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アマゾンが始めるLTV向上支援策とは?Amazonマーケットプレイスの販売事業者向けに無料メールマーケティング機能

Amazonのメールマーケティング機能「Tailored Audiences」を使うと、リピーター(過去12か月間)、最近の利用顧客、高額消費者を分類、メールマーケティングを行えるようになります

Digital Commerce 360[転載元]

2022年9月22日 8:00

Amazonは、マーケットプレイスの販売事業者に提供するEメールマーケティング機能を大幅に拡張することを発表しました。

Amazonは、マーケットプレイスの販売事業者に提供するEメールマーケティング機能を大幅に拡張することを発表

Amazonは、マーケットプレイスで商品を販売する事業者向けに、Eメールマーケティングをさらに利用しやすくするための新しい無料プランを明らかにしました

このプランについて、販売事業者はAmazonカスタマーエンゲージメント管理ツール「Manage Your Customer Engagement」を使い、ロイヤルカスタマーに対してマーケティングメールを送ることができるようになります

これまで、販売事業者はAmazonでブランドをフォローしている顧客とのコミュニケーションにのみにしか、Eメールマーケティングを利用することができませんでした。新しいツールを使うと、リピーター(過去12か月間)、最近の利用顧客、高額消費者を分類できるようになります

「Amazon Customer Engagement's Tailored Audiences」と名付けられたこの取り組みでは、販売事業者にパフォーマンスとレポートの指標も提供。「Tailored Audiences」には、開封率、クリックスルー率、配信されたメール、オプトアウト率、売り上げ、コンバージョンなどのデータが含まれます。

Amazonは今後、特別価格や新商品の発売、施策を告知するためテンプレート「Plug and Play」を提供する予定です。

Amazonのメールマーケティング機能「Tailored Audiences」とは

「Tailored Audiences」は現在、ベータプログラムの段階で、2023年初頭に米国の全販売事業者が利用できるようになる予定です。

このツールによって、販売事業者は顧客のオーディエンスタイプを選択することで、Amazonを通じてそれらの顧客に直接マーケティングメールを送信できるようになります。「Tailored Audiences」は、Amazonの販売事業者向けオンラインポータルサイト「Seller Central」にて、無料で利用できるようになる予定です

また、Amazonは近日中に、カスタムHTMLコンテンツによるメッセージのデザイン機能を強化する予定です。

9月14-15日に開いたAmazonのカンファレンス「Amazon Accelerate」(マーチャントを対象に開くカンファレンス)でベンジャミン・ハートマン氏(Amazon North America Selling Partner Servicesの副社長)はこう説明しました。

ブランドはAmazonストアで新規顧客を迅速に獲得することができていますが、以前からLTV(顧客生涯価値)を高めるためのツールを改善する必要性を訴えていました。今回の新機能は、販売事業者が適切なタイミングで適切な顧客にアプローチできるよう支援するという我々のコミットメントをさらに強化し、リマーケティングの価値を解放するのに役立ちます。(ハートマン氏)

健康食品などのネット販売を手がけるSports Research社のジェームス・ゴズリング氏(eコマース担当ディレクター)は、Eメールマーケティングツールの拡張は、販売事業者にとって歓迎すべきニュースであると力説します。

新しい機能により、顧客へのマーケティング方法に関して、ブランドの手により多くのコントロールが与えられます。健康・ウェルネス企業として、リピーターや定期購読者は私たちのビジネスにとって重要です。「Tailored Audiences」には、とても興味をそそられました。これらのEメールマーケティング機能は、まさに私たちが求めていたものであり、お客さまをリピーターにするためのものです。

その他の取り組み

Amazonは「Accelerate」において、販売事業者がプラットフォーム上での支援を目的とした他の取り組みも発表。ベータ版として発表した取り組みには、以下のようなものがあります。

  • Buy with Primeバッジ:この機能を利用する販売事業者は、Amazon のブランドページにリンクしているこのバッジを使用することで、自社ECサイトやソーシャルメディアでプライムショッピングの特典を提供していることを示すことができます。また、販売事業者は、カスタマイズ可能なブランド広告であるSponsored Brandsを利用して、Amazon利用者をD2C(Direct to Consumer)商品に誘導することができます。
  • Customers Ask Alexa:カーペットについた犬の毛を取るにはどうしたらいいですか?など、家事のアドバイスを求める顧客に対して、販売事業者がAlexaに回答を提案できるプログラムです。

販売事業者の心配事

今回の発表は、インフレに苦しむ消費者が支出を抑制し、販売事業者が見通しの悪いホリデーショッピングシーズンに備えている時期に行われました。

多くの販売業者は、売れ残った在庫の山を動かすために値下げをしなければならないのではと懸念しています。慢性的な品不足で価格をつり上げながらも、コロナ禍の需要を満たすために十分な量の商品をAmazonの倉庫に集めようと奔走した過去2年間とは、状況は打って変わりました。

Amazonのマーケットプレイスにおける売り上げは、同社の収益の大部分を占めています。その割合は、Amazonのキャンペーンの中で最も重要な日「Prime Day」でも増えています。

大手EC専門誌『Digital Commerce 360』の推計によると、2020年以前は「Prime Day」でのマーケットプレイスによる流通総額は減少傾向にありました。その理由は、「Prime Day」のマーケティングがAmazonのデバイス販売に集中していたからです。

しかし、その傾向は2020年に逆転します。過去数年間、「Prime Day」ではマーケットプレイスの流通総額の比率が高まっていると「Digital Commerce 360」は分析。2022年の「Prime Day」の流通総額に占めるサードパーティー商品の割合は37.2%。2021年の36.0%、2020年の35.1%から上昇しています。

Amazon「Prime Day」の流通総額(2015年-2022年)出典:『Digital Commerce 360』の推計
Amazon「Prime Day」の流通総額(2015年-2022年)出典:『Digital Commerce 360』の推計

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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