藤田遥 5/13 8:00

GMOペパボが提供するECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ(カラーミーショップ)」で、「Amazon Pay」の月額固定費が無料になってから約半年が経過。施策開始前と比べて「Amazon Pay」導入店舗数は1万8000店舗にまで拡大し、約4倍以上に伸長しました。導入店舗数拡大で店舗に起きた変化、施策開始に至った背景などをGMOペパボの寺井秀明氏(執行役員 兼 EC事業部 部長)とアマゾンジャパンの永田毅俊氏(Amazon Pay事業部 Head of Marketing)に取材しました。

「Amazon Pay」導入店舗で流通額が拡大。利用をより加速させるため施策をスタート

――「Amazon Pay」月額固定費無料化に至った背景をそれぞれの観点から教えて下さい。

GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部 部長 寺井秀明氏(以下、寺井氏):「『Amazon Pay』導入店舗数が順調に伸びている」という両者間の共通認識があるなかで、2022年後半にアマゾンさんから提案があったことがきっかけです。

その頃、「Amazon Pay」導入店舗における流通額拡大やプラスの効果に対する声が蓄積されてきたところでした。この施策で、より導入店舗数の拡大を加速し、多くの事業者さんに使ってもらえる機会になると考え、2023年10月から「カラーミーショップ」の決済手段として提供している「カラーミーペイメント」利用店舗に「Amazon Pay」を月額固定費無料で一斉導入するという形で実施しました。

アマゾンジャパン Amazon Pay事業部 Head of Marketing 永田毅俊氏(以下、永田氏):アマゾンは、事業者さまのビジネス成長に「Amazon Pay」というツールを役立ててほしいと思っています。「Amazon Pay」を通じてECビジネス拡大をお手伝いしていきたい

その上で、1件でも多くの事業者さまに利用してもらうためにはどうしたら良いかを常にさまざまな角度からGMOペパボさんと相談していました。

寺井氏:「カラーミーショップ」では、「Amazon Pay」を導入できる体制を構築して以来、利用促進のキャンペーンを常に実施していました。たとえば「カラーミーショップ大賞」にAmazon Payさんにご協賛いただき、「Amazon Pay賞」を新設しました。「Amazon Pay」を上手に活用している店舗さんをAmazon Payさんが選出するという取り組みも施策の1つです。

こうした取り組み以外に「何かできることはないか」と模索しているなかで、今回の無料化を進める流れになりました。

永田氏:これまでGMOペパボさんとは良好な関係を築いてきて、「カラーミーショップ大賞」など共同プロモーションという下地がしっかり整っていたからこそ、今回のような提案が行えたと思っています。

GMOペパボ カラーミーショップ Amazon Pay カラーミーショップ大賞の賞の1つ「Amazon Pay賞」
「カラーミーショップ大賞」の賞の1つ「Amazon Pay賞」
(画像は「カラーミーショップ大賞2023」のサイトからキャプチャ)

導入店舗数は約4倍、「Amazon Pay」経由の決済額は2倍超に

――無料化施策による「Amazon Pay」導入店舗数の推移を教えて下さい。

寺井氏:「Amazon Pay」提供開始以降、利用店舗数は伸び続けていて、月額固定費2000円で利用できるという以前の形態だったときは、約4000店舗が利用していました。今回、GMOイプシロンが提供する「カラーミーペイメント」利用店舗に「Amazon Pay」を一斉導入したことで、店舗数は1万8000店舗、約4倍に拡大しました

――導入店舗において、どのような売り上げの変化がありましたか。

寺井氏:個別の流通額は千差万別ですが、「カラーミーショップ」全体の「Amazon Pay」経由の決済額は2倍を超えました。銀行振込や代金引換などの利用減少が加速し、「Amazon Pay」に移行しているという傾向が見えています。

定性的ですが「新規顧客獲得につながっている」という声が利用店舗さんから届いていますので、良い効果が得られていると感じています。

GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部 部長 寺井秀明氏
GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部 部長 寺井秀明氏

――導入店舗で特に多いジャンルがあれば教えて下さい。

寺井氏:一斉導入のため、食品、アパレル、雑貨など、すべてのジャンルで導入しています。実績として伸びているところは、アーティストのファングッズを販売していて、突発的に新たなユーザーが来訪する機会がある店舗さんですね。

それから、テレビやマスメディアで紹介された食品事業者さん。新規顧客が一気に流入するタイミングだと思いますが、そういうときに「Amazon Pay」を選択しているケースが多いです。

「モールで商品を購入するわけではない時にどこで安心感を得るのか」を考えた際、「Amazon Pay」のボタンに知っているマークを見つけることで、決済をしているのではないでしょうか。

永田氏:限定販売品を買う際、「『Amazon Pay』は3ステップで購入できて便利」という声はよく聞いています。また、初めて購入する店舗における安心感を提供できているところはあると思っています。

アマゾンジャパン Amazon Pay事業部 Head of Marketing 永田毅俊氏
アマゾンジャパン Amazon Pay事業部 Head of Marketing 永田毅俊氏

SNSで「Amazon Pay」導入を発信する店舗も

――無料化を機に導入した店舗からはどのような声・意見が寄せられていますか。

寺井氏個人事業主の人も利用できるようになったことで、導入したくてもできなかった事業者さんからはすごく喜ばれています。導入を迷っていた店舗さんが、「すぐに使えるようになったので導入してみた。決済面の面倒が省けた」といったことをSNSで発信していることも見かけます。また、ネットショップを長く運営していたものの決済にあまり手を入れていなかった店舗さんで、「Amazon Pay」導入で新規顧客の流入から購入までつながったというところもあります。

新しくネットショップを始めた人、長らく運営していた人、法人・個人問わず喜びの声が寄せられていますね。

永田氏:「Amazon Pay」の利用規約で、個人事業主は導入できないのですが、一部例外として「カラーミーショップ」をはじめとする一部のECサイト構築サービスでは、個人事業主でも導入できる状況になりました。今回の取り組みで、そういった人達に喜んでもらえているのは自分たちとしても嬉しいです。

X(旧Twitter)などのSNSで、「『Amazon Pay』が使えるようになりました」という店舗さまの投稿をよく目にしますが、2023年10月以降、「カラーミーショップ」の利用事業者さまが投稿している数が明らかに増えていると感じています。

直接利用者さまから声を聞く機会はなかなかありませんが、SNSを通じてポジティブな意見を得られることは励みになっています。

寺井氏:既に「Amazon Pay」を導入されている店舗さんが今回の施策をニュースリリースなどで見て、「自社のネットショップでの決済割合は『Amazon Pay』が多いから導入した方が良い」と発信しているケースもありました。他の事業者さんに知ってもらいたいくらい効果が出ていると言うことなので、今回実施して本当に良かったと思います。

永田氏:「Amazon Pay」ローンチから、事業規模の大小、業界の偏りもあまりなく幅広くどんな事業者さまにも等しくサービスを提供できていると思っています。

今回の一斉導入で、ベテランの人にも、ECをまさにこれから始めようという事業者さまも、どんな立場でも一定程度効果を感じてもらえることを期待しています

マーケティング効果やサポートコスト削減につながる

寺井氏:今後、決済は付加価値が重要になっていくと思います。銀行振込や代金引換は従来からある決済方法ですが、ユーザーにとって利便性やメリットが小さくなってきているのではないでしょうか。たとえば代金引換は「置き配」やロッカー受取がこれだけ普及している状況だと、選択肢から外れることも多いでしょう。

「Amazon Pay」の付加価値としては、住所入力が不要だったり、商品購入時にアクティブな情報が反映されていることだったりします。ほかにも比較ポイントはいくつかあると思いますが、付加価値が付いている決済手段が選択される世の中になっていくと考えています。

永田氏:私たちは「Amazon Pay」における付加価値を“マーケティング効果”と表現しているのですが、新規顧客でも敷居が下がって買いやすい、入力の手間が減ってシンプルにCVが上がるといったマーケティング効果に対して手数料を支払ってもらっていると考えています。

そこはきちんと事業者の皆さまにお伝えしていきたいところですし、導入した店舗さまにも感じてもらえるところだと思っています。

それから、「決済に関する問い合わせが減った」という声も寄せられています。

寺井氏:サポートコストが減るのはそうかもしれません。遷移する画面が少ない=購入者の手間が減ることなので、入力を間違える、全角と半角ではじかれるといったことが「Amazon Pay」ならほぼ起こらないので、そういった対応負荷は減っているようです。

永田氏:問い合わせ対応もそうですが、不正取引に関してよく寄せられる意見として、「不正取引対応で表に出てこないコストや、対応にかかる費用の削減につながるのは大きい」というものもありますね。

寺田氏:事業者さんにとって手数料は気になる点だと思います。しかし、そこの大小だけで見るのではなく、「マーケティングに対するフィーとしてどうなのか」という点を見てもらえると良いなと。私たちも客観的に判断できる材料としてお伝えしていかないといけないなと感じています。

GMOペパボ カラーミーショップ Amazon Pay

これまで難しかった販促面の支援を行えるように

――「Amazon Pay」一斉導入に伴い、キャンペーンなどは実施しますか。

寺井氏:2023年12月にアマゾンさんと共同で、「Amazonギフトカード」での支払いで最大1.5%ポイントを還元するという購入者向けの訴求キャンペーンを実施しました。店舗さんにはより購入者を増やすための材料として、こういったキャンペーンを活用していただけたのではないでしょうか。

これまで、「カラーミーショップ」はモールではないので、一斉にセールなどを実施することができませんでした。個店それぞれの事情があるため、販促の手伝いをすることがなかなか難しかったのですが、決済を介してアプローチが取れるようになったことで、新しい領域で支援できるようになったと思います。

永田氏:「カラーミーショップ」利用店舗さまであれば、キャンペーンの文言が自動的に提示されるような工夫をしてもらっています。事業者さまの手をほとんど煩わせることなく、費用負担もなく、ユーザー向けのキャンペーンを一緒に実施できた事例ですね。今後もシーズナルを意識したプロモーションを随時行っていきたいと考えています。

GMOペパボ カラーミーショップ Amazon Pay キャンペーンの事例
「Amazon Pay」のキャンペーン事例。一斉導入以前から共同でキャンペーンを実施していた
(画像提供:GMOペパボ)

運営負荷の軽減、「Amazon Pay」の価値を広く認識してもらえる取り組みを行う

――今後注力したい取り組みや今後の展望を、それぞれお聞かせ下さい。

寺井氏:2024年はEC運営自体の生産性の向上と、ユーザーを店舗に連れてくるという集客支援の2軸にチャレンジしていきたいと思っています。

EC事業者さんの運営負荷を軽減するために生成AIを活用できる場面がいくつかあると思っています。2023年から商品説明文やSEOのためのTIPSを作る、SNS販促用の文言作成のアシスト機能などを提供していますが、今後はそこを加速させていきたいと考えています。

今回の施策で、購入者側の利便性はかなり改善されたと思っていますので、今後は販促施策をより一層強化していくために、「Amazon Pay」を活用した販促施策をアマゾンさんと共同で取り組んでいけたらと思っています。

また、「カラーミーショップ」のプロダクト自身も“買いやすさ”というカゴの改善はできたので、“自社ECサイトにきてもらいやすくする”というプロダクト改善を予定しているので、その部分は期待していただけたらと思っています。

永田氏:2024年5月11日でサービスを開始して丸9年、10年目突入の節目になる年を迎えます。新型コロナを経てECは急速に拡大したことで、「Amazon Pay」への問い合わせが非常に増えました。新しく始める人が多い分だけ、「Amazon Pay」が意外と知られていないところもまだまだあると感じています。「Amazon Pay」が提供できる価値を広く認識してもらえる活動に改めて注力していきたいですね。

「カラーミーショップ」での一斉導入から約半年が経ち、ある程度効果が出てきたり、意見があがり始めたりする時期だと思います。そういう声を直接聞けるような導入事例ページを作成するなど、生の声を生かしてプロダクトの改善につなげていきたいと思っています。

GMOペパボ カラーミーショップ Amazon Pay
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