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3月15日以降、中国における日本食品の輸入・販売が越境ECでも規制され、2か月以上経過した現在でもその影響がまだ残っています。現地の最新状況をお伝えします。

中国のECから日本の食品が消えた

事の発端は中国で放送されたあるテレビ番組。中国のCCTV(中国中央テレビ)では、毎年3月15日の「世界消費者権利デー」に消費者保護を目的としてさまざまな報道をしています。

今年は日本の食品がテーマでした。2011年の東日本大震災以降、中国政府は日本の10都道府県(福島、宮城、 茨城、栃木、群馬、 埼玉、千葉、東京、 新潟、長野)で製造された食品や飼料などについては輸入禁止。10都道府県以外についても野菜、果物、乳製品などについては「産地証明」「放射能性物質検査証明」が必要としています。

中国の輸入規制措置の概要(平成25年3月1日)輸入規制措置の概要 中国は日本から輸出されるすべての食品・飼料について、10都県のものは輸入停止措置を講じるとともに、日本の政府機関が発行する証明書を求めています。規制対象・内容 10都県…すべての食品、飼料…輸入停止 10都県以外…野菜及びその製品、乳及び乳製品、茶葉
及びその製品、果実及びその製品、薬用植物産品…<放射性物質検査証明>(中国の放射性物質基準に適合することの証明)<産地証明>(10 都県以外で生産されたことの証明) 水産物…上記に加え、産地・輸送経路を記した検疫許可申請書 その他の食品・飼料…<産地証明>(10 都県以外で生産されたことの証明)
農林水産省のサイトより編集部がキャプチャ
http://www.maff.go.jp/chushi/sesaku/export/pdf/1_china_kisei_gaiyo_130301.pdf

3月15日の放送では、粉ミルクやお米、お酒などが取り上げられ、食品ラベルの産地が上記10都道府県に含まれていると言及し、「産地などの偽装した疑いがある」と報道したのです。

中国政府としての発表は特になかったのですが、このような報道の結果、2011年に中国政府が発表した下記の日本の食品に関する公告をベースに、各モール単位で販売規制などの取り組みを決定。一時は日本の食品がほぼ販売停止となる事態となりました。

2011年 日本の食品に関する公告の概要

日本から輸入した食品・農産物の品質と安全を確保するため、「食品安全法」と「輸出入動植物検疫法」及びそれらに伴う実施条例に基づき、関連事項を公告として通達をする。

1. 本日より、日本の福島県、群馬県、栃木県、茨木県、宮城県、山形県、新潟県、長野県、山梨県、埼玉県、東京都と千葉県の12都県からの食品、農産物と飼料の輸入を禁止とする。

2. これら12都県以外で製造された日本の食品、農産物と飼料に関しても、通関時には日本政府発行の放射能物質検査・測定合格に係る証明書と原産地証明書を提出することを義務付けられる。輸入した食品、食用農産物と飼料に対して、各地の検査検疫機関は放射能物質を測定するうえ、合格したものだけを輸入できる。合格できないものは、規定により情報を公開する。

3. 日本からの輸入食品事業に携わるすべての輸入会社や代理会社は関連規定により、各地の検査検疫機関にて自社情報や業務などを登録しなければならない。

4. 日本食品の輸入会社は輸入から販売までを記録する制度を構築すること。例えば、食品名、規格、数量、製造日、製造番号または輸入番号、賞味期限、輸出会社または仕入先の名前と連絡先、納品日付などを記録すること。

5. 日本から輸入した水産物は、あらかじめ検疫審査手続をしなければならない。「輸出入動植物検疫許可申込書」に下記項目の内容を明確にする。「産地」には当該水産物の原料養殖地域の所在地(都道府県名)もしくは漁獲地域および国際連合食糧農業機関の漁場番号を記入。「輸送ルート」には加工工場の住所および製品の輸送ルートを明記。日本国内での輸送がある場合、経由した都道府県名を記入すること。海上輸送の場合、積出港を明記すること。

中国政府が2011年に発行した日本の食品に関する公告
中国政府が2011年に発行した日本の食品に関する公告

各モールの具体的な対応

天猫国際(Tmall Global)

[3.15晩会 直後]

越境ECの食品は「産地証明」「放射能性物質検査証明」を取得しているものであっても、すべて販売停止。

[4月初旬〜中旬]

一部Tmall Global指定の保税区を利用している店舗の商品が販売可能に。

ただし、「産地証明」は必要。 大手食品日本企業は販売開始。小売販売を行っている日本企業は「産地証明」が取得できず、販売できない商品が一部ある状況。

[5月29日現在]

4月20日くらいから「産地証明」を取得している食品の申請が開始された。食品によっては別途「放射能性物質検査証明」が必要。

京東全球購(JD Worldwide)

[3.15晩会 直後]

一部食品のみ規制が入り、販売停止に。

[5月29日現在]

4月初旬よりほとんどの食品が「産地証明」「放射能性物質検査証明」なしで販売可能に。

事態は収束に向かっている

私の個人的な見解としては、上記のモールをはじめ、上記以外のモールに関しても、おそらく徐々に規制は緩やかになっていくと予測しています。

長年にわたって中国でビジネスをしている私としては、こういう突発的なことは慣れているのですが、ご一緒しているパートナー企業の方の中には、めまぐるしく状況が変化し続けるため、ちょっと面食らっている方もいらっしゃいます。

ただ、海外でビジネスをする以上、こういうことはどこの国でも起こりうることであり、それをリスクと考えるか、チャンスと考えるかで海外事業の可能性が大きく変わっていくのではないでしょうか。

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高岡 正人

株式会社エフカフェ 取締役

1975年生まれ。立命館大学政策科学部卒。コンサルティングファームにて企業変革コンサルティングを経て、2005年有限会社フリースタイルカフェ(現エフカフェ)の創業に参画。取締役に就任。

日本、中国、ASEANでネット通販事業に特化したコンサルティング、運営支援を行い、1カ月の半分を中国・上海で過ごす。

銀行等での講演多数。また日経ネットマーケティング等で執筆。最近では銀行等の海外支援事業部と連携し、日本からアジアへのネット通販進出を支援している。

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