【楽天とKDDIの提携】楽天の配送インフラを「Wowma!」出店者に提供するその内容は?
楽天とKDDI、沖縄セルラー電話は11月1日、決済や物流、通信分野で事業連携すると発表した。
今回の連携は、携帯電話事業を円滑に始めたい楽天と、ECモールや決済分野を伸ばしたいKDDIの意向が合致したもの。物流面の連携では、KDDIグループのECモール「Wowma!」の出店者に、楽天の物流サービスを提供していく。
たとえば、自社で配送網を持たないKDDIグループのECモール「Wowma!」にとり、先行する「楽天市場」「Amazon」といった競合モールを追いかけるには、配送サービスの拡充が欠かせない。
一方、自前の通信網を持たない楽天にとって、基地局などの設備をゼロから構築するには多大なコストや時間が必要になる。楽天はスタート時点までにすべての通信網を自前で整備するのは難しいと判断。KDDIから通信網を借り受けることにより、スタート当初から全国で第4世代(4G)高速通信を提供できる体制を整える。
料金などの詳細は今後詰めていくとのこと
物流サービス分野における提携について、3社はプレスリリースで次のように説明した。
楽天は、KDDIが運営する総合ショッピングモール「Wowma!(ワウマ)」に対して、楽天の物流サービスを2019年4月より順次提供します。両社は、楽天が推進する「ワンデリバリー」構想を共に進めていくことで、物流業界における社会課題に対して、効率的な物流・配送サービスを実現し、国内EC市場の健全な持続的発展を目指します。
今回の連携策は、KDDIコマースフォワードが運営する総合ECモール「Wowma!」で扱う商品を、楽天の物流網で配送するというもの。
具体的には、楽天グループのRakutenDirectが販売している生活用品や日用品のほか、「楽天ブックス」や一部出店者の商品を配送する楽天独自の配送サービス「Rakuten EXPRESS」、「楽天市場」の出店者向けの物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」といった配送や物流網を活用し、「Wowma!」で売れた商品を消費者に届ける体制作りを進めるという。
楽天は現在、購買データに加え、配送データも自社管理することで商品の注文から配送までの仕組みを整備し、受け取りの利便性向上、再配達削減、配送状況の可視化などの実現をめざす「ワンデリバリー」構想を進めている。
この構想下では、「基本的には楽天が全店舗の全荷物を預かりすべて配送」「将来的には楽天市場で扱う商品以外も配送する」「楽天市場以外の荷物を預かる場合、同一のタリフで提供する」――といったオープンプラットフォームの実現に向けた方針も掲げる。
楽天は将来的なオープン化に向け、まずは「Wowma!」出店者へ配送インフラを提供する。物流面でのシステム連携、物流・配送回りの利用料金に関しては今後詰めていくという。
楽天にとって今回の連携は、物量の増加が見込めるため、スケールメリット(規模拡大効果)が見込める。KDDIグループは楽天の物流・配送インフラを活用することで、スピード配送といった配送サービスのメニューを出店者に提供できるようになる。