Nikeのデジタル売上のシェアが24%に拡大、D2C事業「Nike Direct」は11%成長【ナイキのデジタル化(最新情報)】
Nike(ナイキ)の2022年度(2021年6月~2022年5月)における売上高は前年比6%増の467億ドルに達し、デジタル売上高は全売上高の24%を占めました。Nikeは北米のオンライン小売事業者のEC売上ランキング「全米EC事業 トップ500社」で10位にランクインしています。
Nikeは第4四半期(2022年3-5月期)に創業50周年を迎え、2022年度は過去最高の売上高を達成しました。2022年5月31日に終了した会計年度は、供給の制約があったにも関わらず、6%増の467億ドルの売上高でした。
しかし、第4四半期の売上高は前年同期と比較すると1%減の122億ドルと、若干の落ち込みとなりました。
ジョン・ドナヒュー社長兼CEOは、アプリのエコシステム(編注:Nikeはアプリを活用して実店舗の買い物体験を変える「NIKE アプリ・アット・リテール」を展開している)のデジタルサービスが事業全体の24%のシェアを占めるまでに成長したと決算説明会で説明しました。
Nikeのデジタル事業「Nike Digital」は、「Nike.com」「Converse.com」といったECサイトやアプリを指します。
成長の原動力はオムニチャネル
消費者は、オンラインでもオフラインでも、また直営店、Nike Digital、当社の卸売パートナーなどあらゆるチャネルで、共有情報が登録されていることを期待しています。
Nike直営店では、実店舗とデジタルの接続性を高めることで、より良い購買体験を実現しています。オンラインで購入し、店舗で受け取り、店舗から発送するといったオンライン・トゥ・オフライン・サービスは、北米の店舗の100%が少なくとも1つのO2Oの要素を提供しており、成長の原動力となっています。(ドナヒュー氏)
オムニチャネルの存在は、米国の大手小売企業にとって驚くことではありません。2022年はこれまでのところ、北米のEC売上ランキングトップ500位内の小売チェーン136社の約80%がBOPIS(店頭受け取り)を提供し、61.8%がカーブサイドピックアップ(車中受け取り)を展開しています。それを踏まえ、ドナヒュー氏は、「消費者は別々のチャネルのことをいちいち考えていない」と説明しています。
彼らはただ、シームレスでプレミアムな、一貫した体験を望んでいるのです。そして、私たちは消費者がどこで買い物するかに関係なく、その経験を提供しているのです。
Nikeのデジタルビジネスは、100億ドル以上を売り上げています。マシュー・フレンド最高財務責任者によると、売上高はコロナ禍前の2倍以上の規模になっており、デジタル売上は現在、全売上高の24%を占めています。
私たちは、Nikeの消費者との直接的につながるスピードと規模を加速させています。(フレンド氏)
第4四半期の業績
フレンド氏によると、第4四半期の売上高は前年同期比で1%減少したものの、NikeのD2C事業「Nike Direct」は11%成長(編注:為替変動の影響を除いた場合)したそうです。「Nike Direct」は、店舗やECサイト、アプリ、デジタルプラットフォームなど、消費者に直接販売するチャネルのことを意味します。
デジタル事業は、前年比で18%成長しましたが、卸売売上が3%減少したため、これらの増加分は若干、相殺されています。
在庫は前年比で23%増加。第4四半期の棚卸資産は84億米ドルとなりました。「この数字は、継続的なサプライチェーンの混乱によって生じた、リードタイムの延長に起因する輸送中在庫の増加が原因ですが、堅調な消費者需要により一部相殺されています」とフレンド氏は言います。
数字で見る北米Nikeの状況
Nikeの北米における第4四半期の売上高は、2021年第4四半期と比較して5%減少しました。フレンド氏によると、供給シフトと海上運賃および物流コストの上昇を乗り切ったため、これは予想通りだったそうです。
北米では、Nike所有の在庫が前年比30%増えました。リードタイムの延長により、「輸送中の在庫は、四半期末で総在庫の65%になりました」(フレンド氏)
Nike Directの北米における売上高は前年比5%増で、この地域では過去最高の四半期売上高を達成。また、Nike Digitalは同11%増。マーケットプレイスチャネルの成長が牽引しました。「今期も歴史的な低マークダウン率と利用可能な在庫供給の減少が見られました」(フレンド氏)
北米では、Nike Digitalの総普及率が27%に達したとフレンド氏は言います。これは、Nikeアプリの利用が増加したためだそうです。
中華圏、アジア太平洋地域、ラテンアメリカ地域
フレンド氏によると、第4四半期の中華圏の売上高は20%減少しました。「これは、2020年以降、この地域で最も広範なコロナ禍の混乱に続くもので、100以上の都市と当社のビジネスの60%以上に影響を及ぼしました」(フレンド氏)
また、Nike Digitalは1ケタ台前半の成長で四半期を終えたと付け加えましたが、その割合については詳しく説明せず、明記もしませんでした。
逆に、アジア太平洋地域とラテンアメリカにおける第4四半期の売上高は24%成長し、Nike Digitalは同地域で59%の成長を遂げました。メンバーシップが牽引し、全地域で2ケタの成長を遂げたそうです。
また、Nikeのスニーカーアプリは、日本、韓国、メキシコで過去最高の四半期を記録したとのことです。