渡部 和章 2019/2/13 8:00
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売れる商品は在庫を増やし、不良在庫や過剰在庫は早期に減らしたい」。小売企業やEC事業者が抱える在庫問題を解決するのが、人工知能(AI)搭載のクラウドサービス「FULL KAITEN(フルカイテン)」だ。もともとフルカイテン社が運営するECサイトが抱えていた不良在庫などに関する在庫問題を解決するために自社開発したシステムで、在庫問題が原因で幾度も倒産しかけた窮地を「FULL KAITEN」で脱したというエピソードもある

在庫で悩んでいるEC事業者の手助けをしたい――。こんな思いで「FULL KAITEN」をリリースしたのは2017年11月。導入事例として、不良在庫を1年間で64%削減し、売り上げを右肩上がりで伸ばしている企業もある。「FULL KAITEN」の開発経緯、そして2019年2月に提供開始したリニューアル版(バージョン2.0)がEC事業者に提供できる価値などについて、フルカイテン社の代表・瀬川直寛氏に話を聞いた。

在庫問題で倒産しかけた経験を生かして開発した「FULL KAITEN」

フルカイテンは2012年の創業(当時の名称はハモンズ)から約6年間、ベビー服のEC事業を手がけていた。「FULL KAITEN」はもともと、自社のEC事業で大きな課題となっていた“在庫の適正化”を実現するため、社内で開発した在庫分析システムだった。

瀬川社長はECサイトを運営していた当時について、「在庫管理に失敗し、キャッシュフローの悪化を何度も招いた」と振り返る。在庫管理に失敗するたびその原因を分析。在庫問題を未然に防ぐ仕組みを1つひとつ考案し、機能開発を積み重ねることで「FULL KAITEN」の原型を完成させたという。

ECサイトを運営していたときは、3回ほど資金繰りに行き詰まって倒産しかけたことがありました。その原因はすべて、在庫管理に失敗したためです。(瀬川社長)

フルカイテン株式会社 代表取締役社長 瀬川直寛氏
フルカイテン株式会社 代表取締役社長 瀬川直寛氏

瀬川社長が経験した1度目の倒産危機は、「取扱アイテム数を増やせば売り上げは増える」と考え、勘と自信を頼りにさまざまな商品を多めに仕入れてしまい、不良在庫が大量に発生したことが原因だった。このとき、「過剰在庫」「不良在庫」に分類された商品をリアルタイムに把握し、速やかに削減する仕組みの必要性を痛感。これが「FULL KAITEN」に搭載されている「在庫削減機能」の開発につながった。

2度目の倒産危機の原因は、売れそうな商品を大量に仕入れたものの、計画通りに売れず、不良在庫が積み上がったこと。この経験から、在庫の適正化を実現するには、仕入れる前の販売予測が重要だと学んだ。そして、現在の「FULL KAITEN」に実装されている「仕入れ最適化機能」を開発したという。

この仕入れ最適化機能を用いて売れ筋商品を集中的に仕入れるようになった瀬川社長は、売れ筋商品を数多く売りさばくため、送料無料化やクーポン配布などの施策を多頻度で実施。その結果、売り上げは伸びたものの粗利率が大幅に下がり資金繰りが悪化、3度目の倒産危機に直面した。この経験から、粗利を増やすことを意識して販促計画を組み立てることの必要性を痛感し、「FULL KAITEN」に実装されている「売上増加機能」を開発したという。

瀬川社長が、自社のEC事業が抱えていた在庫問題を解決した「FULL KAITEN」の外販を始めたのは2017年末。「私たちと同じように在庫問題で悩みや課題を抱えている事業者は多いはず。そうした企業さんの力になりたい」。こうした思いを実現するため、2018年9月にベビー服のEC事業を売却。自社事業をクラウドサービス「FULL KAITEN」に一本化した。

提供する3つの価値は「在庫削減」→「仕入れ最適化」「売上増加」の好循環

「FULL KAITEN」はバージョンアップを重ね、AI(人工知能)搭載のクラウドサービスとして小売企業やEC事業者に利用されている。

在庫にフォーカスしたシステムは一元管理システムや在庫管理システムがありますが、「FULL KAITEN」はそのどちらでもなく、在庫の分析・削減・適正化を支援するシステムという位置付けです。“販売予測や現在庫数などを考慮して在庫の善し悪しを分析”し、販売面と仕入れ面で素早い経営判断を下すのに役立つよう分析結果をわかりやすく可視化するのが特徴です。(瀬川社長)

「FULL KAITEN」は、「(不良)在庫を削減する」機能だけでなく、「仕入れを最適化する」、そして「売り上げを増加させる」という、小売事業の好循環の構築をサポートする機能も持つ。

会社単位での在庫分析に加え、倉庫単位や実店舗単位での分析(過剰在庫、不良在庫などの評価)も可能。たとえば、実店舗だと、店舗にある在庫が過剰なのか不良なのかの判断を現場で下すことはなかなか難しい。ですが「FULL KAITEN」の分析結果があれば、在庫の善し悪しがSKUレベルでわかるようになります。(瀬川社長)

多くのネット通販企業に加え、小売り企業も関心を寄せる「在庫削減機能」の概要、その機能を活用することで導入企業が得られるメリットを瀬川社長が詳しく解説する。

「FULL KAITEN」は2月にバージョン2.0をリリース。AIアルゴリズムの改善による予測精度の向上など、大幅な機能拡充などを行った(「FULL KAITENバージョン2.0」のイメージ動画)

全SKUを不良在庫・過剰在庫・フル回転在庫に自動分類

「FULL KAITEN」の特徴の第一は、すべての在庫を「不良」「過剰」「フル回転(適正)」に自動分類すること。毎日、在庫数や販売予測の結果を踏まえて在庫を分類し直している。これにより、削減すべき不良在庫や過剰在庫をSKU単位であぶり出すことが可能だ。

適切な在庫回転率や最適な在庫の数は商品ごとに異なります。ですから、さまざまなデータと複数のアルゴリズムを使って、SKU単位で「不良」「過剰」「フル回転」のどの分類に該当するかを判定しています。これにより、どれが不良在庫なのか、どれが過剰在庫なのかが一目瞭然になりますから、在庫状況の推移を毎日見ていれば、「そろそろ、この在庫は削減しないといけない」といった経営判断を素早く正確に下すことができます。(瀬川社長)

フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 在庫の状況を「適正」「過剰」「不良」を判定する
在庫の状況を一覧できる画面。SKU単位で全在庫を自動分類することで、在庫の「量」だけでなく「質」も把握できる

「不良在庫」の増加に気付く仕組み

「FULL KAITEN」では、不良在庫・過剰在庫の推移などがグラフで表示されるため、在庫状況が「悪化しているのか」「改善しているのか」といった実態を把握しやすい。

初めて「FULL KAITEN」の計算結果を見た導入企業の多くは、不良在庫の多さに驚きます。しかし、大事なのは計算結果をスポットで見ることではなく、毎日の時系列で追いかけること時系列で見なければ増加や減少などの傾向がわからないからです。

そのため「FULL KAITEN」は毎日の計算結果を時系列でグラフ表示しています。グラフの動きを見ていると、「不良在庫」が増加傾向にあることをいち早く察知できます。たとえば、在庫全体の金額がそれほど変わってないのに、不良在庫の金額がどんどん増えているとしたら危険信号。倉庫の中が不良在庫ばかりになって売り上げがガタッと減る事態に陥らないよう、不良在庫の削減に手早く動かないといけません。(瀬川社長)

フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 SKUごとに不良在庫の推移などがグラフで表示できる
不良在庫の推移を示す画面。在庫の危険な増加傾向をいち早く察知できる

「不良在庫」を削減する仕組み

「不良在庫」を減らすには、その商品をセールなどで売り減らす、または売り切ることが必要になる。その際、セールでの価格設定が課題となる。

「FULL KAITEN」は、セール対象商品をリストアップするだけでなく、売価設定をサポートする機能も搭載しているという。

在庫削減したい商品を選択した後、売価を設定する画面に移ります。この画面では、上代や過去の最低売価、粗利率や値引率などを参照しながら売価を一括変更できます。こうして作成した商品リストをCSVでダウンロードし、ECサイトの管理画面でアップロードすれば、在庫処分のためのセール価格へと手間なく変更できます。

「楽天市場」であればスーパーセールのタイミングに不良在庫の削減策をぶつけると大きな削減効果を得られますし、実店舗でも年に数回の大きなセールで不良在庫削減を行うと効果的です。当社のクライアント企業では、「FULL KAITEN」導入から1年も経たずに不良在庫を64%も削減した事例があります。そのクライアントは不良在庫をそれだけ削減しながらも売り上げは過去最高を更新中です。(瀬川社長)

フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 売価設定の画面。「不良在庫」を売り切るための売価設定をサポート
売価を設定する画面。値引や粗利の「率」または「額」を基準に売価を一括入力できる

過剰在庫を増やさない方法と売上UPの流れを作るための考え方

不良在庫を一時的に削減しても、また増えてしまっては真の在庫改善にはつながらない。ダイエット前の体重にリバウンドすることを避けるのと同様、不良在庫が増えない仕組みをつくるためには、「不良在庫の予備軍である過剰在庫をコントロールすることが最も大事」と瀬川社長は指摘する。

とはいえ、どうコントロールすればよいのか。それには「過剰在庫」がどうして生まれるのかを理解する必要がある。瀬川社長によると、その発生パターンは主に3種類あるという。

1つ目は、売れ筋商品(フル回転在庫)の売れ行きが悪くなり、過剰在庫に落ちてくるパターン2つ目は、新商品が想定したほど売れずに、在庫が積み上がって過剰在庫に分類されるパターン。そして3つ目は、不良在庫をセールなどで処分した結果、在庫ステータスが「不良」から「過剰」へと一時的にランクアップしてしまうパターンだ。

この発生パターンに応じて、それぞれ過剰在庫を減らす方法が異なるという。

「FULL KAITEN」は、すべての過剰在庫を発生したパターンごとに分類します。過剰在庫になる直前が「不良在庫」だった商品は、放っておくとまた不良在庫に戻ってしまう可能性が高いので、セールやイベントなどを通じて在庫を削減する継続的な取り組みが必要です。一方、過剰在庫になる直前が「売れ筋」や「新商品」だった場合には、まだ商品力がありますから、特集ページを作ったりメルマガで販促を行ったりして、販売のテコ入れを図ることが有効です。

まだ定価で売れるポテンシャルのある商品を、セールで値引き販売してしまうのはもったいないすべての過剰在庫を一律にセールで処分するのではなく、商品ごとの事情を踏まえて打ち手を変えて、過剰在庫をコントロールすることが重要です。(瀬川社長)

フルカイテンが提供する「FULL KAITEN」の機能 過剰在庫が発生したパターンごとに分類することで、商品ごとの事情を踏まえて在庫をコントロールすることができる
過剰在庫の推移を表すグラフ。過剰在庫が発生したパターンごとに分類することで、商品ごとの事情を踏まえて在庫をコントロールすることが可能になる

最新バージョン「2.0」を提供開始。リニューアルした「FULL KAITEN」がこれからめざすもの

2017年末に販売開始した「FULL KAITEN」の従前版(バージョン1.0)導入社数は、2018年末時点で23社。アパレルや雑貨、家具、インテリア、ゲームソフトなど、SKUが多い小売企業やEC企業、メーカーなどが導入している。なお、導入に適した事業規模として、月商1億以上が目安になるという。

瀬川社長によると、「FULL KAITEN バージョン1.0」の提供を開始してから1年間は、社内の人材が限られていたこともあり、営業を本格的には実施していなかった。それでも多くの問い合わせが寄せられ、ミズノなどの大手企業から「楽天市場」の上位店舗まで、EC企業・実店舗ともに商談はスムーズに進んだという。

小売と卸の両事業を経営している企業から、メーカー直販のような事業形態まで、すべての小売企業の在庫問題を解決することができます保有している在庫が「過剰在庫」なのか「不良在庫」なのかを毎日チェックすることが、小売事業を健全に運営するための近道です。「FULL KAITEN」は在庫を意識した経営をするために大きな力を発揮します。ちなみに、「FULL KAITEN」の契約が決まるまでの訪問回数は平均1.4回。導入は、ほぼ即決で決まることが多かったです。(瀬川社長)

フルカイテン株式会社 代表取締役社長 瀬川直寛氏
「モノを扱うすべての企業の在庫問題を『FULL KAITEN』は解決できる」と話す瀬川社長

フルカイテン社は2018年6月、第三者割当増資で総額1億2000万円の資金調達を行い、次期バージョンの開発を加速。そして2019年2月、機能・性能・操作性を大幅に改善するとともに、予測アルゴリズムの精度を向上させたリニューアル版(バージョン2.0)をリリース。これを機に本格的な拡販に乗り出した。

リニューアル版「FULL KAITEN」の初期費用は50万円から。ネットショップ一元管理システムや基幹系システムなどとのデータ連携は、1~2カ月の開発期間で完了するという。月額利用料は月商に応じた従量課金制をベースとしており、月間27万円からとなっている。

“新バージョンのリリースにあたり、機能やUIなどのプロダクト面だけでなく、カスタマーサクセス要員などサービス面でも体制を強化できました。特許出願中の在庫問題解決テクノロジーも搭載した新バージョンで、小売業界の宿命的課題でもある在庫問題に深く切り込んでいきます。(瀬川社長)

フルカイテンが掲げるミッションは「在庫問題を解決する」こと。瀬川社長は、「FULL KAITEN」の開発・提供を通じて個別企業が抱える在庫問題の解決を追求していくその先に、根深い社会問題の解決に自社のテクノロジーが貢献している未来像をこう語る。

在庫問題は、世界中の小売企業やメーカーが抱えている課題です。まずはその課題を、「FULL KAITEN」で解決していきたいです。そして、不要な商品をできるだけ作らない世界になるといいですね。余計な商品を作ることは、廃棄問題や生産資源である森林伐採など、さまざまな問題を引き起こします。在庫問題を解決することは、私たちの子や孫の世代に、よりよい地球を残すことにもつながるのではないかと思っています。(瀬川社長)

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