Digital Commerce 360[転載元] 10/24 8:00

米国EC市場では、AmaoznとWalmartがシェアを拡大しています。絶対的な存在となっているAmazonに対しWalmartが猛追。他の小売事業者を寄せ付けないAmazonに対し、Walmartは実店舗とEC販路のオムチャネル展開で追撃しています。2社の市場規模拡大は、他の小売事業者のシェアにも影響を与えているようです。

米国ECの巨人Amazon、急成長中のWalmart

WalmartはECでAmazonのシェアに追いつくことができるのでしょうか? 米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』が発表した「北米EC事業 トップ1000社」で、Amazonは第1位に、Walmartは2位にランクインしています。

また、EC販路だけでなく大手量販店小売企業を含めても、その2社はトップ2にランクイン。両社はそれぞれ、自社のリソースや施策に関する独自の強みでシェアを広げています。

本記事で詳しく解説するAmazonとWalmartの主なポイントは次の通りです。

  • Walmartは市場シェアを着実に拡大していますが、1位のAmazonはEC市場において圧倒的なシェアを獲得しています。WalmartとAmazonの上位2社による小売事業者の市場シェア拡大により、両社を除く他の北米オンライン小売事業者トップ2000社の市場シェアは低下しています。
  • 2017年にAmazonは北米のEC小売事業者トップ2000社のうちの36.4%のシェアを占めていました。現在、そのシェアは39.7%に達すると予測されています。一方、Walmartのシェアは4.4%から倍以上に増加し、10.6%になると予想されています。
  • WalmartとAmazonの売上高を合わせると現在、北米の上位2000社のグローバルEC売上高の50%以上を占めています。
  • Amazonの売上高の拡大はさらに顕著で、2019年から2023年にかけてAmazonの米国EC売上高は1420億ドル近く増加。これに対し、Walmartは550億ドルの増加でした。
  • 2018年、AmazonのEC利用率は77.2%、Walmartは同4.9%でした。2023年末までに、Amazonは同71.7%に低下する一方、Walmartは同15.4%と過去最高を記録しています。

AmazonとWalmartの売上合計で市場シェアの半分を占める

AmazonとWalmartは、過去15年間で実店舗とECの両方で影響力を拡大してきました。

Amazonは長い間、米国最大のEC事業者として君臨してきました。ただ、過去7年間におけるWalmartのECの成長により、北米のオンライン小売事業者トップ2000社のなかで、AmazonとWalmartの売上高を合計すると2024年に初めて世界のオンライン売上高の半分以上を占める規模になる見通しです。

Amazon(左)とWalmartが北米小売企業上位2000社のEC売上高に占める割合(出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)
Amazon(左)とWalmartが北米小売企業上位2000社のEC売上高に占める割合(出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)
北米小売企業上位2000社のEC売上高に占める割合(出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)
北米小売企業上位2000社のEC売上高に占める割合(出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)

AmazonとWalmartは近年、米国の小売業界を劇的に変えてきました。Amazonが圧倒的な地位を維持する一方、WalmartのECもめざましい躍進を遂げています。

Amazonは2017年、北米オンライン小売事業者トップ2000社の全体の売上高の36.4%のシェアを占めていました。『Digital Commerce360』は、2024年にはAmazonのシェアが39.7%に達すると予測。また、Walmartのシェアは2017年の4.4%から、2024年には10.6%に上昇すると予想しています。

この2つの巨大企業を合わせると、上位2000社のなかでグローバルEC売上高の50%以上を占めることになり、ECの主力企業として両社の地位は揺るぎないものとなっています

Walmartに3.8倍の差をつけるAmazon

この2社が北米のオンライン売上の半分以上を占めているなか、1位のAmazonの売上シェアはWalmartの約3.75倍に達しており、差はまだまだ大きいものとなっています。

ただ、Walmartの米国におけるECの成長は驚異的です。Walmartの米国EC売上高は、2019年の270億ドルから2023年末には820億ドルに急増。これにより、Walmartのグローバルを含めたEC売上高に占める米国EC売上シェアは68%から82%へ大幅に増加しました。わずか数年でです。

一方、AmazonのECの同シェア率は比較的安定に推移。2019年の66%から2023年には69%に増え、Walmartと比べると緩やかな増加となっています。

AmazonとWalmartの、グローバルを含めたEC売上高に占める米国EC売上のシェア率推移(出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)
AmazonとWalmartの、グローバルを含めたEC売上高に占める米国EC売上のシェア率推移(出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)
AmazonとWalmartの米国EC市場における売上高(2019年~2023年。出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)
AmazonとWalmartの米国EC市場における売上高(2019年~2023年。出典:『Digital Commerce 360』北米小売企業上位2000社データベース)

米国EC市場でのシェア拡大においてWalmartは大きく伸ばしていますが、Amazonの売上高の伸長はそれを上回ります。同期間中(2019~2023年)、Amazonの米国EC売上高は1420億ドル近く増加したのに対し、Walmartの増加は550億ドルでした。

Amazon、Walmartは正反対の施策を推進

AmazonとWalmartは、長年にわたり正反対の方向に進んできました。米国最大の小売事業者であるWalmartがオムニチャネルの強化という観点でEC事業の拡大に重点を置いてきたのに対し、米国最大のEC事業者であるAmazonは食品スーパーマーケット大手Whole Foods(ホールフーズ)の買収を機に実店舗に進出しています。

AmazonとWalmartのEC利用率(出典:『Digital Commerce 360』 北米小売企業上位2000社データベース)
AmazonとWalmartのEC利用率(出典:『Digital Commerce 360』 北米小売企業上位2000社データベース)

Amazonの2018年におけるEC利用率は77.2%で、Walmartは同4.9%。『Digital Commerce 360』の推計によると、EC小売事業者トップ2000社全体の2018年のEC利用率は8.5%でした。

2023年末には、AmazonのEC利用率は71.7%に低下する一方、Walmartは同15.4%となっており、過去最高となりました。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]