瀧川 正実 2021/3/17 10:30

コロナ禍の景気刺激策として、国土交通省が2021年4月から始める新たな住宅ポイント制度「グリーン住宅ポイント制度」。一定の省エネ性能などを有する住宅の新築やリフォーム、一定要件などを満たす既存住宅の購入に、商品や一定の追加工事と交換できるポイントを付与する制度で、新築で最大40万円相当、リフォームは最大30万円相当などのポイントを発行する。商品を消費者に提供する「交換商品事業者」の要件は、消費者向けの通信販売の実績があることなど。通販・EC事業者の新たな販路になる「グリーン住宅ポイント制度」を解説する。

「グリーン住宅ポイント制度」とは?

「グリーン住宅ポイント制度」は、グリーン社会の実現、地域における民需主導の好循環の実現などに資する住宅投資の喚起を通じ、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ経済の回復を図ることを目的とする制度。

一定の省エネ性能などを有する住宅の新築、リフォーム、または一定の要件などを満たす既存住宅を購入する場合、商品や追加工事と交換できるポイントを付与する。

  • 新築は最大40万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイントを付与
  • 一定の要件を満たす場合、新築は最大100万円相当に付与ポイントを引き上げる(たとえば東京圏からの移住のための住宅、18歳未満の子ども3人以上を有する世帯が取得する住宅、三世代同居使用の住宅など、災害リスクが高い区域から移住のための住宅)
  • 「新たな日常」などに対応した追加工事にもポイント交換できる
  • 若者・子育て世帯がリフォームを行う場合などにポイントの特例あり
「グリーン住宅ポイント制度」
「グリーン住宅ポイント制度」について(国交省発表の資料からキャプチャ)

対象は、2020年12月15日から2021年10月31日までに契約を締結した一定の省エネ性能を有する住宅の新築(持家・賃貸)、一定のリフォームや既存住宅の購入。

消費者は、付与されたポイントを「新たな日常に資する商品」「省エネ・環境配慮に優れた商品」「防災関連商品」「健康関連商品」「家事負担軽減に資する商品」「子育て関連商品」「地域振興に資する商品」、追加工事との交換ができる

制度全体の流れ(画像はグリーン住宅ポイント事務局のWebサイトからキャプチャ)

この商品を供給する事業者は「交換商品事業者」と呼ばれ、通販・EC事業者などが対象となる。

「グリーン住宅ポイント制度」を活用する消費者は、グリーン住宅ポイント事務局を通じて商品交換を申し込み。交換商品事業者は消費者へ直接、納品する。その後、事務局から交換商品代金相当額の支払いを受けるという仕組みになる。

「交換商品事業者」の要件とは?

「交換商品事業者」についてグリーン住宅ポイント事務局は2月22日、交換商品の提供を希望する事業者の募集をスタートした。

商品交換のフロー(画像はグリーン住宅ポイント事務局の公表資料からキャプチャ)

募集期間(登録申請期間)は2021年10月31日まで。事業予算は1094億円(事務費込み)。商品交換期間は2021年6月上旬~2022年1月15日

交換商品事業者の要件

原則として、以下の1~5の要件を満たすことが必要。

  1. 日本国内に法人登記している企業、団体
  2. 日本国内で消費者向けの通信販売の実績を有すること。「通信販売の実績」とは、Web上に自社が運営または管理する通信販売サイト(ECモールへの出店を含む)を有し、当該サイトから商品の閲覧、注文ができること。商品の問い合わせについて、メールだけでなく電話でも受け付けていることなど。また、受注した商品の配送について、配送会社と物流委託、定期集荷などの基本契約を締結していることが求められる
  3. 商品交換期間を通じて提供できる十分な在庫を有する商品を3点以上提供できること
  4. 事務局が定める「グリーン住宅ポイント制度 交換商品事業者登録規約」(規約)「商品交換ガイドライン」(ガイドライン)および事務局が制作するマニュアルなど(運用マニュアル)に沿って運用を行えること
  5. 暴力団または暴力団員である者、不正の利益を図る目的もしくは第三者に損害を加える目的で暴力団もしくは暴力団員を利用している者などに、該当しないこと。

募集する交換商品

「新たな日常」に資する商品

ウィズ・コロナ時代の生活様式の変化に対応した「新たな日常」の実現に資することについて妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

  • テレワーク家電
  • テレワーク環境整備用品
  • テレワーク用品
  • ステイホーム家電
  • DIY用品
  • 園芸用品・アウトドアリビング
  • 楽器
  • 感染予防家電
  • 感染予防用品
  • 自転車

省エネ・環境配慮に優れた商品

生産・加工等の工程において環境上の課題に対し、一定の妥当な配慮がなされていることについて、認証制度の取得状況等により妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

  • PC・プリンタ・スキャナ・ディスプレイ(その他周辺機器・サプライ含む)
  • テレビ・レコーダー・プロジェクター
  • エアコン
  • 照明機器・電球
  • 寝具
  • カーテン・ブラインド
  • 園芸用品

防災関連商品

災害発生時の被害の防止・抑制や円滑な避難、生活手段の確保・維持等に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

  • 食料品(非常食・保存食)
  • 住宅内の被害防止・抑制に資するもの
  • その他の防災・避難用品

健康関連商品

健康の保持増進や高齢者が安心して生活できる環境づくりに資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

  • 食料品
  • アウトドア用品・自転車
  • スポーツ用品(例:グローブ、ボール、バットなど)
  • 健康器具
  • 健康家電
  • エアコン・扇風機・ストーブ・ヒーター

家事負担軽減に資する商品

家事負担の軽減に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

  • キッチン家電
  • 掃除・洗濯家電
  • スマートスピーカー
  • キッチン・バス・トイレ・洗濯・掃除用品
  • 自転車

子育て関連商品

子どもや保護者が使用する子どもの健やかな成長に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。対象カテゴリは次の通り(対象カテゴリ・要件は今後追加・変更されることがある)。

  • 家具(学習机等に限る)
  • 文具、事務用品、ランドセル
  • 玩具
  • 絵本
  • 参考書、辞書、図鑑
  • ベビーカー、ベビーシート、チャイルドシート
  • ベビー・キッズ用品
  • 自転車

地域振興に資する商品

国内の特定の地域における地域資源を活かした生産・加工等を経た農林水産物、畜産物、加工食品・飲料、伝統工芸品等の地場産品であり、「地域の振興」に資することについて、妥当と考えられる内容が明示されていること。商品例は次の通り。

  • 肉、魚、野菜、果物
  • 練り物、缶詰
  • 酒、ジュース
  • 陶磁器
  • 木製家具
  • 織物、編み物、染め物
◇◇◇

3月下旬から登録事業者・商品情報の公表をスタート。4月下旬からポイント発行申請の受け付けを始める。6月初旬~商品交換申込をスタートする予定。

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