アフィリエイト広告の表示で景表法違反、東京都が健食通販・ECの2社に措置命令
SNS上のバナー広告から遷移したアフィリエイトサイトで広告していた痩身効果をうたった表示が景品表示法に違反するとして東京都は3月27日、通販事業者2社に対して措置命令を行ったと発表した。
消費者庁が2022年に改正した「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」では、「アフィリエイトプログラムを利用した広告についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む)には、景品表示法上は、広告主が行った表示とされる」と規定している。アフィリエイトサイトの表示であっても、表示に景品表示法違反が認められる場合は広告主がその責任を問われる。今回の措置命令はこのことが当てはまる事例となった。
措置命令を受けた事業者は健康食品ECのヘルスアップとニコリオ。
東京都は、ヘルスアップが複数のアフィリエイトサイトで機能性表示食品のサプリメント「シボローカ」を、「誰でも食事制限や運動をすることなく、短期間で容易に顕著な痩身効果を得られるかのように示す表示を行っていた」と指摘。景品表示法違反と認定した。
ヘルスアップはこのほか、複数のアフィリエイトサイトで、「シボローカ」について国が痩身効果を認めたかのように示す表示を行っていたが、実際には国が認めた事実はなかったという。
ニコリオは販売する機能性表示食品のサプリメント「フラボス」を、アフィリエイトサイトにおいて、「食事制限や運動をすることなく、容易に顕著な腹部の痩身効果を得られるかのように示す表示を行っていた」と東京都は判断し、景品表示法違反と見なした。
東京都知事は2社に対して、景表法の規定に基づき、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を求めた。2社は書面をそれぞれ提出したが、いずれも合理的な根拠とは認められなかったという。
なお、ニコリオは同日、自社のWebサイトで「東京都からの措置命令に対する取消訴訟の提起及び執行停止の申立について」と題して見解を発表。「お客様をはじめとする関係者の皆様には、ご迷惑とご心配をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。しかしながら、今回の東京都の事実認定には承服し難く、本措置命令に対して取消訴訟の提起及び執行停止の申立の準備を行うことといたしました」としている。
措置命令に関する補足
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上述の通り、たとえ広告主が広告の内容を把握していない場合であっても、基本的には広告主である販売者が表示の責任を負う。2社への措置命令を踏まえ、東京都は事業者に対して「自社の広告が届出表示から逸脱していないか、改めて確認をしてほしい」と呼びかけている。
消費者に対しては、「特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に痩身効果が得られる」という趣旨の表示には注意を呼びかけている。
東京都は2023年7月、不当なインターネット上の広告を調査するための専門的知識を有する助言員チーム「東京デジタルCATS」を発足。インターネット上の不当な広告への注記喚起を促すため、SNSやデジタルサイネージなどさまざまな媒体を活用し、東京都知事のメッセージ動画や啓発動画の配信、イベントでのパネル展示など、継続的な情報発信を行ってきた。
今回の措置命令においては、助言員チームによる専門助言をのべ12回実施。SNS広告への調査方法などについて知見を集めた。東京都によると、その結果、迅速な処分につなげることができたという。