堺市など官民連携の団地リノベーション事業にDIY通販・ECの大都が参画、DIY需要掘り起こす
DIYによる新たな住空間の創造を通じて、空き家が増加している団地に若年層の居住者を呼び戻す官民の共同プロジェクトに参画
DIY用品の通販・ECを手掛ける大都は、大阪府住宅供給公社、堺市、リノベーションを手掛けるデザインオフィス9の4者で、DIY用品を使って団地を活性化するプロジェクトに参画する。DIYによる新たな住空間の創造を通じて、空き家が増加している団地に若年層の居住者を呼び戻す取り組み。大都はDIY製品と触れ合う機会を創出することで、団地のリノベーション、DIY需要の掘り起こしなどにつなげる。
プロジェクトの名称は「泉北ニュータウン 公社茶山台団地 DIYリノベーション計画」。「泉北ニュータウン(大阪府堺市)」にある大阪府住宅供給公社の茶山台団地は、1971年の開発から約40年が経過し、20~30歳代の入居者数が減少。空き家が増加している。
一方、理想とする生活に合わせて住環境を自らの手で作り出す「DIY」の浸透で、首都圏の中古マンション成約件数は昨年度比13.3%増加している。今回のプロジェクトは、「DIY」によるリノベーションを通じてニュータウンに新たな住空間を創造。若年層を呼び戻すプロジェクトを官民一体で進める。
日本最大級のDIY用品の通販・ECサイトを運営する大都は今年、日本初の体験型DIYショップ「DIY FACTORY OSAKA」の運営を開始。このなかで、DIY用品を使った体験型ワークショップを開いている実績があり、このノウハウを提供する。
大都は茶山台団地で「DIYリノベーションワークショップ」を開催。一般ユーザーや建築を学ぶ学生を対象に、フローリングの貼り付け、壁塗り、家具作りなどを通じて、実際に住空間をリノベーションする。
入居者向けにもワークショップを開催。新たな入居者のほか、既に住んでいる居住者も巻き込み、ニュータウン全体のリノベーションにつなげる。
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「服では試着できるのが当たり前なのに、工具などは使って試してから買うということができない。モノ作りの楽しさを教えたり、製品を試してから買うという場所があってもいい」。以前、大都の山田岳人社長はこんなことを話してくれた。
この想いを実現するために立ち上げたのが、体験型DIYショップ「DIY FACTORY OSAKA」。日本初というDIYの体験ができる実店舗だ。
ジャパネットたかたの高田明社長が以前講演で、「変化に対応するよりも、変化を創造しなくては生き残れない」といった趣旨のことを話していたのを思い出した。山田社長は現在大きなトレンドとなりつつある、EC専業の「実店舗への進出」という変化への対応以上に、「体験」という付加価値を付けて、変化を創造したと僕は感じている。
今回の官民共同プロジェクトの参画はこうした取り組みが評価されたものだろう。しかし、短期的には大きな収益は見込にみくい。だが、山田社長は、DIY市場の活性化・需要掘り起こしという長期的な視点でプロジェクトに参画しているのだろう。
消費者が実際に商品を触れる機会を作り、DIYの体験を通じて楽しさを実感してもらうことが、大都が成長する上で重要だと考えているからだ。