グローバルECを低リスク・低予算で実現する戦略とソリューションとは
国・地域ごとにニーズや商習慣、法律が異なるグローバル市場において、国内企業がECで成功するために必要なことは何か。グローバルECシステムの世界的プロバイダーとして1万サイト以上の支援実績を持つデジタルリバージャパンの高橋 実 シニアセールスマネージャーが、海外市場でECの売上を伸ばすための戦略や、低リスク・低予算で海外進出を実現するソリューションについて解説した。 写真◎Lab
セミナーのポイント
- 進出する国・地域は売上機会と参入障壁の難易度で決める
- ビジネスモデルは「越境EC」か「現地法人化」
- 低リスク・低予算でグローバルECを実現するソリューション
進出する国・地域は売上機会と参入障壁の難易度で決める
グローバルECを開始する際、まずは、ターゲットとする国や地域を決定しなければならない。自社製品の競争力や市場規模、参入障壁の難易度などを総合的に考慮して優先順位を決めることが重要となる。
進出先を決める際のポイント
①自社製品に対するニーズの大きさ
参入する国・地域において自社製品が属する商品カテゴリーの市場規模を調べ、自社製品に対するニーズの大きさを分析する。②EC市場の規模や将来性
参入する国・地域のEC市場に魅力があるのかを調べることも重要。現在のEC市場の規模や、今後の成長ポテンシャル、物流インフラの整備状況などを調査する。③参入障壁の難易度
市場に参入する上で、どれくらいの企業努力を要するのかという視点から、参入先の優先順位を決める。仮に潜在的な売上機会が大きい市場であっても、参入する際に莫大な初期投資が必要だったり、関連法規をクリアするために長い期間が必要だったりする場合、参入先としての優先順位を下げる必要がある。
ビジネスモデルは「現地法人化」か「越境EC」
進出する国や地域が決まったら、グローバルECに取り組む際のビジネススキームやアプローチ方法を決める。グローバルECのビジネスモデルは大きく分けて、「オンショア(現地法人を設立)」と「オフショア(クロスボーダー)」の2種類がある。デジタルリバージャパンの法人顧客の場合、優先度の高い主要国はオンショア、それ以外の国はオフショアというように、2つの方法を組み合わせてグローバルECを展開しているケースが多い。
①オンショア(現地法人を設立)
参入国に現地法人を設立し、在庫を現地に保管したり、ローカル決済に対応したりすることで現地の消費者に最適化する。配送のリードタイムが短く、現地の銀行口座や決済を利用できるため顧客満足度を高めやすい。
一方、企業は多額の先行投資が必要となり、事業運用コストも大きくなる場合が多い。
②オフショア(越境EC)
日本でECサイトを立ち上げ、製品を国内から出荷する。決済は国際クレジットカードを利用するのが一般的だ。企業側は比較的短期間で事業を立ち上げられる上、初期投資や運用負荷を抑えられる。
一方、配送日数が長いことや送料が割高になること、決済手段が限られることなどがデメリットとなる。
グローバルECを展開する際は、事業計画や目標とする成長速度に合わせ、ビジネスモデルを構築することが望ましい。テストマーケティング的に開始するのであれば、初期投資やリスクを抑え、“よちよち歩き”からスタートすることをお薦めしたい。具体的には、ECサイトの説明文や製品価格を現地語で表示し、決済は国際クレジットカードを利用しながら、製品は国内倉庫から出荷する方法だ。
一方、製品に対するニーズや競合の有無などを考慮した結果、有利な市場であり、かつ、いち早く売上を伸ばしたいのであれば、営業拠点や物流倉庫を現地に置くのがよいだろう。
マーケティング戦略のポイント
マーケティングの戦略についても、いくつかのポイントがある。
- ウェブサイトのデザインやセールスコピーを全世界で統一するのか、リージョンごとに趣向を変えるのかを地域特性に応じて検討する。
- GoogleアドワーズのようなPPC型のインターネット広告が有効なのか、SNSを通じた宣伝が有効なのか、国ごとに有効なデジタルマーケティング手法を選択する。
- 国ごとにメジャーなウェブ媒体は異なるため、各国で適切なウェブ媒体を選定する。
- ECサイトの運営を日本人が行うのか、現地のネイティブスピーカーに任せるのかを決める。現地の顧客の購買意欲を揺さぶるようなキャッチコピーの作成や施策を展開するには、日本人ではなく現地のネイティブスピーカーにまかせた方が良い。
低リスク・低予算でグローバルECを実現するソリューション
従来企業が海外に進出する場合、システムや物流インフラを企業ごとに構築する「オンプレミス型」が主流だった。しかし、オンプレミス型は内部統制が実現する一方、他国に水平展開する際にカスタマイズしにくいという欠点がある。
また、グローバルECにおいては「言語対応」「決済・通貨対応」「税金マネジメント」「コンプライアンス」「顧客対応」といったビジネスインフラを国や地域ごとに最適化しなくてはならない。
さらに、グローバル市場は変化が激しいため、準備期間が短く初期投資を抑えられ、かつ、頻繁にアップデートできるソリューションが求められている。
デジタルリバージャパンでは、グローバルECのこうした課題を解決するため、クラウドベースのグローバルEコマースソリューションを提供している。「マーケティング」「ECサイト構築」「受発注」「CRM」「決済」などのサービスを、企業のニーズに合わせて組み合わせ、世界規模でのECを実現するソリューションだ。
プラットフォーム&ホスティング
マルチテナント型のSaaSのEC基盤を軸としたソリューション。ショッピングカートから管理ツールまでEC機能をワンストップで提供しており、グローバル企業が運営する世界基準のECサイトを手軽に構築・運営できる。
ペイメント&リセラーサービス
世界200種類以上の支払い方式をシングルゲートウェイで利用可能。税理サービス、外国為替、不正行為防止など多様なサービスも揃えている。
デジタルリバーの海外ネットワークとパートナー企業のサービスによって、世界各国・地域で、中核ソリューションとサポートソリューションを組み合わせて提供する。
オーダー管理、返金対応、コンプライアンス対応、税金の徴収・申告などの仕組みも提供しているほか、デジタルリバーが代理店機能を果たすことで、海外に現地法人を持たない企業の海外販売も支援する。
プロフェッショナルサービス
国ごとに最適化されたマーケティング活動から店舗運営代行まで、さまざまなサービスを提供している。対象国のEC市場に精通したデジタルマーケティングエージェンシーが、SEOやSEM、アフィリエイト、ウェブ広告の企画や運用を行い、各国ごとに最適化されたプログラムで売上拡大を支援する。
デジタルリバージャパンは、ソリューションの展開にあたり、さまざまなジャンルのパートナーとのエコシステムを形成してきた。今後はシステムインテグレーターとのパートナーシップも進め、日本企業の越境ECをさらに支援していく。
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