では「ecbeing」、さらに購入者が他のユーザーに推奨するためのレビューについては「Revico」というように、ecbeingでは認知からファン化までの一連の流れを、同社およびグループ会社が提供する各サービスでカバーしている。
中心となるのがカスタマイズ可能なECサイト構築パッケージ「ecbeing」。ここを起点にそれぞれの顧客に合わせて作り込んでいく。
カスタマイズできるプラットフォームとSaaSのサービスをハイブリッドで提供しているのが我々の特色。(林氏)
速いスピードで進化するデジタルマーケティングに対応するため、オプションのサービスをSaaS(Software as a Service)で提供している。
たとえば、マーケティングの戦略を立案するためのプラットフォーム「SechstantCDP」や、MAを担う「SechstantCRM」のほか、検索、アプリ、SNSとの連携、レビューなど、多数のマイクロサービスを用意している。SaaSの特徴として自動的にバージョンアップされるため、ユーザーは常に最新のテクノロジーを利用できる。
ecbeingの導入事例 ①BEAMS
ここからは数多くのecbeingの導入先のなかから、代表的なECサイトの取り組みと、それを支えるecbeingのソリューションについて紹介する。
セレクトショップを全国で展開するBEAMSでは、単に商品を買えるだけではなく、魅力的なオウンドメディアとしてECサイトを機能させている。具体的には季節を意識した特集や先行予約、ニュースやスタイリング、ビデオ、ブログ、フォトログといったさまざまなコンテンツが、すべて高いクオリティで提供されている。
BEAMSでは顧客に寄り添う機能の充実も図っている。たとえば検索機能では、色やサイズといった通常の検索項目だけでなく、素材や形状などディテールに関しても検索項目に盛り込んでいる。これは商品マスターのメンテナンスの質が高くないと実現が難しい施策だ。
商品詳細ページでは商品の機能や仕様の説明が充実しており、さまざまなアングルからのスタイリング提案、試着への導線まで用意されている。会員の好みに合わせたタイムライン表示など、パーソナライゼーションも実現できている。
BEAMSではライブ配信も行っており、ecbeingがログイン連携や視聴中のカートインなど、ライブ配信中に使う細かい機能の実装を担当した。ライブ配信には高い技術が必要だが、BEAMSでは2016年からスタッフがECサイトの構築や運営に参画し、コンテンツを提供し続けているため、スタッフのレベルが上っているという。
また、BEAMSが台湾で公式サイトをオープンした際も、ecbeingがサポートを行った。「言語対応も必要だが、台湾で特徴的なのはレシートにクジを実装しなければいけない点」と林氏。国境を越えたオムニチャネル展開は今後のトレンドとなっていくだろう。
ecbeingの導入事例 ②ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングのマーケティングの目標は「ファンとの絆を強くしていく」ことだ。ファンを増やすために重要なのは「学び」「交流」「共創」のサイクルを回すことだと林氏は言う。サイトにはクラフトビールの紹介だけではなく、おいしいクラフトビールの飲み方、おいしい食べ物との組み合わせなどさまざまな読み物が用意されている。
コンテンツはecbeingが提供するCMS「SiteMiraiZ」を使って、ヤッホーブルーイングのスタッフが直接更新している。データ連動により商品の価格などが自動で表示されるため、ミスも少ないという。
ファンを大切にするヤッホーブルーイングが作ったのは定期購入に特化したECサイト。限定ビールの先行販売や醸造所見学イベントの先行予約、ヤッホーが展開するビアレストランの優待や会報誌などを会員限定で提供している。
届く製品についてもユーザーが選べる。定期購入のユーザーしか買えない限定製品を販売するなど、ロイヤルカスタマーに特化したサイトとなっている。
定期会員限定のLINEチャネルを開設し、ステータスに応じたLINEのプッシュ配信や情報配信も行なっている。
ここで紹介した事例以外にも、ecbeingではさまざまなサイトの構築を行っている。これは開発体制500人以上、マーケティング支援体制200人以上といった体制の成果だという。
常にエンジニアが不足していると言われているEC業界において、「エンジニアを増やしていくということも、会社のミッションとして重要だと思っている」と林氏は語る。2022年も50人を越える開発者を採用しているという。