石居 岳 2021/6/2 9:00

青山商事はネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」の導入を加速させる。

2016年の開始以来、5年で「洋服の青山」の約60店に導入してきたが、今期(2022年3月期)は2022年3月末までに100店へ導入する。6月から順次開始し、独自のOMO型店舗を全国に拡大する。

青山商事が展開するネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」
「デジタル・ラボ」のイメージ

「デジタル・ラボ」は、ネットの豊富な在庫数とリアル店舗の接客サービスの両メリットを生かす青山商事の独自システム。導入店の店内には、青山商事のECサイトと連動するタッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末を複数設置し、来店客はこれらの端末を通してECサイト上にある在庫から好みの商品を選ぶことができる。

店舗在庫をゲージ見本として試着や採寸できるため、実際の商品の色柄や着心地などを確認することが可能。販売員の接客を受けながら購入できるのも特徴となっている。

青山商事はネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」のメリット
「デジタル・ラボ」のメリット

デジタル化の加速は、2021年度スタートの新規中期経営計画(中計)の一環。中計のテーマは「一本足経営」から脱却し、「スクラム経営」で成長をめざすというもの。トップ依存型でのスーツ・フォーマル販売に偏りすぎることなく、ビジネスを軸として顧客に向き合い、事業・商品・サービスを推進する各組織が自立して協働することで、グループでの成長をめざしていくという。

中計ではリブランディングを柱とするLTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす戦略を掲げ、ビジネスウェア事業の変革と挑戦に取り組む。①顧客接点拡大をめざしたDX戦略(OMO戦略・デジタル基盤整備)②成長分野(オーダー/レディス/フォーマル他)――といった拡大戦略だ。

青山商事の中期経営計画では、LTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす戦略を掲げている
新規中期経営計画で掲げた戦略(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

中計最終年度の2023年度には、DX戦略などの効果によりビジネスウェア事業は現状比で250億円の増収を計画。そのうちECは50億円の増収を計画している。

青山商事の中期経営計画(ビジネスウェア事業の計画)
ビジネスウェア事業の計画(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

OMO戦略による顧客接点の拡大では、店舗とECを相互利用する併用顧客を増やし、店舗とECそれぞれの売上高を拡大。MAツールを見直し、EC送客への店舗評価拡充およびデジタルクーポンを導入するほか、アプリやECサイトの刷新で店舗起点の情報発信、スタッフによるコーディネート発信などSNSとの連動を強化する。

青山商事 ビジネスウェア事業のOMO戦略
ビジネスウェア事業のOMO戦略(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

さらにデジタル基盤を強化し、店舗の効率化と顧客接点の拡大を図る。「デジタル・ラボ」の導入で、在庫の縮小と売り場スペースの創出によって新アイテムやサービスを投入。接客端末などを活用したオンライン接客で、顧客接点を拡大していく。

ビジネスウェア事業のデジタル施策(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

 

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