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新型コロナウイルスの影響で、世界中が大混乱に陥りグローバル経済に急ブレーキがかかりました。日本でも緊急事態宣言の延長に伴い経済や社会に深刻な影響を与えています。このような状況の中で、中小企業の経営者はコロナショックが長引くことを念頭に事業継続のための戦略を練りながら経営の舵を取る必要があります。

コロナを3つのフェーズで考える

経済的な危機は10年ごとにやってきている
経済的な危機は10年ごとにやってきています

コロナショックを ①Nowコロナ(短期戦) ②Withコロナ(中期戦) ③Afterコロナ(中長期戦)という3つのフェーズで捉えて、戦略を立てていきましょう。

Nowコロナ・フェーズ

企業が倒産する直接的な理由は1つしかありません。それは、「手持ち資金が枯渇する」ということです。そのための備えとして経営者は、「収入の増大」と「支出の削減」を行う訳ですが、Nowコロナのフェーズでは、平時と異なって「緊急対処」が必要になります。

中小企業の視点で言えば、まだ多くの企業がこの段階にあると言えます。

まず、日本政策金融公庫や商工中金といった政府系金融機関の特別貸付制度、都道府県などによる融資制度、さらに民間金融機関からの信用保証付き融資などを活用して、資金を確保することが重要です。また前年同月比で月次売上が5割減となった事業者は、「持続化給付金」の給付申請を行いましょう。

支出の削減では、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する「雇用調整助成金」を活用して資金支出を抑えるとともに、固定費や不要不急の新規投資の徹底的な見直しを図らねばなりません

経済産業省が公開している資金繰り支援内容
経済産業省が公開している資金繰り支援内容(経産省の公表資料から編集部がキャプチャ)

Withコロナ・フェーズ

Withコロナのフェーズでは、これまで臨時的な措置と捉えてきた「テレワーク」や「一部業務の停止」が長期化します。在宅勤務による生産性低下や、売上・利益の低下が予想される中で、それらの改善を図ることは勿論のこと。

同時に会社をいかに持続していくか? 商売をどのように展開するか? といった「市場変化に合わせた収益構造の改革」を考える必要があります

取捨選択消費に対応する

消費者は、コロナ騒動で“強制的な価値の転換”を余儀なくされました。それは「不要と不急」という価値観です。コロナ以前の消費者にはなかった選択基準です。

そして人々は「コロナ感染の予防対策」「テレワークの準備」「外出自粛による食品の確保」といったものを優先的に消費し、化粧品や高級バッグといった「社用の消費」を行わなくなりました。そして、緊急事態宣言が発令されて長期的な自粛生活を強いられると「巣ごもり消費」「コロナ疲れ消費」といったものが増大していきました。

今回のコロナショックは世界中の企業経営者に、“ある問い”を投げかけました。それは、「もし、人々が外出できず、人と会うことも出来なくなったら、あなたの会社はどうしますか?」「もし、世界中の人々の収入が一斉に減少したら、あなたの会社は何を売りますか」という問いです。

コロナショックであがっている課題
コロナショックであがっている課題

それらの問いに対して、経営者は答えを出していかねばなりません。これはECに限らず、すべての企業が「場所に捉われない業務とは何か?」「リモートワークのボトルネックはどこか?」ということ、そして「自分たちが消費者に売っているものは何なのか?」ということを、改めて考え直す必要があります

Afterコロナ・フェーズ

コロナウイルスの感染拡大が収束した後は「復旧」ではなく「復興」を考えていかねばなりません。これは東日本大震災の際、当時の復興大臣が発した「復旧は元に戻すことであり、復興は新たに価値を作り直すこと」という言葉と同じ意味です。

コロナ収束後は、「ニューノーマル(新常態)」と呼ばれるように、社会や経済の構造的な変化が起こり、コロナ以前の状態とは異なる消費選択基準が生まれることが予想されます。

価値観の変化に対応する会社が生き残る

コロナ収束後は政治、経済、社会が変化し、人々の思考や行動が大きく変わるでしょう。それは商習慣だけでなく、人々の価値観が変わるということです。

人々が新たに描く価値観に合わせて需要が変化し、消費や生活が変化し、商品やサービスが変化し、これまで常識とされていたさまざまなものが変わっていくでしょう。一番大きく変化するのは「コミュニケーションの様態」ではないかと思います。それによってさまざまな市場が地殻変動を起こすと思います。

市場の地殻変動に伴い、企業は既存事業の収益モデルの見直しや、新しい収益源の創出といった「事業ポートフォリオの見直し」を迫られますECの場合は「事業」を「商材」と置き換えてもよいでしょう

まず事業者は現在の需要変化を踏まえた上で、今後影響を受けやすい事業(商材)・受けにくい事業(商材)・伸びが予想される事業(商材)に分類し、経営資源の配分や投資についての見直しを今から始める必要があります。

老舗の流儀は進化にある

筆者自身、創業169年の京都の老舗酒造会社「吉村酒造」の6代目蔵元でもあります。老舗というものは、100年以上にわたり戦争や災害など数多くの困難を乗り越えて生き残ってきた歴史があります。そんな老舗を支える根幹には「存在意義の確認」と「伝統と革新」があります。

清酒製造業界は右肩下がり。そんな環境下で、私の蔵元は生き残ってきた
清酒製造業界は右肩下がり。そんな環境下で、私の蔵元は生き残ってきた
吉村酒造で起きた変化の一部
吉村酒造で起きた変化の一部

会社の存在意義とは「あなたの会社の価値観とは何ですか?」という問いに対する答えです。自社の価値観を再認識するためには、過去(歴史)に立ち返ることが重要になってきます。

各社、事業活動を行う上で最も大切にしていることは異なります。なぜなら辿ってきた歴史が異なるからです。そこには創業時の商売や理念も関係してきます。よって会社の歩んできた道を遡っていくと、自社が最も大切にしている価値観が見えてきます。

自社の価値観を導き出せば、今度はその延長として「今後、歩みたい未来」というものを描くことができるはずです

吉村酒造ではSWOT分析を行い、新しい価値を生み出すためのイノベーションを進めた
吉村酒造ではSWOT分析を行い、新しい価値を生み出すためのイノベーションを進めました

過去を知り、未来を想った上で現在の状況を改めて見つめなおすと「いま、革新して進化しなければならない課題」というものが見えてきます

企業は時代の変化とともに変わっていかなければなりません
企業は時代の変化とともに変わっていかなければなりません

私も、私の父も、祖父も、曾祖父も、「今まで当たり前と思っていた事や価値観を根底から変えざるを得ないような状況」に遭遇してきました。その度に自社の存在意義を再確認した上で果敢に革新を図り、時代にあわせて進化してきました

先人たちがさまざまなことにチャレンジして進化きたからこそ、私どもの会社が今日も存在していると思います。これが老舗のDNAであり、生き残ってきた術であると確信します。

「恐竜は進化しきれずに絶滅したが、哺乳類は進化し続けたために、現在も存在する」の例えの通り、このコロナショックを「自社にとっての進化の糧」とする姿勢こそが、いま問われているのではないでしょうか

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吉村正裕

吉村正裕(よしむら まさひろ)

  • 株式会社サイバーアシスト 代表取締役社長
  • 株式会社ハイフィット 代表取締役社長
  • 吉村酒造株式会社 代表取締役会長・6代目蔵元

全国各地の公的機関などで開催される「EC」「マーケティング」「事業承継」「第二創業」などをテーマにしたセミナーに、年間100か所登壇する人気講師。

ほかにも一般社団法人イーコマース事業協会(EBS)第5代会長や全国事業承継教育普及協議会 副理事長なども務める。

4月末からYouTube「小さな会社の経営のツボ」を開始。Web制作者のためのセミナー・イベント「CSS Nite2019」では、「ベストセッション10」を受賞している。

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